蘭馬鹿日誌および更新記録

 ランのよしなしごとをつづる。下に行くほど昔。  インデックスに戻る

2003年

1月5日(日)

休みの間ずっと飢えたようにパフィオを探し歩いたが、株を前にするとつい迷いが出て手が出ず。田舎から帰ってきて株の点検を行ったところ、まえまえからあかん状態だった胡蝶蘭はお亡くなりになってしまった。相方の株は2つ目の花が咲いていた。

 

2002年

12月31日(火)

蘭を実家と職場に残し、かみさんの田舎でごろごろしている。師走のどさくさにまみれていたが、本日は広島市内の園芸店を覗く余裕が出てきた。やたらに株別れしたパフィオ700円、これは近々花芽が出そうでお買い得だ。また、セロジネインターメディア800円。有名品種だ。とりあえず振り切って帰ってきた。後で欲しくなってもどってきてもまだあると思えたからである。蘭まみれの一年だったが、大晦日は周りに一鉢もおかずに過しているのだった。ちとものたりないためついごろごろしてしまう。

12月26日(木)

仕事に入れあげてへろへろの状態でも蘭の世話はしている。マスデバリアの花芽が不調になったが、40株はあるという花芽株はそれぞれ順調だ。

期待のパフィオ、ディレナティイから花芽が出てきた。今度は長く咲いてもらう工夫をする。Lc.サクラキャンディの大きくなった新芽の葉の間につぼみがふくらんでいるのを見つけた。これは盛大に咲くぞ。また、オンシジウムの花芽も出た。調子が上がってきているようだ。来年の目標は開花件数100件と定めている。4日に一鉢咲く勘定だ。これを株の数を減らしながら達成する。

今年の東京ドーム蘭展は222日開幕である。東京出張が21日にあるので泊まればゆける。

11月に買った980円の胡蝶蘭は6つの花が終わった後から花茎の先端が活動を始め、つづきとばかりにつぼみ10個を出してきて、最初の一つが本日開花した。「花茎を切っておくと新しい花茎が出て二番花が咲く」というのはあったが、先が伸びて続きが咲く、というのは初めてだ。咲きそろった胡蝶蘭の花茎を見ると先端におわりを示す突起が出ているばあいがある。これが出ない限り花が出続けるものらしい。そういえば体力の弱そうなもう一方の鉢はどうもよくないようだ。

12月21日(土)

軟腐病が立て続けに3鉢も出て、Slc.Pot.Z.の新芽がそれぞれ茶色になった。蘭の棚にビニールをかぶせたため起きたように思われた。蒸れたのだろうか。

同じ悩みを持つ蘭友が遊びに来たので徹底討論「なぜ蘭は腐ったのか?」をねちねちやっていた。もう一人の蘭友の症状なども参考にして、水、温度、肥料、湿度など容疑者を点検していった。我々に欠けていたものは何か。それは風だった。

風は蘭の血流ではないだろうか。全くの無風だと葉から拡散する水の分子は葉の周辺に滞留し、葉から水がでてゆけなくなる。葉から水が出てゆかなければ水を吸い上げることは出来ないので根からの水の吸い上げも出来なくなり、根の周辺はしめりすぎになるのではないか。それだけでなく養分の流れ、生成物の輸送などが滞れば細胞組織の活動が弱まり、細菌や害虫につけ込まれやすくなるように思える。

何度も風については大事、と書いておきながら実感としてどこまで効くのかということはわかっていなかった。ビニールをかけてから曇りの日が続き、太陽電池ファンが動作しない日が続いたためなのかテキメンに病気が出てしまったのである。因果関係はなおはっきりしないとはいえ、株を健康にしてもらうためにはもはや風に頼るしかない、それしか打つ手がない、という結論に達したのであった。

早速4Vの直流アダプタとパソコンの電源ファンから微風ファンを製作して棚のちかくの空気をかき混ぜるようにした。

12月20日(金)

どこぞの蘭友会のホームページを見ていたら、しきりと驚きを覚えた。どうしたものかこれまでと違って見えるのである。いろいろ咲かせられるようになってこれまで漫然と「ほー、きれいだなあ」と見ていた鉢を、「むむむむ、どうやったらあんなにたくさんの花をつけられるのか?」と驚きを持って見るようになったのである。世の中にはすごい人がいるというのがわかる。これまで咲かせてきた蘭は、せいぜい売っている鉢をしのいだ程度の水準でしかなく、カトレアで言えば2輪花がついたぐらいのものだった。しかし蘭友会の月例人気投票1位から5位までというのは大輪のカトレア8輪、レリアパープラタ15輪、花で鉢が見えないようなデンドロ、群衆のようなパフィオなど、もうスペクタクルである。

課題を残しつつも初級を修了し、上級の鉢に驚くようになったと言うところだろうか。

12月11日(水)

温度が下がり職場のデンファレはほころんだつぼみを手で開いてやらないとうまく開かなくなっている。もう少しで満開なのでまた暖かい日が来れば助かる。これが冬に咲く花かというほど豪華絢爛なデンファレである。やはり職場向きというほかはない。

この時期デンファレの見切り品は多い。200円で1株手に入る店もある。昨年は2月に水でぐっしょりしめってよわった株を100円で購入し、それをうまくそだてて咲かせ、1月ほどになる。また、6月に見切り株を買って、職場のエアコン室外機の近くという環境の悪いところで育て、花芽がでたところで同僚に差し上げたものは11月から咲き出してつぼみ1つを残してほぼ満開だという。一戸建てで最低気温10度とのことだ。その調子ならあと1ヶ月は咲くだろうからよい贈り物をしたとおもう。こっちにある兄弟株は涼しいところで育てたため生育が間に合わなかったのは誤算だった。デンファレは暑いところがいいようだ。

デンファレに似ていなくもないキンギアナムは低温に強い。この蘭は春に20cmくらいの花茎を出して香りのよい白い花をたくさんつける。久しぶりにリビングに入れて手に取ってみると花芽だらけで22まで数えてやめた。4号鉢になり結構ボリュームが出てきている。香りもよく花もちもよい。

ノビル系デンドロは今年は基本に忠実に育てたのでぼこぼこに花芽がついている。もっと大きなバルブを作るにはどうすればいいか、ということが来年の課題だ。上手に加温温度を上げれば早いスタートが切れて8月までに高いバルブを作ることが出来るのだろうと考えている。

石斛はもともと花付きがよいので花芽も見えている。ちょくちょく氷点下になるが軒下で生きている。

フォーミディブルは初夏咲きだが、生育がよいと冬にも咲くという。生育は早くも旧バルブをしのいでいる。デンドロでは最大級のカトレア並みの大きな香りのよい花が咲き、花命も長い。

デンドロだけでこれほどバリエーションがあり、育て方も花の出方もまるで違う。これが同じ属かと思うほど違っていて奥が深い。今度はシルシフローラムが欲しい等と思う。

 

12月8日(日)

和室の最高最低温度計をみるとまたも37度から10度に振れていた。温度調節を行ううまい手を10ヶ月ずっと考えてきたが、製作が間に合わず、安全性、信頼性や感度などの検討もできなかったので結局老舗Picaの保温・換気温度調節器7800円及び安い水温調節器2680円をロイヤルホームセンターで購入した。いままで堅持してきた自作ドケチ路線から転落してしまい、心中穏やかではない。かなりがっくりきている。ランが趣味だか、ドケチが趣味だかわかりにくいところだ。美しい開花株を1000円で買うのより、名無し花無しの見切り品300円を買うのがうれしいようなところがある。知らずしらずケチが染みついてしまったのだ。ケチはやってみるといろいろつらいこともある、などと思う。ケチでどれだけ損をしているか知れたものではない。

1号ケースに水温調節器を使った。この調節器には200Wの投げ込み温水ヒーターがついてきた。温度調節器には当初電球をつなぐつもりだったがいっそ水を温めるのに使ってはどうかと考え、バケツに水を入れてヒーターをセットし試してみた。電球と温水ヒーターの併用(300W)である。しかし40度の水温になったときに気温に寄与するものの水蒸気が出過ぎて内部で結露を生じ、あまり望ましくない。

並んで置いている23号自作ケースに換気扇2つを製作して取り付け、加温用200W 電球とともにPicaにつないで制御するようにした。

12月6日(金)

あまりにも素晴らしいBlc.MountSylvanの開花であったが、あっという間にしおれてしまった。受粉か?とさえ思ったほどである。これまで使っていた石油ファンヒーターが故障して温度の加減が効かない石油ストーブを使っていたことや、好天で気温が上がったことなどがあるが、前回3週間も咲いていたカトレアが6日でしおれる理由としては納得が行かない。今もよくわからない。前から課題だった花を長く鑑賞する方法はよくよく考えてみると結構難しい問題だ。花をよく見るためには人間のそばに置くのがよいのだが、人間のそばは温度が高すぎて鑑賞しにくい。以前はわざと寒い環境にして花にあわせていたのだが、寒がりが多いリビングではそうも行かないのだった。比較的涼しいはずの窓際の金魚の水槽の上に置いていたのだが。逆に冷えすぎたという説もある。ちゃんと測定しなければだめだ、と悔やまれる。今からでも原因の究明をするべきだろう。

11月30日(土)

あたかもランの花に酔うような日々が続いている。誰しも和んではいられない昨今であるが、油断すると花を見て酔っている。

Blc. Mount Sylvanが開花。大輪のカトレアなので迫力がある。最初は黄緑色をしている。のどが黄色い。リップの先端に鮮やかな紫色が見える。

Onc. Twincleがほぼ満開になった。想像以上の素晴らしい仕上がりだ。かみさんもたいそう気に入っている。Blc2つとバンダなどの横綱級3つに大関級のTwincleなど、数えてみると13株が開花している。おそらく本日が今年最高の開花状態といえる。

昨年は1株しか咲かなかったノビル系デンドロビウムは来年の2月あたりからほぼ1種を除いたほとんどが開花するようだ。シンビジウムも2種を除く4種から花芽が出ている。しなびて茶色になったカトレアのシースに花芽を見出したり、長らく花芽がでなかったカトレアのバルブに花芽が出たりで、数えてみると花芽のある株は32になっていた。

低温の日が続いたので油断してサーモスタットから排気ファンをはずしていた。最高最低温度計をみてたまげたのだけれど、37度と10度を示していた。ランの見た目は大丈夫だが、結構こたえる温度だろうと思う。こういうことは計測をしていないとランが弱ったときになにが原因かわからなくなる。気密のよいワーディアンケースだと、これらの温度管理装置をしっかりしつらえないと事故が起こるだろうねえ。

リビングにある棚は室内には開いており、人間の生活で暖めているためこのような高温障害はおこらないだろう。

ランをもらってくれる人がいたので、胡蝶蘭の池袋6(花芽2本つき)と、花つきのデンファレ「サティ3」を差し上げた。

ランが減ると新たなランがほしくなるもので、先週から目をつけていたOnc. cheirophorumをすこし安く見かけたのでよくよくえらんで購入した。満開のTwincleの影響が強い買い物だった。つぼみがたくさんついた花茎3本立ちである。鮮やかな黄色のオンシジウムである。オンシジウムは育てやすく、丈夫で、花つきがよいという印象がある。

つくづくランはいいと思う。

11月27日(水)

11月9日に購入した胡蝶蘭につぼみが増えているので驚いた。売られているときは開花株で、花が6つずつぐらいついていており、つぼみはないという認識だった。夏に200円で買った胡蝶蘭があとからつぼみが増えて長く咲いたということはあった。冬場この手の開花株の花が増えるというのはほとんどなかろうと思っていたのだ。小豆色のつやつやのつぼみが目立ってきている。よく見ると4つ以上ありそうだ。日当たりがよく、太陽電池式ファンのおかげで風もあり、夜間もライトのため暖かいから生育しているのだろうか。胡蝶ランは花が元気だからといって株が元気というわけでもないように思われるため無邪気に喜べない。この花が咲くかどうか興味深いところだけれども、難度が高い。なにしろ木造の枠にビニールを両面テープでとめただけの代物で、加温は200Wの電球1つで80鉢の蘭を暖めている。リビングなので蘭と生活しているような状態だ。こういう栽培はあまり例がないのではないだろうか。

湿度の測定を今はなつかしい湿式湿度計で行った。もちろん廃棄されるものをいただいてきたのである。表示が旧字体なのでかなりの年代ものだ。こういう素朴なものは40年以上使えるのだが、最近のデジタル式の奴は何年もつのだろうねえ。

湿らせた布を巻いた温度計と、気温を測る温度計がセットになっており、温度差と、湿球の温度を計り、巻き取り式の表を見て湿度を割り出すというものだ。湿球の温度が17度だと、表をたぐって17度のところを出し、温度差3度ならその部分を見ると70という値が載っている。湿度70%とのことだ。まあわるくない。手軽で簡単、電池も要らないが、風があると計れない。

11月25日(月)

出張に出かけて以来の職場に戻ってみると長期開花記録更新中のデンファレは相変わらない姿で咲いていたし、カトレア「おまけ」はかつてないほど美しく姿よく咲いていた。デンファレも花が増えている。職場は花にはずいぶん環境がよい。いつもは2週間咲かないカトレアも今回は長い期間咲いているのではないだろうか。

デンファレ宮島が開花して80日にもなる一方、まだまったくつぼみのままで開花していない宮島が1株ある。これはいったいどういうことであろうか。思うに、家と職場の生育温度の影響がもろに出たらしい。暑い職場のほうが早く成熟して花芽を出し、開花したということは、生育期の温度が高いほうがよいということを意味している。日照に限って言えば、建物の陰にならないだけ家のほうが環境がよい。しかし温度は昼夜3度や5度は違うようだ。デンファレには高温が適しており、職場の暑い気候で育てたほうが長い開花期間を考えるとお得である。ただし、つぼみがよく出来たころに暑すぎるとよくないので気をつけるにしても、来年は出来るだけ暖かいところで育てるようにしたい。また、冬の間よくあたためて新芽のスタートを早くするというのは効果的ではないかと思う。この検討をもとに来年多くの種を9月に開花させることが出来ればこれは重要な知見ではないだろうか。

昨夜は散々待たされたOnc.Twincleが開花した。花芽をみつけてから4ヶ月もかかった。ランにはよくあることだけれど、花芽を見つけてからお楽しみの期間が少々長すぎるものがある。それにしてもつぼみが多い。1房37個まで数えていやになったが、そういう房が9つある。これがかなり長いこと咲いてしかもかなりよい香りがするという実に結構な品種でかみさんのお気に入りである。最近はかみさんの好みでランが購入されることがおおい。

11月23日(土)

昨日購入したVuyl. Edna ‘Stamperland’ FCC/RHS, FCC/AOSS, FCC/AOSS, FCC/AOSFCC(ファーストクラスサーティフィケーション89.5点以上。GMに相当。FCC=GM>AM>BM=HCC:年に10株ほどが授賞する。これほどの高得点株を持つのは初めて)を二度も授賞している超優良個体であることがわかった。3冊の本に載っていて鮮やかな赤い花が咲く。そんなすごい株を安く手に入れられるというのはありがたいことである。バイオ技術さまさまである。新芽があるのでおそらく順調に育つことだろう。耐暑性もあるという。来年の秋が楽しみである。これに気を良くして行楽にかこつけて明幸園にゆくのであった。

リパリスが2種類。ハベナリアを1種入手した。気分的には物欲が低下している。属が2つ増えた。この三日で5鉢も増えた。

レリオカトニアが開花した。

11月22日(金)

出張で豊橋に来ていた。少々気の張る仕事で、ビジネスホテルから少々元気なく出かけた。三河は暖かい気候であるようだ。そのためか街にランが多い。あちこちでデンドロビウムやシンビジウムを見る。昨日通りかかった花屋の店先の見切り品100円のかごの中に活きのいい胡蝶ランが3株出ていた。胡蝶ランはいい加減たくさん持っているのだが、「ここまで来ていい土産が」「100円だ、100円だ、すごいぞ100円だ」「あの小さい株なんか色艶がすばらしくいいねえ」などなど、頭をかけめぐるのであった。仕事の山場を越えて食事に出かけるときも手にとってじっくりと見た。帰りに残っていたらこの株をつれて帰ろう、などと思っていたのである。だが、帰りによって見るとその株は売れてしまっていた。やはりラン好きが多い街のようだ。

途中名古屋で降りた。まだ時間がある。懸案の「ランの館」にゆくことにした。「わからん!」と毎度思う名古屋特有のよそ者に不親切な表示に毒づきながら目的地にたどり着いた。大層立派な施設である。下水の潜熱を利用しているのだそうだ。館内はしっとりした湿り気があってぬくい。入館料700円なり。華やかなカトレアの種類をたくさん見たいと思っていたのだが、あまりなかった。どの程度見せてもらって満足するか難しい値段設定ではないだろうか。700円といえば結構な金額だ。花はなくともいろいろ珍しいランを見せてもらったのでとりあえず満足はしたが、それでも高いと思える金額だ。つい「バブル期のつけ」「見通しの甘い自治体」などという言葉が頭をよぎるではないか。まあそういう剣呑なことは頭から追い払ってよくランを見てまわった。ふと外が綺麗にしつらえた庭になっていて暮れてしまったためイルミネーションが美しい。しかし、そんなものよりも心をひきつけるものが庭の隅にあった。多量の見切り品のランが並ぶコーナーがあったのだ!。早速見てまわる。胡蝶蘭の見切り品は300円だが、外に出してあるのでかわいそうである。シンビジウムやオンシジウム、デンファレが多数というところだ。珍しいよく知らない属300円があったのでこれを握り締める。あとでラン属データベースで調べると「ブイルステケアラ (Vuylstekeara)略号 Vuyl. 人口属コクリオダ×ミルトニア×オドントグロッサムの3属交配人口属。1912年登録。 代表種  Vuyl. Edna」そのまさにVuyl. Edna ‘Stamperland’だった。よしよし。

ディサのユニフロラそっくりの鉢500円もあったが名無しなのでよくわからない。あこがれのユニフロラだが最高気温28度となればまず枯らしてしまうだろうから遠慮する。

この買い物に満足してさっさと引き上げて帰ってきたのだった。

帰ってみるとわずか1日半いなかっただけなのだが、Blc. Dal’s Horizonの別バルブの花が開花し、バンダはますます見事になり、Lc.Elceritoには花芽がみえ、C.intermedia?には3つのバルブにつぼみが見え、レリオカトニアペギーサンのつぼみがほころび、Blc.MountSylvanのつぼみがシースからどーんと出ていた。ジゴペタラムの花芽も伸びてきている。まだまだこれからが楽しいところらしい。

メールが職場から届いていて、デンファレ宮島が単一花連続開花新記録77日を達成していたことを知った。やれめでたや。

11月21日(木)

本日は出張で豊橋に行く。準備が猛烈に大変だった出張である。その地獄も水曜日に終わり、夜中ますますみごとなバンダをまた部屋の中央につるして周りで踊っていた。最後に咲いた花をみていると、ペタルがセパルの前に出ず、斜めにした翼のようになっている。これまでは矯正して花が平らな五角形になるようにしてきたのだが、今回は触らずに様子を見る。Blcのがくへんが(管理が下手で(^^;)さっさとしなびてきた一方で、バンダはますます見事である。青い翡翠という感じだ。目の覚めるような輝く青い巨大なサファイヤの原石を見ているようだ。英国のラン好きはバンダをもっとも美しいランと言っているらしいが、わかるような気がする。たまたま疲れすぎてそう感じたのかもしれないが、とにかく凄絶な美しさだったと車中思い返していた。写真であの色をみたことはない。写真は光の反射をみているのだけれど、実物では透過した光もみている。パソコンのCRTなどは光っているのでやや紙の上の写真よりも近いようにみえるが、まだ及ばない。バンダはラン展にはあまり出てこないのでその花を観賞する機会が少なく、また、花がなければ首なし骸骨標本がぶら下がっているみたいなのでリビングにさげておくには少々えぐい。当然購入の機会はすくない。しかしバンダはいい。今度は大輪の黄色を探そう、などとたくらんでいる。(私の持っているバンダと同品種は大和農園洋ラン部の温室にあった)

仕事が終わり、宿まで歩く。安い宿を取ってしまったので駅から結構あるのだ。宿を取ったとき、「そこは郊外で道中に大きなホームセンターか花屋があって、ちょっと近畿ではあまり(見切りでは)手に入らないようなランが置いているのでは」というようなことを想像していた。阪神淡路大震災の2ヶ月前11月22日の日誌に「地震二回:夜中に二回起こされる。夜中に寝ぼけながらでも地震というのはなにやら恐いなあと思ってしまった。もう数えただけで8回だが(猪名川の群発地震のことを言っている)、近いうちに巨大地震が関西を襲って近所の家が地震のがけ崩れで倒壊する想像をしてしまった(これははずれた)。今のうちに地震対策をしておこう。震度5くらいを想定しよう。大阪や神戸でもマグニチュード6をこえる地震が起きている記録がある(そのとき理科年表をみていた)。」てなことを書いて仕事場(震度5は大当たり)の高いところにあるものを下ろしていたのである(おかげで被害なし!)。偶然さ、ぐ・う・ぜ・ん。

宿は大きなホームセンターのすぐ近くにあって、チェックインしたときはすでにマスデバリアの鉢を手にしていた(^^;。でもランの想像をする一方で「東海地方に48時間以内に巨大地震が起こる可能性があるため交通機関はすべて停止」という非常事態宣言が出て、ランを手にどこまでも歩いて帰るという想像もあらかじめしていたのだった。こっちのほうは勘弁して欲しい。うーん、震源はどこかなあ。

豊橋はごくごく普通のまちなのだろう。駅前はさえない。かなり歩いて寂しい暗い暗い道だと思っていたら煌々と明かりがともる一帯にさしかかった。郊外型の大型店舗が並んでいる。最近はこういうパターンが多い。住んでいる人間に便利な店が駅前でなく郊外にあるのだ。もはや駅等はたいした機能がないので周辺は空洞化しているのだろう。ホームセンターはあった(カーマKahmaホームセンター豊橋汐田橋店)。なかなか大きな店だ。やれやれしょうがないねえ、とおもいつつ店の入り口に向かう。球根も捜すつもりだが、本命はランだ。球根にはみるべきものはなかったのでほっとする。荷物が重いのだ。そしてランはあった。デンファレの一株植えが招いている。1鉢植えとはこの店なかなかやりおる。ほお、なかなかのデンファレだが、こんな大きなものを持って帰るわけには行かない。面白い柄のいい花だ。1株400円。おしいなあ。おお、マスデバリアがある。よく乾いているが活きがよいものがあった(400円、980円から見切りで)。名無しだが、これはいい感じだ。葉が大きい。花の咲いた後が5つもある。新芽まで出ている。2.5号鉢と場所をあまり取らないのもよい(有限会社さくらオーキッド、八ヶ岳高原で育てたのだそうだ。あとで探し当ててメールで品種名を聞いてみよう)。これを握り締めてみているとインターメディアのようなカトレア500円や、Bcの名札ありカトレア800円、胡蝶蘭多数、オンシジウム多数、シンビジウムの札ありHCC/AOSが500円、どれも活きがよい。これにはくらくらきたが、何をしにきたのか思い出して踏みとどまった。

この店のランは乾いていて、屋内の温かいところにあった。水を切らしすぎてしおれているマスデバリアもあったが、多くのランにはこの扱いがよい。あっぱれ見切り品のよいホームセンターである。種類が豊富なだけでなく、マスデバリアみたいなめったに見かけない蘭を置いているところもまたよろしい。これまで見てきた6系列のホームセンター中では最高と言うべきだろう。

11月17日(日)

大和農園洋ラン部へ行ってきた。だが、手ぶらで帰ってきた。素晴らしく花の形がよい、白いリカステ1500円、欲しいと思っていたビーララ1500円の誘いを振り切って帰ってきた。花がたくさんある時期なので満足しているからかもしれない。風邪を引いて具合が悪いようだ。

先週ビニールをまいて再起動した去年のランの棚は、側面のビニールをまだ張っていなかったので、「燃えないごみ用」ゴミ袋を張っておいた。これに仕掛けた最高最低温度計が本日32度をさしていた。これはまずいと考え、排気ファンをしつらえた。ファンはパソコン電源用12Vのものを9Vのアダプタで回している静かなものだ。これに煙突代わりの牛乳パックをガムテープで取り付け、先端にビニールをつける。風が送られるとビニールは風圧であがるが、風が来なくなると外部の空気が入らないように自重で閉じてしまう仕組みである。電源をサーモスタットにつなぎ、29度で動作するようにした。内部の熱い空気を追い出し、棚の下から涼しい空気を吸い込む仕組みである。

また、湿度不足だったようで、鉢がどれもからからだった。水を張ったトレイをいくつも中に入れた。水蒸気が発散するように割れた素焼鉢を入れた。

側面ビニールを張ったことで夜間温度は高くなったようだ。

11月15日(金)

 今年はシンビジウムの花芽の動きが早く、もうつぼみが見えてきた。シンビジウム ラインストーン 'キュート'及びシンビジウム オールスター ’ラビアンローズ’ である。

11月14日(木)

本日Blc. Dal’s Horizon, Den. Pramort, Den. ‘サティDen.SecondLoveが相次いで開花し、開花株数が12に達した。過去最高の開花数になった。実に10%のランが咲いている勘定になる。職場も4鉢のデンファレが咲き、花だらけでこう目立つとまずい、などと心配するほどである(同僚の別の部屋にまで分散させていた)。この時期景気がいいのもデンファレが5鉢も咲いているおかげ。まだつぼみつきの株が5つあり、ますます盛大になりそうだ。

デンファレ宮島は最初に咲いた花の連続開花日数が70日になり、来週の金曜日まで咲けば新記録達成である。

著者は、「よく咲くなあ」と横目で見つつ、少々癒されながらもせっせと仕事をしておるわけです。

11月10日(日)

夜中にせっせと自作ワーディアンケース(木造)にビニールを張っていた。我が家のケースはリビングの最も日当たりのよい掃きだし窓一間分全部塞いでいるという「道楽亭主」ぶりであった。しかしランが多すぎてビニールを掛けて密閉できない。89鉢ものランはさすがに入らなかった。昨年利用していた和室の掃きだし窓一間分をまた利用するほかはないようだ。翌朝さっそく昨年利用して夏場外でランの棚にしていたこれも自作の棚を掃除して仏間に引きずり込んだ。物置から昨年利用していたビニールシートを持ってきて掛ける。また、サーモスタットと電球100W、パソコンのファンを直流アダプタとつないだ送風機(静かである)も据付け、ほぼ昨年の状態を復旧した。収容能力はこれで十分である。なにやら今年も安心して冬を乗り切れそうな気がしてきた。

11月9日(土)

Phal.「ロイヤル赤」

2002年11月9日(土)ロイヤルホームセンターにて開花株980円

 もう胡蝶ランは間に合っている、と思いつつも「2本立ち胡蝶蘭980円」の広告を見て前日からそわそわしていた。ついにそこまで安くなったか(大丈夫か日本経済)。行ってみるとたくさん並ぶ鉢の中でこの鉢だけまだ持っていない濃い赤に近い胡蝶蘭だった。迷っている私に回転寿司をおごってもらって機嫌のよかったかみさんが「買ってやろうか?」というのでつい手が出た。ポイントがたまっていたので実際に払ったのは28円である。さて、おちついてよく眺めてみると1株は葉が2枚だったり、もう一株は4枚目の葉がしおれつつある。根をやられているようだ。写真を撮ったあとですぐ植え替えである。真冬に植え替えをするのは無謀であるが、この手のばくちが好きなのでやってしまう。プラスチックの大鉢に葉が埋まりこんでいるほど入れている水ゴケを取り除くとプラポット入りの株2つがころんと出てきた。プラポットを取り除き、根を調べる。見立てどおり結構、いやほとんどやられている。寄せ植えのままでは早晩枯れてしまう状態だった。しかも売り場が体感8度というのに水をやっていたのか随分湿っている。仕入れた植物の性質の情報ぐらい売り場に伝達することにどれほどのコストがかかるだろうか。売れずに植物を枯らして利益を落としていると見る(実際そういう弱ったランが結構ある)。簡単な育て方説明書をつけて売るべきである(店員にも読ませるべし。わしがつくってやろうか?ボランティアでやってやるぞ。メールをくれ)消費者までも教育すれば蘭好きの需要を掘り起こし大きな利益を生むと思うが如何。屋外に胡蝶蘭を出して直射日光にあてている人を見たことがある。(一晩考えたのだが、そういう邪魔くさいものが付いていたのでは消費者が恐れをなして買わなくなるという儲けの上での配慮があるのかもしれない。希望者に育て方の冊子を渡すとか。そういえばHowto冊子を無料で並べていたがランの育て方があっただろうか)

ランがかわいそうだ…。多分どこぞの業者がこのところの低温でしくじった鉢を安く仕入れたのではないだろうか。実は不景気で倒産し、温室の油が買えなくなったため泣く泣く売り払ったのでは、という想像すらしてしまった。

安いものはなにかしら理由がある。安ければ利益が薄い。自然粗末に扱ってしまう。買った人もつまらない思いをするようなことになればますます経済の流れというのは悪くなるだろう。高嶺の花の胡蝶蘭だったころが懐かしいような。それにしても、この蘭はこれからも咲かせたい。それぞれ3号素焼鉢に植えつけた。

11月7日(木)

バンダが今年二度目の開花である。デンファレやらレリオカトレア、ドリチスなどどれもピンク色ばかりだったので青色の花が咲くと気分がかわってよろしい。Blc. Dal’s Horizonのつぼみも出てきた。カトレア「おまけ」のつぼみも順調だし、デンファレは60日連続して咲いている宮島や、巨大な花の「花工場」、ストライプの「ロイヤル」、つぼみがいっぱいのPramort、サティ、花芽3本の宮島、Second Loveなど花に不自由しない。

かなり寒くなっているのだけれど、多くのランが休止といいつつ花づくりの作業をせっせとしているようにみえる。

掲示板をおっかなびっくりつけた。けちけち蘭栽培のよい交流の場になればとおもう。カウンターもつけてみた。

11月4日(月)

 富山昌克著、「よくわかる栽培12か月デンファレ」、NHK出版、2002、950円を買って読んでいた。

デンファレは素晴らしい。育てやすく、律儀に花が咲き、種類が豊富で、花期が長い。しかし一般には高難度のランと考えられている。だが、実はちょろいものなのだ。13種類中咲かなかったのは2種だけである(買ったときかなり痛んでいたやつ)。なぜこのデンファレを育てようという本が出ないのか不思議に思っていたのだが、このたびやっと出た。この本が出るまでは、もらった人はどうしていいかわからず、冬に「デンドロならさむくても枯れない」と勘違いされてたくさん枯れていたのではないだろうか。もらったものよりも咲かせたほうが楽しいのがデンファレというものである。この本のおかげでラン展などでの苗の値段(相場500〜700円)が上がることは間違いないな。やれやれ。

バンダのつぼみが「咲くぞ」という姿勢で色づいてきた。ふふふふふ。バンダですぜ。たぶん水が合うのだろう。我が家は石灰分が少ない上流の綺麗な水である。石灰分はバンダの根に沈着してバンダが枯れてしまうというようなことを聞いたことがある。堆積岩の地域には石灰岩がある場合があり、石灰分が川の水に溶け出している。このあたりは凝灰岩とかいう火山灰、火山れきのかたまったものだ。

本日「オージョイフル」というホームセンターでRobiqestia compressa(メモってきた)なる蘭650円をみた。明幸園のマークが見えるのでそこから仕入れているのだろう。まったく知らない属である。最近入手した参考書にはRobiquetiaというのはのっていたがこの種名はみつからなかった。スリランカ近辺の単茎性、着生ランで、熱帯雨林の木陰にぶら下がっているらしい。今度明幸園に行ったら探してみよう。

11月1日(金)

昨年花が大きいと思って買ったデンファレ「花工場」は4月から職場で世話をしていた。順調に育ち、10月28日に開花し、11月1日には78mmに達した。これほど大きなデンファレの花はあまりみない。色柄は「宮島」そっくりだが、3割り増しぐらい大きく見える。

桃色ストライプの「ロイヤル」が11月1日に開花し、Lc. Special Lady10月25日から開花している。

10月26日(土)

家族サービスで海遊館にいってきた。帰り道に大和農園が立ちふさがっているわけですよ。家族を和菓子屋に残して引き寄せられるようにちょっと見に行ってみた。もうこれ以上棚にランは入らん、という気分だったので欲望は低下しており、心安らかに閉店間際の展示室をみてまわっていたんですね。一回りしてみて、魅力的なランはたくさんあったのだけれど、今日は手ぶらで引き上げようと思っていたところに店員が一言。

「温室もご覧になりませんか?」

温室へのお誘い、さては顔を覚えられてしまっているか、常連と認識されているためだろうか。

温室の魅力にはあらがえず案内されるままに魅惑の殿堂に足を踏み入れた。温室の前に小部屋があり、そこには「大和農園洋ラン部ファンサイト」で写真を見たことがある大和農園の社長がおられた。この蘭店のオーナーともなれば、蘭好きには雲の上の人。なにしろ温室を見渡しても私の100倍どころではない膨大なランが並んでいる。これ全部持っているのね、という人だ。しかもそれで食っている。ははあっ、と恐れ入ってしまうわけです。

温室には、あわれこの道にはまった若いだんなが奥さんを小部屋に残してランを追いかけていた。私は夕暮れの温室を「どれも高そう」と落ち着かない気分でみてまわり、本でしか見たことがないような珍しいランや、美しいランをさっと眺めてまわっていた。我が家でつぼみが7つでているバンダ・サンサイブルーがあり、どれも花芽がでていた。ものすごいランの数で、カメラ持参でたっぷり時間があれば3時間は過ごせそうな素晴らしい温室で、花がなくても楽しめる私には蘭展に匹敵する内容かもしれない。そこへかの社長のご登場である。「ご尊顔を拝し恐悦至極に存じ奉り」状態になり、なにごとか話しかけられて、「いや、特には。素晴らしい温室ですね、じゃっ」とは言えず、この1年探していた「エピデンドラム・マリエはありますか」と聞いてしまった。それが広い温室のすみから20秒で出てきたのには驚く。

このランはかみさんの指名手配であった。緑色と白のエピデンドラムとしては大きな花が咲く。かつてはエンシクリア属で、エピデンドラム属にはいり、さらに最近Euchile mariaeとなった。この属はcitrinaとともに2種だけがメキシコ特産で、mariaeは丸いバルブの上に20cmの花茎がのびて晩春から夏にかけて7.5cm径の花を4ないし5個つける。冬の間よく乾燥させて育てるらしい。

苔むした2.5号鉢が並んでいる。高そうだなあ、まあこの機会だからと手に取り値段を聞いてぎょっとした。

2000円だった。以前わざわざ須和田農園まで出かけたとき、小さなバルボフィラムの鉢の値段を聞いて5000円といわれ、這々の態で逃げ帰ってきた時のことを思い出した。300円に慣れきった男にはつらい値段だった。しかしである。この日は家族サービスでジンベイザメのぬいぐるみ3000円(2週間にわたり幼稚園児にあの手この手で要求されたため)を購入していたので散財ついでとばかりに意を決した。2000円は確かに相場なのである。有名品種にもかかわらず、かなり探したが見当たらなかった。増えにくい種類かもしれない。

2000円を超えるランはこれで3鉢目になる。1鉢目は、まだ1鉢しかもっていなかったころ東京ドームで台湾の蘭屋から買ったもので、1ヶ月後に新芽がくさって取れてしまった。この鉢はバックバルブから小さなバルブを出させてリカバーし、4年かけて来年の開花をめざしている。2鉢目は花が三日しか持たないスタンホペアで、我が家最大であり大きすぎて難渋している。このように2000円以上はげんが悪い。このマリエちゃんはすでに鉢から斜めになってはみ出している。このバルブが来年花をつけるわけで、粗略にはできない。家に帰るや植え替えをしていた。ついでにこれもはみ出していたEpc.ElHatilloも植え替えた。根がよく動いているから大丈夫、という判断である。素人の思い込みかもしれない。

植え替えでバックバルブの根元が黒くなっているものがとれた。ただ捨てるのも芸がないので切ってみた。内部に筋だのたまねぎのような同心円といった構造らしいものがない。ただ均一な組織がある。ジャガイモやサツマイモだってまだ模様みたいなものがあるが、まったく均一な組織に見えた。汁がぬるぬるしてねばりがあった。

家の蘭を眺めると、胡蝶蘭から花芽がでたものが5鉢になった。花芽のついた鉢の合計は17鉢になった。ふとあの温室を思い出す。知らない人にはただの草がつまった掘っ立て小屋かもしれないが、私にとっては世界とも思える広さを感じた。一歩進むごとにそこにあるまでの複雑な経緯のすべてを情報としてもつ1鉢1鉢が見えてくる。そう、1鉢ごとに、これこれ属のこれこれの種で、名前の語源、花粉塊のかたち、花の大きさ、花茎の長さ、葉の長さ、幅などmm単位の情報、育て方はこれこれ、コンポストはこれ、肥料はこれ、温度は何度、水のやり方、誰がいついつどこで採取し、誰がいつこれこれと交配したり、いついつだれそれにより優れた個体が見出されたり、これこれの賞を受賞したり、という来歴のすべてがトレースできる。まったくあそこはワールドだった。

10月17日(木)

夜に鉢を取り込んでいたときトレイでデンファレの花芽をしばいてしまい、花芽が取れてしまった。花芽3本立ちの巨大デンファレで、多量の花が咲くのを楽しみにしていたので残念である。鉢の出し入れには気をつけたい。

デンファレは5種類開花して1ヶ月経ったが本番はまだまだこれからで、来年の3月頃までいろいろと咲いているだろう。温度と湿度さえ保てば真冬でも綺麗に咲いてくれる。

名札なしの見切り品を買ってきてリカステだと思っていたものがよくよく見るとどうもビフレナリアそっくりという鉢がある。葉、バルブなどの特徴が酷似している。このほど根元から芽が出てきた。花芽か葉芽かわからないが、花が咲けばさすがにわかるので花芽を期待している。

10月16日(水)

このところ胡蝶蘭類、バルボフィラム、パフィオ以外は日中野外で直射日光に当て、夜にデンドロ以外は取り込んでいる。涼しいと気持ちがいいのかどの株も活発に活動している。

10月12日(土)

知り合いに4鉢ランをもらってもらった(Den.’倉敷開花株1/3株、Onc.「旭」1/3株、Dor. pulcherrima(色は薄桃色)1/2株、Den. Yukidaruma ‘King’ AM/AOS.JOS。もらってもらえればというランを集めてみるとトレイ2つ分、20鉢にもなる。どれも株分けで増えたものだ。株分けは増やしたいと思ってしているのではなく、買ってきたときに寄せ植えを1株ずつ植えつけたものや、高芽が出たり鉢からあふれるような株に成長したもの、バックバルブから芽がでたりで増えたものだ。増えずに末永く息災でいてくれれば一番ありがたい。

この直後、今年も開花しなかったブラッシア4号鉢の植え付けがどうもおかしいと思って植え替えてみた。ミズゴケが内部ですかすかだった。自分では腕が上がっていると思っているので、昨年の植え方が許せないのである。株も込み合っていたので分けた。リード+3バルブ程度と考えて株をわけると3株になってしまった。3号鉢に硬めに植えつけた。古いバルブ3つが連なったものがのこったが、これは心を鬼にして捨てた。バルブ伏せにすれば芽が出るかもしれない。かわいそう、などと思ってしまうのである。相手は草ではないか。野菜には引っこ抜いたり葉をむしったり、ほりあげたりと悪行の限りをつくしているのに、古い茎を捨てたからといって何ほどのことがあろうか。しかしながら抵抗を感じる。実は、今年分けた株からまるで新しいバルブが出ない鉢があったのである。根しかでなかった。こういう場所ふさぎは始末するしかないのだ。しかし、よくよく手をつくせば3年後ぐらいには開花するかもしれない。何しろ2000円出して買ったポチナラの苗の新芽がくさり、バックバルブ1本から3年で3つのバルブを出して来年は開花と思われるところまで持ち直している鉢がある。しかし株分けしてよく咲く本家のほかに2鉢もある。必要な鉢ではないし、人にあげられるような鉢でもない。そろそろ吹っ切らなければならないのである。不必要な部分を切り取れるようになれば、必要な部分に注力できるからだ。

話は変わるが、鉢を家に取り込むと、緑色にずるずるとしたコケがべっとりと鉢にまとわりついていてそのきちゃならしさにおぞけをふるう人もいるのではないだろうか。ラン数寄はこの点で家族の理解を得られず肩身の狭い思いをしている場合もあるだろう。家の中にコケでずるずるしたものを入れるのである。きれい好きのかみさんに嫌がられないはずはない。それでこの鉢を取り込む季節に鉢を磨くしんどい作業に向き合うことになる。聞いた話では「出張先のホテルの歯ブラシを持って帰り、これで鉢をこする」という。指でこすって落とそうとしたことはあるが結構な手間だ。いまや100鉢以上あるのだ。大変な労力になるだろう。

朗報である。手軽でこの作業が面白いほどはかどり、楽しくなる方法を編み出したのだ。耐水研磨紙を使うのである。紙やすりの黒いやつだ。100円ショップで5枚組で売られている。120番(荒さを表す数字。数字が大きいほど単位面積あたりの研磨剤の粒が多く、細かい)がよかった。5cm角の一枚で30鉢は磨いた。洗面所などでずるずる鉢の表面に水を流しながらこの研磨紙でこすると面白いほどコケが取れる。研磨紙は鉢の表面までこそぎ落としてくれる。これで目詰まりした素焼きの微細な孔を開く効果があると期待している。通気性の向上は根の健康のために必要なのだ。冬場は鉢の乾きのよさが根腐れを防ぐだろう。この作業で鉢の表面はぐっと手触りがよくなるという効果もある。蘭屋さんが売る鉢などもけっこうずるずるだが、これを売る前に磨けば売り上げも上がるのではなかろうかと思う。古本屋では手垢で汚れた部分に紙やすりをかけている。商品に磨きをかければ見た目がよくなり、女性客も増えるのではないだろうか。「花は好きだけれど、鉢の中にどんな虫がいるかわからないので、鉢を見ないようにして水をやっている」という女性もいるのだ。虫は、かならずいる。鉢の中でいろいろお仕事をしているのではないだろうか。だが、そいう作業者が表に出てくる必要はない。表面はきれいな鉢にして、知らぬが仏とだましてあげるのが思いやりというものではないだろうか。

10月10日(木)

ランの活動が活発化している。特に根の動きが著しく、多くのランできれいな色の根が鉢から出てきている。結構寒くなってきているのだけれど、今時分の気候がランにとって一番適しているのかもしれない。

花芽も実に多く出てきている。バンダ、デンファレ6株、カトレア4株、レリオカトニア、胡蝶蘭、シンビジウム、ゴメサ、オンシジウムなど。他にも花芽を出すと思われるものが多くあり、夏の間妙に静かだったランが大騒ぎをしているように感じられる。夜な夜な仕事から帰ると鉢を点検して2時間ほど変化を楽しんでいる。つややかによく太ったバルブや葉、葉芽、花芽、根などを眺めるのである。ランの楽しみの多くはこんなところにあるのではないだろうか。

10月3日(木)

カトレアは化ける。

私の感想である。よく日光に当て、かぜを当て、適切な時期に肥料をやり、水もたっぷりやり、いろいろ手をつくしてきた。これにこたえて思わぬ巨大なバルブが出る株があったり、年1回の開花だと思っていた株が3回目のつぼみを出し、1月につぼみを落とした株は、今年4回目のつぼみを出してきた。この株は、開花日数を数えると100日を超える可能性がある。株が分岐してバルブが3つ出ており、それぞれつぼみを出したとすればまたまた開花日数はのびる。この調子でどんどん大株にすると毎月開花、いや、究極的には一年中花がついている鉢になる可能性がある。そういう鉢の話は聞かないのだけれど、ランの世界には必ずそういうすごい鉢があるのではないかと思う。

不思議なのは、これほど美しく、香りのよい花をほいほいつける植物をなぜ多くの人が知らないのか、ということである。よく世話をすれば、年4回咲くという記述は、英文で一度みただけである。この記述は園芸日めくりカレンダーのポチナラについての記述だった。何度も読み返したほど衝撃的な記述だった。そんなすごい花があるのか、とあこがれ、そういう株が欲しいとおもいつつ世話をしてきたのである。その望みが達成されつつある。

世話が簡単で(1000円以下と安く)年4回咲く美しいカトレアを花好きが知ったら放っておかないとおもうのだ。ラン業界の皆様はそういう株をつくって、よく宣伝をして、出来ればマニュアルをつけて売れば儲かると思うのだけれどいかがだろうか。ランにマニュアルをつける、というのはいいと思うのだけれどねえ。

9月30日(日)

ランの棚をもう一つ作った。手馴れてきたため2時間ほどで組みあがる。1つのコストは2000円ほどである。窓辺は棚がかっぽりとはまり込み、開花中のランが並んでいてにぎやかだ。窓がふさがったように見えるが、キャスターつきなので寒い夜間は棚ごと窓から離れるようにしようと思っている。

寒波に恐れをなして庭に展開している蘭を室内に持ち込んで混乱した。蘭を耐寒性で分類し、新たに部署し、寒波が来た場合速やかに室内に取り込めるようにする作業でへとへとになった。ランが多すぎると感じた。昨夜は16度だったので今夜は屋外とおもっているとまた雨が降ってきたので取り込んだ。

蘭については、きれいな花もいいが、植物自体に興味があるので、ラン科の属のリストを作り始めた。380属ほどはすぐ手元の本で見つかる。目立たない種まで網羅した日本の蘭の本をあさると多くの属名がでてくる。日ごろ学名だと思っているものは、どうも簡略化しているらしく、学名で記述されたものをみると発見者の名前や、よく分からない略号が多く使われている。

属名の由来はほとんどがギリシア語である。学名というとラテン語だと思っていたのだ。記述はラテン語でおこなうのだが、語源がラテン語という属名はまれだった。人口属や種名は人の名前も多い。延々奇妙なつづりをにらむ作業の連続で400属をこえたリストを作成した。まだまだ増える。しかし750属の情報を集めるのは大変なことだと思う。

9月25日(水)

休暇中思いがけず明幸園の側を通りかかったので足を延ばした。渋滞で時間を食い、行って見ると閉店した直後だった。6時半までとのこと。遠方から来たのに残念、などと店員にいうと少しだけならと店の中を覗かして貰い、見切り品3株を引っつかんで売って貰った。またまた明幸園に大層感謝している。

しかし帰り道3株も増やして後悔していた。これからはこれぞという逸品をもったいをつけてかうのだ、などと思っていたのである。

家に帰り、名札をみて喜んだり困惑したりする。

B. nodosa ブラサボラ ノドサ

780→300円。高名な原種でうれしい。開花期は秋だそうな。来年までにしっかり育てよう。

Sc. Beaufort ‘Elizabeth’AM/AOS ソフロカトレア ビューフォート エリザベス

800→300円。むむむ、数時間前古本屋で買った古い「趣味の園芸」1988年1月号のカトレア特集に載っていて「ええなあ、このカトレア」とか思っていたやつだった。個体名が違うので特徴は違うだろうが、欲しいと思った数時間後に手に入るのであるから奇遇である。開花期は不定だとか。

?(N?P?V?)ormidium bulbosum

770→380円。ラベルはなく、値札に見たことがないつづりが書いてあった。心当たりのつづりはすべて当たったがわからない。ネットでもかからない。まったくなぞのランである。南米産という雰囲気である。葉っぱがマキシラリアのようで2枚頂生し細い。5cm細長いバルブがある。葉の間から花茎が立ち上がり、3cmほどの細い花がついている。エピデンドラム・コクレアタムをほそーくしたようなといえば近いような。ランはまだまだ知らないものが多い。

家に帰り、最高最低温度計をみてたまげる。8度!?。なにかの間違いでは。何を思ったか夜に水をやったりしていたが、どんどん冷え込んでくるので心配になり、寒がりなランだけ家の中に入れた。翌朝また温度計を見ると最低気温9.5度だった。週末は本格的な冬支度を始めなければなるまい。

9月22日(日)

風が冷たくなり、強く3日も吹きつけている。今月に入り何度もランが飛ばされた。大きな被害はないが、セッコクのバルブや株分けしたエピデンドラムが折れ曲がってしまった。そろそろ秋雨が気になり始める。ビニールシート298円を買ってきて備える。最低気温も摂氏14.5度を記録した。

またランの棚づくりをトライするため木材を買い込む。今度は木ねじで作ってみようと思った。2種類の角材を切り出し、安いすのこ(2枚350円33cm×75cm)がちょうどはまり込む大きさの棚をつくった。切り出して木ねじでくみあげてゆく。1時間少々で望みの棚が出来た。高さ170cm、幅78cm、奥行き38cmである。横棒にすのこをわたし、一段の収容数は10鉢〜20鉢。もう1つ棚を作り、100鉢を収容する予定だ。温度を20度に高め、太陽電池ファン、温度調節器、排気ファンなどを備えて冬でもバンバン咲かせるすごい棚にしたいと考えている。棚のかたちがみえて気合が入る。

園芸店にゆきカトレア名札つきSlc300円の見切り品を見ていると、かごにオンシジウムと花が60mm程度と小ぶりだが青いバンダを入れた40台のおじさんがやはり見切り品を気にしながら横を通った。むむ、同類に違いない。私のようなけちけち園芸おじさんは相当数いると私は見ている。この間もご近所の同好の方(40鉢)から楽しいメールをいただいたのであった。ありふれたオンシジウムに手を出しているところを見ると、ランにはまり歴はそう長くないだろう。しかしもう数分早く来ていればあのバンダを検分できたのにと、残念に思った。レジで後ろについていたが全部で1200円とか店員がいっていたのであのバンダは花が7つほどもついて1000円以下のお買い得品だったのだ。ちっ、惜しいことをした。 

そういえばうちのバンダはどうしているだろう。かえってしらべてみた。太い根が9月に入って出てきている。株が充実してきたようなのでそろそろ次の花芽が出ないか期待していた。よくよくみると葉の間の深いところに小さな花芽を見つけた。7月にあれほど見事に咲いたのに、まったくこのバンダはすごい。「ふふふ、勝った!」などとほざいていた。

9月16日(月)

自生地発見である。

ふと思い立って家から徒歩三分の裏山に出かけた。マツタケシーズンとかで山に入るのはアメリカをゆくイスラム教徒のような気分である。細道が山を縫うように続き、延々お地蔵様が1kmにわたってならんでいるという面白い場所がある。その細道から外れる別の道に分け入った。南向きの斜面だが木々が高く、下草がほとんどない場所で細道の上にランが落ちていた。どこにも根を張ることなく、抜かれた草のようなそれを持ち上げることが出来た。唐突な話だが春ランのようである。集中豪雨で流され、細道の上に放り出されたのであろうか。ひからびたように軽い。代々の干からびたバルブが連なっている。ラン独特の根が伸びている。この根を見るとランであることを疑えない。辺りを見回すとそこここに同じ種類のランが生えていた。ランを見たいと思って山に入ること8分にしてランをみたのである。ほんまかいな、といういぶかしい思いとともに、ランを手に山を降りた。こういう株を持ち出すこともある意味では自然破壊とのそしりをまぬかれない。育てて大きくしたら山に返す、とかなんとか理由をつけて山を下るのであった。本当に春ランかどうかわからないということがあり、よく見てみたかったのである。

しばらくして、細道のそばに生えていたことから人が植えたものではないか、という疑いがでてきた。もっとよく見ようとまたまた山に行く。今度は地蔵のならぶ道をあるく。よくよく見て回ったが、それらしい植物はみえない。さらに道を進むと、南向きの斜面で、下草のすくない場所に差し掛かったときにつぎつぎとランが見つかった。結構たくさんある。春ランが増えすぎたらここに植えに来よう、などと考えていた。今度は自然に咲いているところを見たいと思った。春にもうろうろしているのであったが、時季をはずしたようである。頻繁に見に来るしかないようである。

9月15日(日)

HPのタイトル文字の「蘭」をワードで作図して篆(てん)書体(はんこに使う古い書体)で書いてみた。五体字類を100円で手に入れたため、はんこに使う字をすばやく引けるのである。ある団体の15文字のはんこを篆刻ぽく彫った実績がある。こういうことをやっていると20はふけて見えるだろう。さてこの蘭の字はよく見ると人が棚のようなものを支え、その上にランが生えているような絵になっている。まさにそういう植物ではないだろうか。

9月もなかばになり、絶好調と思われたランたちだったが、どうもそうでもないようだ。今月はどうしたものか徹底的にどこまでもついておらず、その余波なのか、これまでなかったランの落下が5鉢もあり、1鉢ひどい葉やけをやらかしてしまった。まったく何かにたたられているように思える。

ラン用語集を作り始めたのであるが、参考にしようと用語をネットで探して見ると、これでもかというほど立派な用語集が見つかったためにわかにぐれてしまい「いい加減な用語集」を作成している。

またまた大和農園洋ラン部に出かけてきた(3回目)。この時期は近所の園芸店にでかけても出物がなく、ぱっとした花もない。けれど家にもっとも近い本格ラン屋さんにゆくといつでも多種多様な開花株が飾られている。激安名無し株もいいが、少々高くてもこれはいい、というお気に入りの花を買ってくるのもまたいいのではないだろうかと思うようになった。1000円の大輪カトレアがあった。300円程度の花無し株もいいが、どれも小型のLcであることが多い。136mm幅の大輪のカトレアというのは見切り品では出会えない。1000円で買い得と思えるほど端正な花だった。香りをかぐ。すっきりした甘い香りがする。まあ落ち着こうと店内を一回りして、なお好ましいと思えるため買うことにした。かえってラベルを見る。現場で見たときには安いこともあり、C. labiataと何かの交配種だと思っていた。けれどC. labiata × siblingと表記されていて、つまり原種だった。ラビアタといえば、最初に発見されたカトレアではないか。ランハンターだったウィリアム・スウェインソンが、採取した植物を運搬中に保護するための梱包材に使っていたぱっとしない植物を、それが届いたイギリスの園芸家ウィリアム・カトレイが育てて1818年に開花させた。当時でみれば恐ろしく大輪で美しい香りのよい花に仰天したことだろう。

これほど有名でしかも実物が美しいにもかかわらず、紹介している本が少ない。いやに安かったことを考えると、花上がりが悪い、育てにくい、病気に弱い、などなど何かあるのではなかろうかとかんぐってしまう。もう次は当分見られないかも知れないと思い、むやみと写真を撮った。それにしても惚れるような花である。もう元は取った気分だ。それから資料をあさったりネットで調べたりしたが、ラビアタ専門のすごいマニアがいるようだ。育てにくい種ではないという。よく見ていると、つぼみがついていた跡があり、花が少なかったから安かったのだろう。それにしてもこの花は効く。

 

9月1日(日)

1年間ランの花を絶やさずに咲かせつなぐことが出来たが、やはり8月を越すのは大変だと思う。

8月の開花は2鉢だった。今年の8月までの開花は32鉢なので8月は少ない。月別に見ると、1月から7月まで4鉢以上開花している。

花の咲いた株がもっとも多かったのは7月13日から24日までの9鉢であった。通常5ないし6鉢は咲いているのに、8月は3鉢の時期が長かった。8月の層を厚くしたいと思う。

9月から12月までにはデンファレの多くと、カトレア、あれやこれやが咲くため、開花数が増えると予想される。

そういえば暑がりのマスデバリア、ディサ、ミルトニア、オドントニア、リカステはそろって夏越しに成功したかに見える。どれも暑さに強くなるような交配がなされているらしい。胡蝶蘭、デンファレ、バンダの寒がり御三家の冬越しといい、冬の陣、夏の陣を制したという気分である。

L. purprataがブームなのであろうか。初夏にNHKの「趣味の園芸」に紹介されて欲しいと思う人が多いらしい。なにやら気になりだして本格蘭屋さんである大和農園洋蘭部に行って聞いてみると、なるほど人気があるようで、花なし株がレジの横に多数並んでいており、お値段も人気を反映してか3500円と結構なものだった。うっ、と思って目をそらすと、パープラタそっくりな花が咲いている。(今思うとそこがうまい店だと思った)立派で大きな株に花が3つもついて1500円。原種、インターメディアとの交配種なのでレリオカトレアである。つぼみつきも多く用意してあった。つい手が出てしまい買って帰えると、とたんに開き始めた。でかい株だと思う。面白いほどにすっくと立ち上がった姿の良いバルブである。この時期に咲くところを見ると、交配で開花期がちゃらんぽらんになって、バルブさえちゃんとつくればほいほい咲いてくれそうな気がする。香りを確認していなかったが期待している。

秋の植え替えシーズンというべきか、胡蝶蘭を4鉢、バルボフィラム、エピデンドラムを植え替え、デンドロの高芽採りをして4鉢に植えた。

8月31日(土)

久しぶりに蘭を探しに出かけた。明幸園では探していたファレノプシスの原種シレリアナ800円を手に入れた。このほか、リンコスティリス(舌をかみそう)セレスチス1400円やバルボフィラム・ロビイ300円を買った。棚卸が終わったところらしくいつもの魅惑の特価品は少なかったものの、良いものを手に入れた。

8月21日(水)

開花した胡蝶ランは花径112mmとかなり大きい。

職場の胡蝶蘭は6月以来まだ咲き続けている。その根に花芽と思われるものを見出した。最近蘭の異常な開花挙動がよく見られる。

昨年車の中にうっかり置き去りにして枯らしてしまったデンファレ(数日で葉まで全部落ちてしまった)が春から復活し、このほど花芽が出てきた。

8月18日(日)

季節外れの胡蝶蘭セッコクが同日開花した。季節外れの野菜はまずいというが、暖かい時期の花は大きくなる傾向がある。まずまず立派な花が咲いた。

台風の接近に伴い、またまた(今期3度目)ランを家の中に避難させている。このたび室内用のランの棚を木材だけ(釘などを使わず)つくったので、これに収容した。

この季節ランはいつも棚で勤務中であったためじっくり眺める機会が無かったが、見ればあれもこれもと花芽を出しているのに気がついた。秋に開花ラッシュがありそうで楽しみになる。

8月15日(木)

昨年8月18日にデンファレが咲いて以来あと3日で1年間ずっとなにかしらの蘭の花が途切れることなく咲いていたことになる。開花期がむやみとながい蘭ならではのことだ。開花期を稼ぐという観点からみて、胡蝶蘭、デンファレ、オンシジウム、デンドロ、シンビジウムのリレーが有効だった。

Phal. Mishima Crystalがまもなく開花する。花数は6個と少なめだ。

セッコクに高芽がついたとおもっていたものが、実はつぼみで、まもなく開花することがわかった。8月に開花するセッコクは調べてもほとんど例が見られない。

7月17日(水)

Phal. Mishima Crystalは、5月の低温で花芽がでてきて現在30cmまで伸び、8月ごろ咲く予定である。3月に低温で弱りつつ咲き、4月にはへろへろだったのに、5月にはしゃんとして花芽を出し、今はしっかりした立派な株で、これで咲けばもうけものだ。そこでふと思ったのだけれど、偶然低温処理をして夏に胡蝶蘭を咲かせることが出来るとすれば、夏に低温処理して秋に咲かせることも出来るのではないだろうか。現に蘭屋さんは秋にも胡蝶蘭を出荷している。いろいろ設備があってのことだろうが、これをなんとかもとでをかけずに家庭で出来ないだろうか。

18度から25度の温度にあわせると花芽が出来るという。夜だけすこし氷を入れたクーラーボックスに鉢ごと入れておけば花芽が出来るのではないかと言うことを考えている。葉が増えて元気そうな株があるので今夜からやってみよう。

7月10日(水)

今朝のNHKニュースで「植木鉢を安全なところへ移動しましょう」と繰り返し絵付きで警告していた。こういう警告は初めてである。NHKえらい!。さすが「趣味の園芸」をやっているだけのことはある。こういうことは気の利かない民法には報道できないだろう。これをみていて、ああそうだそうだ、と庭の鉢を取り込んだのであった。先週の台風でアングロカステを痛めてしまい、懲りていたのだった。

7月8日(月)

バンダ「Sansai Blue」が盛りになった。昨夜の時点で花は107mmになりかなり大きく感じる。写真に撮ってみたが、見ためはすこし赤みがかって青紫色なのだけれど青く写っている。

蘭は大層楽しい趣味だと思うのだけれど、なぜか恐ろしくマイナーな趣味だと言うこともわかってきた。「Orchid」という楽しそうな雑誌がある。蘭の専門雑誌はほぼこれだけではないだろうか。人口が少ないマイナーな趣味である証拠に、この雑誌は1700円もする。欲しい。しかしとても手が出ない。山と渓谷社「蘭」というすごい本があるのだが、絶版になってしまっているそうだ。蘭がメジャーな趣味になれば多くの雑誌が安く出るだけでなく、蘭の専門店がたくさん成立して結構な世界になるのではないか。

それにしても、総理大臣は記者会見のときに背景に蘭をしょわなくなったので不満である。蘭業界にとっても危機的状況ではないか。これまで、デンドロビウム、胡蝶蘭、デンファレ、シンビジウム、オンシジウムなど季節の蘭が目を楽しませてくれていたのである。首相官邸にもその旨メールしているのであるが、未だにあの趣味の悪い壁をバックに記者会見をしている。そういう細かい芸というか、演出がなされなくなっているのは側近に余裕がなくなっているから、と思われ、支持率が落ちるのも頷ける。

首相官邸へのメール(5月27日)「PS.総理は首相官邸での記者団のインタビューに蘭の花をしょっておいででした。新首相官邸では蘭の花が無く、蘭好きの私には殺風景で寂しい思いをしております。国際蘭展にまでおいでになった総理にはぜひとも四季の蘭の花を背景においていただきたいと希望しております。」

 

6月24日(月)

バンダ「Sansai Blue」のつぼみを4つ確認した。まだまだ出てきそうである。ボーナスよりも楽しみだ。

掲示板などをみてもバンダの記述は少ない。バンダが最低温度8度越冬で咲く、ということが広く世間に認識されたとすれば、シンビ、デンドロ、胡蝶蘭に次ぐバンダ隆盛の時代が来るかもしれない。服一枚下げるスペースが窓辺にあればあの美しい花を楽しむことが出来るのである。世話は毎日残り湯にざぶんと浸してバルコニーに下げておくだけ、なんてことだとなおよろしい。ただ、水は選ぶと聞いている。

しかしこのバンダを咲かせるに当たっては、いろいろと世話を焼いてきた。当該バンダがランケースに入らないため、夜中2時まで部屋を暖め、就寝時には風呂の残り湯をバケツ2杯くんできてバンダの近くに毎夜運んでいたというストーカーじみた世話をしているのであった。ハイポネックスとHB101を一滴ずつたらしこんだ霧吹きを気がつくとかけていたりもした。6月でもなお夜は部屋に取り込んでいる(最低気温13度だから)。たぶん咲かないと後がコワイと思ったのであろう。しかし99里をもって半ばと考え、満開に咲いてしおれるまで気合いを入れ、購入時のようにゆめゆめおっことさないようにしよう。落ちても自分で立ってるようなバンダだとありがたいのだが。そういうバスケットをつくったらいいのではないだろうか。あのバスケットに足があっちゃまずいのだろうか。

なかなか気合いの入っている情報一杯のバンダの店を見つけたのでここで紹介しておく。種類、写真、世話の仕方など懇切丁寧だ。

 

6月20日(木)

スタンホペアは3日でしおれてしまった。まあ承知の上で購入したのだからそれはいい。

バンダのつぼみが1つではないか、と心配したのであるが、多くのつぼみの集合体らしいことがわかりほっとしている。梅雨の雨に当てると生育が良くなるそうだが、2日以上当ててはならない、とも書いてある。標高200mの我が家は、6月16日に最低気温12度を記録した。未だに用心して胡蝶蘭やデンファレなどは家の中に取り込んでいる。

蘭の設備・技術」に記述を多く追加。

「胡蝶蘭は、この時期になると株が弱るので切るほうがよい」という記述を見かける。そうしている人もいるのを見た。実績を言えば、7月半ばまで昨年咲かせていた株2つとも今年もちゃんと咲いたので、日に当てつつ花を観賞する分には長くつけて置いても良い、という見解を持っている。現在6株が咲いている。

6月16日(日)

スタンホペアという蘭を買った。巨大な空中要塞のように思える株が2000円だった。「洋ランの育て方のコツ」主婦の友社編に育て方が載っていたことや、植え込みの底を突き破って下にプラーンと花が出るという超変な蘭であるため気にしていたのである。買ってしまってから、花は短命だし、でかいし、重いしで後悔しないではない。葉がなくなったバルブが富士山みたいな格好でおもしろい、というのが慰めになっている。

本ホームページを見て「蘭中毒」をおもしろがってくださる方がおられ、メールをくださった。ありがたいことである。いろいろ有益な情報を教えていただいた。その御仁や私は「けちけち園芸」派であるらしく、それに類した「けちけち園芸」のホームページを教えていただいた。思うに、ひっそりとこのようなけちけち園芸をなさっている方々は多いのではないだろうか。

けちけち園芸はすばらしい。酒やタバコやスポーツ新聞、携帯電話いずれかの10分の1のコストで家の中に年中花を咲かせることが出来るのである。

本ページの主筋にあたる「球根園芸」は、金も労力も半端ではなかった。本日も球根ほりでふらふらになっていたのだった。もう20kgにはなっているのではないだろうか。球根一袋5球入り500円也が蘭一株の値段に匹敵するが、前者は翌年花をみられない品種もある一方、蘭ならば多くは毎年見られてばんばん増やせる。球根は来年控えめにやろうと思っている。

カトレアが開花し、ファレノプシスが3種、先週買ってきたミルトニアとサギソウが咲いて開花ラッシュだ。狂い咲き巨大デンドロビウム、レリオカトニア、いつまで咲くのかわからないエピデンドラム、しおれそうなエピデンドラムコクレアータ、ファレノプシス4種、マスデバリア、プレウロタリス、職場にあったフウラン、スタンホペアで15種類が咲いている。蘭のピークは実は6月なのではないだろうか。ユリもラッシュなのだが鑑賞する暇がない。しかも借りていた60坪の畑で作物を作りすぎて大変である。園芸全般が一年中で一番きつい頃かもしれない。

6月2日(日)

白い毛だらけの三葉虫のような3mmほどの虫が胡蝶蘭類とパフィオペディラムにだけ這い廻っていた。コナカイガラムシというものらしい。太古の生き物という雰囲気がある。足や節がいっぱいあり、目もたくさんありそうだ。拡大してみれば恐ろしい姿をしていることだろう。柔らかい体で簡単につぶれてしまう。意外なほど移動速度がはやい。最初に見かけた鉢も特定されている。母親の水遣り洗面器の水の再利用のため卵がほかの株に付着して蔓延したものらしい。だから水遣りの水は再利用してはいけない。

私だけがへぼかと思っていたが、植物園の温室でも丸々肥えたやつを見かけているのでありふれた害虫らしい。

これまでよほど気をつけて駆除してきたが、到底取り除けないとおもったのでマラソン乳剤という殺虫剤の1000倍希釈溶液をかけた。このマラソン乳剤が398円ともっとも安かった。オルトラン水和剤、スミチオン乳剤、カルホス剤など本にはいろいろ紹介されていて迷ったが、たかだか10株のランと庭のユリにとりつく害虫を駆除するのに、多くは680円という価格設定がなされており、高いと思った。マラソン乳剤は1000倍に薄めると白い液体になる。こんなものをかけて大丈夫か、という危惧はあるがままよと対象植物すべてにかけた。一部で様子をみるべきだったか。農薬を使用するのは初めてである。なんとなく悔しい。

6月1日にバンダサンサイブルーに花芽が出ているのを見つけた。表彰台に立ったような気分を味わった。つい小躍りしてしまう。あの素晴らしい大輪の青い花をまた見られるのである。バンダといえば多くの本で「18度以上、要温室」などと書かれているのでよほど難しいランだと思っていたのである。しかしNHK出版「洋ランポケット辞典」唐澤耕司、小笠原亮著に「初心者にお勧め」と紹介されていたため購入に踏み切った(本格的なバンダの価格にはありえないような1900円に強烈にひきつけられた)。花もすごいが、最低気温8度で越冬し、6月には花芽をつけるとはなんと優れた品種であろうか。育成したラン屋さんは、C-Lucky(白木)といい、インターネット通販でこの品種を購入できる。

5月25日(土)

明幸園に行きたいとずっと思っていたのである。先週須磨離宮公園に行ったついでに明幸園平野店を目指したが、道がわからなくなり、時間切れで引き返した。今回は播磨中央公園への行楽を家族への言い訳にして再度平野店に向かい、たどり着くことができた。明幸園は神戸蘭展、朝霧駅の近くの店、このたびの平野店と3度目である。これまで未知の5属を含む7種を購入した。

実に大きな園芸店である。国華園を思い出すほどだ。しかしこちらはえらく珍しいものがあり、エキサイティングだった。平野店は蘭の売り場面積が広く種類が豊富で値段が安いという聖地のような店だった。ここで蘭展を開くそうだが、売り場が植物園に匹敵する開花量である。この季節にこれだから冬は日々蘭展なのだろう。「お客様の咲かせた蘭」展示もあり、見事だった。この時期明幸園のHPに我が家のCirr.の写真を載せていただいたのだが、展示してある株を掲載すれば立派な画像コレクションが出来上がることだろう。

ちょっと手に入らないようなプレウロタリスという属が100円、ディアカトレアなども珍しく、これも400円、芽があるポチナラ400円も購入。素焼鉢は屈指の安さで、同じ号に2種類ある。蘭専用の素焼鉢なのだろうか。最近消費量が多いので2.5号45円、3号55円、3.5号60円をそれぞれ4つ買う。帰ってから気がついたのだが、どれも号数で比較して一回り大きく、0.4号くらいずつずれるという奇妙な鉢だった。微妙に大きさがずれているおかげでサイズの細かいチョイスができる。だからこのお店にゆけば2, 2.5, 2.6, 3, 3.2, 3.5, 3.7, 4などなど段階の細かい鉢が手に入るのである。サツマイモの苗20本やらミズゴケ150g295円を買って2472円なり。

時期をずらしてまた行こう。

植木鉢について詳しく調べてみた。サイズを測り、号数と外径の関係をプロットしたところ

外径 = 2.88×号数 + 0.86

となることがわかった。明幸園の特殊な鉢の号数はこのプロットから算出できる。

5月9日(木)

仕事の帰りにJR朝霧駅に寄った。懸案の明幸園に行くためである。明幸園のHPには駅を降りたらすぐ目的地の明幸園のように書いてあったが、実はかなり離れていた。600mはあったのではないだろうか。坂を上り、こちらと思う方向に進む。路上に車が並んでいて、そのそばで花の土を買って積み込んでいる家族を見つけたので店を見つけたことがわかった。見たところ土の空き地にほったてたにぎやかそうなふつうの園芸屋だった。だが、屋内の売り場に並んでいるランをみてたまげる。ふつうに売られているランにまぎれて、見たこともない、いや名前を認識してすらいなかったラン、ふつう売っていないようなフラグミペジウム、ディサ、リンコスティリス、ナゴラン、フウラン、エビネ、春ラン、寒蘭などがぎっしりと並んでいた。しかもどれもうなるほど安い。安いだけでなく活きがよい。プラスチックのはちで飾っていても中は素焼鉢が入っていたりしてありがたい。変に格好をつけていない。それだけに株のくたびれたものが少ないのだ。店員にランがわかった人間がいるに違いない。きわめて珍しいことである。

つぼみ付きの鉢が600円。その名札を見て、こんな属は知らない、とまず手がでる。カトレアの見切り品には新芽があって活きがよかったのでこれも手にする。フラグミペジウムは大きくてつぼみも花も新芽もついて800円だったためこれにも手が出そうだったが、遠距離のためけがでもさせたらとパス。目的のリンコスティリスは、美しい藤の花のようだったが、バンダそっくりで新味がないし、香りが好みでなかったことや1200円という値段もあって手にしていた株を戻した(結局4ヵ月後かみさんが気に入って1400円で買った)。かわりに花がしおれかけのカトレアの見切り品をバルブが丸くてかわいかったという理由で買い物かごに入れ(実は知らない属だった)、3株のラン1680円を買って揚々と引き上げる。帰りがけに見たバンダなどのための木枠155円はここでしか見たことがないし恐ろしく安い。水苔は298円で買ったものがここでは230円だった。こういうコーフンの店が近所にあったらラン好きはたまったものではない。さすがランの都市(ラン展を開催できるほどラン人口を擁する都市としては、東京、名古屋、神戸、岡山、福島がある。大阪はラン展が開かれなくなってしまった。京都は?)神戸を支える重要園芸店といえよう。

道中しらない属名のランの名札をまじまじとみる。Laeliocatonia、とある。これはひょっとすると家にむやみとたくさんあるレリオカトレアではないのか。実ははずかしいことにLelioとつづるものだと思っていたのだ。ランではaeとつづり「エ」と読むものが多い。Phalaenopsismariaeなど。だからLaelioも納得が行く。うしろのcatoniaは綴りミスではないのか、と当初考えた。そんなミススペルをプラスチックの名札にまで印刷するととりかえしがつかんねえ。そう思うとレリオカトレアがむやみとふえたように感じられた。一緒に買ったアップルブロッサムも明らかにカトレアと思われる花をつけており、これもレリオカトレアのようにおもわれた。また、有名品種なのでつい手にしてしまったレリオカトレアプリプリ‘ユキ’もレリオカトレアだから一気に3つもレリオカトレアが増えたと思うとよろこびも半減してげんなりしてくるのであった。

JR朝霧駅にもどってきた。その背景が世界最大の吊り橋「明石海峡大橋」のかすむ眺めだ。現場にいたそのときはわからなかったのだが、駅の跨線橋を端まで行って大きなガラス張りの展望デッキからみればそれは見えたはずだ。あの11人が圧死・窒息死した歩道橋が。その晩のニュースで私の歩いた跨線橋が見えた。あの事件で怠慢を指摘された兵庫県警が起訴されたニュースだった。奇遇といえば奇遇である。

夜、家に帰り調べる。あのしおれかかったカトレアの花はよく見ると、実はまだしゃんとしていた。花に巻き付けてある針金を下向きにしていたためしおれていたように見えたのだ。その針金は支柱に取り付けてあり、花の向きをうまく調節するために都合の良い道具であることがわかり、こういうものをつけて売っている店にまた感心する。2花のうち1花はかびたような点々がついていたが、もう一つはまだまだ美しい花だった。アップルブロッサム、とだけ値札にカタカナにかかれており、名札はない。手持ちの本でしらべてみると全く知らない交配人口属であるようだ。イワナガラという。略はIwan.だそうだ。岩永さんがつけた?。それはしらないが、さらに調べてみると

Iwanagara =Brassavola × Cattleya × Diacrium× Laelia

ということらしい。なじみのBlcにディアクリウムDiacriumとやらを掛け合わせたらしい。Diacriumとはなんぞや?。カトレアの近縁属で、Diacm. bicornutumWebで売られていた。

また、スペルミスだとおもっていたLaeliocatoniaはれっきとした属だった。これもカトレアの人口交配属としては珍しいもので、平たく言えばレリオカトレアに近縁属のブロートニアBroughtoniaを掛け合わせたものだったことがわかった。一瞬ブラッサボラBrassavolaのことかと思ってしまうが別物である。Broughtoniaの原種になじみがないからだろう。

Laeliocatonia (Lctna.) =Broughtonia × Cattleya × Laelia

Lctna. Peggy San ‘Tomomi’という。これは本で紹介されていた。

このほか、有名品種のLc. Pri Pri ‘Yuki’ BM/JOGA新芽つきを500円で購入してきた。「ぷりぷり ゆき」とはまたおもしろいネーミングである。わざわざしおれた花をつけてあるところに店のポリシーを感じる。どの程度の大きさの花が咲くか、リップの色が何色かがわかった。株の活きはすこぶるよいし、新芽が出ている。バルブの3本に花茎が出たあとがあり、お買い得品だった。家にかえってから、このままでは次のバルブが外に出てくると考え3号素焼鉢に植え替えた。株の姿がかなりよろしい。

それにしても明幸園恐るべし。なんとか機会をつくってまた行きたいものである。

 

5月3日(土)

 兵庫県伊丹市の荒巻バラ公園にて石斛を買った。

Den. moniliforme セッコク(石斛)

デンドロの重要な原種の一つ。岩手県以南の岩や木に着生する。種名moniliformeは「数珠状の」という意味。白色または淡桃色の花は香りがあり、3年目の葉の落ちたバルブに咲く。草丈は数センチから大きなものでは40cmになるという。 水苔素焼き鉢戸外栽培真夏のみ30%遮光5月緩効性肥料マガンプK液肥月3回という方針で育てる。

2002/05/03 伊丹市荒牧バラ公園付近の露天商にて500円で購入。

香りがある、と聞いただけその蘭を欲しくなるのであった。しかし洋ランを見慣れた目からみると石斛は幾分貧相に見えるため、よく見かける780円で枯れ枝みたいな棒がにょきにょき生えた鉢をみても買う気が起こらず見送ってきた。このたび露天でおじさんが売っていたそれはよく見かけるプラポットではなく株の大きさにマッチした素焼き鉢2.5号で、そこからたくさんのバルブや、新芽、花14個がついた株が生えており、しっかり作り込んできた株という印象のお買い得品であった。水苔と軽石で植えているようだ。株の割に植木鉢が小さく見えるという基本をふまえた植え方になっており、全体の姿が好ましい。このおやじ出来る、と思わせる。山から取ってきて増やしたようなことをいっていた。鉢はたくさんあって、株分けして増やしたのだとすれば何年もかかっただろうと思う。

香りがなぜか春蘭に似ている。白にちかいうす桃色の花も上品でよろしい。持ってみるとじわじわと良さがわかる。

 

4月27日(土)

昨日職場の竹本さんからデンドロの高芽をいただき、2号素焼鉢に植えた。

市内の園芸店宝塚園芸サービスで花の小さな胡蝶蘭を200円で買い、別の園芸店花工場でまたまたフォーミディブル、デンドロビウム、カトレア「サクラキャンディ」を買った。一日で4株も増えてしまった。胡蝶蘭は根腐れしていたので植え替えた。花芽がなお伸びている。フォーミディブルは花が大きくて派手なだけでなく、よく見るとバルブは太いし、毛が生えているしで変わったタイプのデンドロである。カトレアは有名品種で不定期咲きとのことなので先が楽しみである。

アングレカムディディエリやアングロカステのつぼみが大きくなりつつある。エピデンドラムはいつまで咲くかわからないぐらいつぎつぎつぼみがでる。蘭の春はめまぐるしい。

4月13日(土)

またまた神戸らん展に行ってきた。今度は家族を引き連れて、ポートアイランド見物をかね、家族サービスの合間をぬっての見物である。それでも十分な時間をとって、主として売店を重点的に見て回っていたのだった。安くてこれまで知らないような変な蘭ばかりを見て歩いていた。結構掘り出し物があった。

ポリスタキア Polystachya (Pol.)

アフリカなどに分布する属。

Polystachya pubescens ポリスタキア ブベッセンス

2002年4月13日、神戸らん展にて明幸園より800円で購入。草姿を気に入ってしまった。筍のような形のバックバルブがあり、垂直に並んで立つバルブや葉、花にはなにがしかの調和を感じる。葉や花の姿もよい。芽が出てきており、新しいバルブもある。すでに成長点が2系統に分かれており、にぎやかな鉢になりそうだ。

Epi. porpax エピデンドラム ポーパックス

2002年4月13日、神戸らん展にてより500円で購入。

当初1300円と札にあり、次第に値を下げて500円になったらしい。虫の姿をした変な花が咲くらしい。原種蘭の本で見たような気がする。好みに合う変な蘭だ。

Onc. SharryBaby ‘Red’  

2002年4月13日、神戸らん展にて沖縄の仲里園芸を500円で購入。

見本株はチョコレート色の花で甘いよい香りがする。年内に開花予定とかいう苗である。こういう香りのものを欲しいと思っていた。新芽が別々の方向に2つ出てきているので仕上がりがにぎやかになりそうだ。

4月11日(木)

蘭屋さんからもらった内覧会のチケットで「神戸らん展2002」内覧会に行ってきた。内覧会は神戸ポートアイランド内の神戸国際展示場で夕方5時半から会場である。時間をやりくりしてゆくと50代のおばさんが85%くらいの大群が行列していた。少々待って中に入ると、なぜか展示にはあまり興味がもてず、5分もすると販売会場に入り込んでしまった。展示の規模は東京を100とすると、名古屋60、神戸35という感じである。内覧会というのは日ごろ蘭屋さんといろいろ交流のある「蘭をやっている人」とその知り合いが参加するため、蘭の購買意欲が高く、店にとっては夜店とはいえ気合が入っている。だからこれぞというものが多く用意されているように見えた。東京、名古屋、神戸とみてきて、その規模は100,60,50というところだが、購買意欲をそそるものが多いのであった。つまり安いということである。「う!マステバリアが千円!?、げっフラグミペジウムの開花株が千円!」に早速度肝を抜かれた。頭に血が上ったのでしばし展示をみて冷静になる。夜間のためか照明が落としてあり(客の目が夜に順応しているため)、手ぶれによわいカメラということもあるのかその日は300枚程度しか撮れず、よい画像を選んだ際の歩留まりも高くなかった。ざっとながして再び売店へ戻る。

売店は、東洋蘭の比率が高いように思われる。バンダがまれだった。蘭をやって4年ほどになるため店を見分けられるようになったようにおもう。ただ、私のけちけち蘭栽培路線のため有名店には足を向けられない。しかしここ神戸では1000円以内!と決めている私の検討価格帯にどしどし知らない蘭を見せつけてくれるのであった。その日は3株を購入した。

マステバリア Masdevallia (Masd.)

 中南米に400種が分布。多くはアンデス山脈の標高の高い場所に着生しているため暑さに弱いものが多い。28度まで!と聞いて敬遠していた。かみさんがオレンジ色のマステバリア(多分Masd. veitchianaだろう。暑さに弱い)を気に入ってしまい、気にしていたのだった。

Masd. Angel Frost ‘Highland’ AM/AOS (Masd. veitchiana ×Masd. strobelii)

知らなかったのだが、交配で耐暑性の品種ができつつあり、この品種は「小柄ながら花立ちがよく強健種」と紹介されていて安堵した。オレンジ色が鮮やかでたいそう美しい。

フラグミペジウム PhragmipediumPhrag.

中南米の熱帯に15種が分布し、地生または着生している。パフィオに似ているが別属で交配はできない。パフィオにない真っ赤や鮮やかなオレンジ色のPhrag. besseaeが有名。

Phrag. Andean Fire 

2002年4月11日神戸らん展にて村上園芸(愛媛県松山市北梅本町乙355、089-976-6977)より開花+つぼみ2つという豪華な内容にもかかわらず千円で購入。花は暗赤色。ベッセアを親に持つらしい特徴がある。お店の説明ではパフィオより水を好み、鉢の下にしく皿に水が少々たまるほどでいいという。13日についていたつぼみが開き、14日に最初の花がぽろりと落ちた。よく見ると花がすこし傷み始めていた。それにしても、終わりにポロリとゆく蘭の花ははじめてである。なおつぼみがあり、その先にさらにつぼみが出ることもありうる。

Den. Pramort

沖縄の仲里園芸でデンファレPramortを500円で購入した。見本は赤色が美しい大きな花だった。出来立てのバルブと、成長中のバルブがあり、株全体に元気がよい。

足の調子がよろしくなかったため、早々に切り上げ、ひいひいいいながら山奥へと夜道を帰っていったのであった。疲れていたのでもう蘭はとうぶんいい、と思っていたのだが、後があった。

 

4月2日(火)

球根花の画像がすごい量になりつつあり、このままでは容量が足りなくなると考え、蘭のホームページを独立させることにした。もともと自分の蘭の整理と育成記録のためのページとしてつくっている。しかしこれはこれで育て方の克明な記録になりつつあり、誰かの参考になるかもしれない。蘭の購入金額を表示しているため、蘭の相場がある程度わかるのではないだろうか。

昨日4日にシルホペタラムが開花した。あまりの奇妙さにたまげる。つるのような長いガクヘンも面白いが、虫寄せと思われるぴらぴらがたくさんついていてえもいえない魅力がある。売っている値段を見ると「花4つ付2800円」など、えらく高い理由もわかる。花3つでも相当インパクトがあるのだが、このあとさらに続々と3本の花茎が上がってきている。

 

4月2日(火)

 蘭は植え替えラッシュである。そのうえ、株が込み合ってきているため、よく株分けをした。トレードに出したい鉢が多くある。といって貰い手がなかなか見つからない。

3月20日(水)

胡蝶蘭開花。半年以上世話をして咲かせたもので、現在咲いているのはデンドロ2、デンファレ、パフィオ、シンビジウム、カトレア、胡蝶蘭の7鉢。このあとシンビジウム、カトレアが続く予定。購入した開花株もいくつかあり、家中花だらけである。

ランの魅力について、以下に長文を書いた。

3月14日(木)

2月に咲き始めたシンビジウムがほぼ満開になった。昨年池袋のゴミ捨て場から救出した鉢である。透明感のある薄桃色の輝くような花が4本立ちで咲きそろっている。花が咲くと鉢はずっしりと重く感じられる。咲かせたとはいえここまでは育成者のプロの仕事のおかげだと思っている。バルブが大きくなって鉢からはみ出しているので、「鉢ゆるめ」などの手を打たないと来年咲かないかもしれない。花が咲かなかった2鉢は植え替えを行っている。

しょっちゅう咲くカトレアがまたまた開花した。年間3回の開花で、本当なら2月にも咲いていたところだが、乾燥のためつぼみを落としてしまった。この度はつぼみがすばらしく大きい。今回の開花では長く咲かせることに力点を置いて管理したい。これまでの3週間を4週間くらいにのばせられないだろうか。

ランの魅力

最近蘭の魅力について、考えていることが多い。蘭と人間の関係をつづった「ラン熱中症」エリック・ハンセン著(NHK出版)を再読し、自分のラン熱中症がさらに進行したことを自覚した。その冒頭に「アルコールが癖になっても、やめることはできる。薬も女も食べ物も、車だって断つことはできる。だが、ランにとりつかれたら、おしまいだ。逃れることはできない……絶対に」と、あるラン栽培家の言葉が引用されている。昔は「タバコみたい、けけけ」と言って笑っていたが、今なら大いにうなずいてしまうのだ。ランをやめてしまう自分を想像できない。

このおもしろい本はランの魅力をよく伝えているとおもうが、センセーショナルな事件がおおくつづられていてかえってランに恐ろしい魔力が備わっているかのように読者に思わせる。牧歌的なランの喜びのようなものがあることを理解してもらえないとおもう。そこで本稿では意外にもこれまで語られなかったランの魅力について述べてみたい。

なぜ蘭はこれほど自分を惹きつけるのだろうか。一つには、多様である、ということがあるように思われる。よく駄菓子のおまけ、を集めているおじさんがいると聞く。1万円も駄菓子を買ってくる。ついてくるおまけだけを取り、本編の菓子は人にあげるか捨ててしまったりするのだという。ある種のきっかけで気に入ったおまけが手に入り、おまけに関心を持ち、その他にも気に入ったものがみつかって、調べてみるとよさそうなものがとめどもなく現れてくるのでそれをどんどん集める、とまあそういうところではないだろうか。コレクターというのは、ある種のきっかけで何かが好きになり、その何かの良さを味わえるようになり、その何かが多種多様それぞれによい味を出していて、求めれば求めるほど目の前に現れるか、手の届かないところにあったりする、という状況に狂おしくはまった人のことであると思う。私もいろいろにはまってきた。子供の頃はシール、なぜか牛乳瓶のふた、切手、コイン、長ずるに岩石・鉱物など。蘭はそれ以上に多種多様でありそれぞれに深い味わいがある。知れば知るほど種類が見分けられるようになり、それまでただの花だったものが頭の中で種類がどんどん増えてゆくように感じられるのだ。未知の属の蘭にはつよい魅力を感じる。その蘭はどんな仕掛けのある花を持っているのか、どのような葉の出方をするのか、どこから花芽が出るのか、どんな環境を好むのか、などが気になる。多様さ、ということが集めてみたいという一種人間の好奇心を刺激する。このことが魅力の一つとしてあげてよいのではないだろうか。ただ、蘭の多様さが750属、原種2万5千種、交配種10万種(チューリップでも2000品種程度)であり、ときに人の寿命より長期間生育可能であることを考えると、止めどもなくそれにのめり込んでしまった場合はすごいことになってしまうのは想像に難くない。私でさえ、金持ちになって大きな温室を持ちたいという野望がわいてくるのだから蘭好きのお金持ちのおうちがどこまでやるのか想像することが困難である。ランに関する大規模な掲示板があったのでのぞいてみたところ、「カトレア500鉢」「ラン千鉢」という記述を見た。私などはヒヨコもいいところである。

多様である、という以上に、ランのコレクションには「品物」にない魅力がある。ただのコレクションではない。おまけや品物の多くは壊れる、なくなる、朽ちてゆくものである。それに飽きてしまう、ということがある。これまでコレクションをやめてしまったのは飽きてしまったからだ。けれど蘭は変化し、枯れてしまうこともあり、ときに花が咲き、根っこがでて、新しいバルブができ、枝分かれをして鉢の外に飛び出し、株分けで増える。たえず持ち主はその世話に心を砕かなければならない。このコレクションは元来の魅力に加え、世話を要求し、持ち主の心を絶えず引きつけるある種強いつながりを育て主と結ぶのである

しかし、生き物であるためあまりにも多くのランを世話するわけには行かないともいえる。本棚の片隅で忘れられがちな切手ホルダーやコインホルダーとはわけがちがう。しかしランはそこに他の生き物にない際だった特徴があるのだ。それは場所をあまりとらず、人間のいるところに限りなく接近し、長く咲くことができるということである。オフィスの机に座っていると想像してほしい。その机の上に花の咲いたランを置としよう。以前のオフィスの私の机には縦型のパソコンがあって、その上は何もものが置けないほどの小さなスペースがあった。そこに直径10センチほどの植木鉢に入ったつぼみつきのデンファレを買ってきて置いた。このランは一週間ほどで大きな美しい花を咲かせ、以来76日間同じ花がずっと咲いていたのだ。花は広いオフィスのどこからでも見ることが出来て、自分の机がどこか遠くからわかった。オフィスの机にはお気に入りのコレクションやペットを置くことは出来ないが、ランならば置けるのである。ふと視線をパソコンの画面からそらすとランのかわいい花を見ることができる。しかも、ランを選べば弱ることはなく毎年咲かせることが出来る。このような近い距離で、つねに目の前でその命の有り様をとっくりと眺めることが出来るのである。

ランは多くの種類を小さな植木鉢に植えて手元に置くことが出来る。多くが着生といって木に張り付いて生育するためか、ごく限られた植木鉢の中で生命力旺盛に生育できる。デンドロビウムなどは茎や花などが60cmも伸びても根元は高さ10cm、直径10cmの植木鉢(3号鉢)で十分なのだ。地面に生える地生するランも水苔やバークといった共通する植え込み材料を使って植木鉢で育てることが出来る。ごくふつうの家のリビングで南米、アジア、オーストラリア、アフリカ、日本のランが並んで水苔の植木鉢で元気に育っている。それぞれの世話はおどろくほど共通している。日光と水と肥料だ。基本的なルールさえ理解してしまえばあまり手間がかからないようにさえ思えてくる。世話は苦にならないのだ。金魚なら水を換えなければならないし、フィルタも洗わなければならない。ランの植え替えは滅多にないことだが、日頃興味をもっていた鉢の中を覗ける機会なのだ。ランの鉢の中にはミミズや気色の悪い虫は滅多にいない。それらを寄せ付けない環境で育てることが出来る。またずるずるに腐ったものも入っていない。それで植え替えも楽しみの一つになる。ただそのチャンスは2年に一度ほどしかない。

ここまでの話はランの魅力の本質から一歩離れ、ランは人のそばにやってこられるというものだった。近づいてきたランから受ける刺激は、その形、色、香りである。多くの人にはそれらはなじみのないものだ。こんなのはみたことがない、おもしろい形をしている、いい色をしている、よい香りがする、いつまでも咲いているなあ、根っこがでているけれどいいのかな、あんなちいさい植木鉢でよく枯れないなあ、などなど。私は、見たこともない葉と、植木鉢をとりかこんでいた根があまりに異質であることに興味を持った。それに安かった。初めて手に入れたそのランは、花のないカトレヤだった。

私を惹きつけた葉は堅く、つやのある緑色で、厚みがあった。曲がらないほどに堅い葉だった。あとでわかるのだが、4年は生き続ける葉なのである。

根は株が生育するにつれ盛んに伸び、成長点のある先端はみずみずしいエメラルドグリーンをしており、伸びたあとに太く白いつやのある根をのこす。そのカトレヤは古代の遺跡に絡まる巨樹の根を想像して、すずやかな気持ちになった。これとは別に、根をみせて深い森にある巨樹を想像させる美しい鉢を持っている。その根を半年ほど鑑賞してきた。根の生命力を美しいと感じているのだと思う。

最初に買ったそのカトレヤはひどい扱いをしたにも関わらず生き延び、2年後に咲いてその花の美しさを強く感じた。花は、清浄で生きているという輝きがあり、ランの花特有の凛とした姿を6週間、しおれる直前まで保っていた。見たこともない形をしている。多くの花は放射状か六角形など多角形だが、ランは唇弁があるため左右対称になる。みているとが浮かび上がってくる。中には甚だしく顔を意識させる花がある。それが見る人に相対するように向く。その点も人の心にもっとも強く働きかける花となる要因ではないだろうか。

ラン科の特徴の一つにバルブという植物体をつくるというものがある。緑色のつややかな植物体で、水分と養分を貯蔵する役割がある。見事なバルブはそれ自体が鑑賞に値する。大きく堂々と屹立するものから、珍妙な小さくて丸いものまで様々な形態をしており、それ自体にも魅力を感じる。Orchidという単語は、丸いバルブが2つ並んだ姿から、「睾丸」が語源となっている。このバルブを数えて3つを植え替えの単位にしている。ランは基本ルールを覚えてしまえばちょっとやそっとでは枯れず長期間つきあうことになる。いつしか枝分かれをしてバルブが増え、それを数えて株分けをすることになる。増えやすいランがある、ということも人によっては魅力的かもしれない。増えやすいものはデンドロビウムとシンビジウム、及びカトレヤなどだ。

ランは選べば安い。これほど安上がりな楽しみはないのではないだろうか。先日有名品種のデンドロを400円で購入した。500円まで、と決めても花が終わったものなどは300円のものが多く、これらを咲かせておもしろいように咲かせることが出来るのである。私の「育てているラン」を見ていただけば、購入金額を記録しており、花が終わったものを安く売る店を探せばこのような値段で手に入れることが出来る。

ランを育てる環境を工夫して安く作ることも一つの楽しみではないだろうか。木造ランケースを自分で作り、換気装置をつくり、太陽電池式の送風機なども作った。一戸建て最低気温8度の環境で、苦労しながら胡蝶蘭を3月に咲かせることができた。

ランの効果についても目を向けてみたい。ランのある部屋は湿度に気を配るようになる。暖かく、湿度を保つことは人の健康にもよいことだ。インフルエンザは、寒く乾燥している場合かかりやすくなるから、自然とインフルエンザの予防になっているのだ。ランに気を配るとともに、自分にも気を配っていることになるのである。精神衛生にも役立っているのではないだろうか。

最後に蛇足かもしれないが、植物全般への興味と理解が深まる、という点について述べる。ランは、ごく近年その魅力が人間に知られることとなったため、種の系統がよく記録され知られている。ランを手に取ったとき、原種の何に当たるか、等を考えるようになる。形態が多様で様々に仕掛けのある世界のランがリビングに集まってくるため、知れば知るほどに属やら学名やらをよく目にして興味を持つ。さらには自生しているランを一目みたいと近所の山に踏み込むようになる(山取りはしないが)。それまでただの草と木だけの世界がまるで違って見えてくるのである。この世界はどこまでも奥が深くて美しく見えるようになるのだ。

以上ランの魅力について、雑ぱくな意見をざっと述べてきた。しかし、いかなる良薬でも副作用はある。人生の良薬たるランにしても、いろいろと問題があることを認識している。それをまた近いうちに記述してみたい。

2月25日(月)

 住んでいる市には有馬高校という高校があり、新聞の地方欄に蘭展をやると出ていた。かみさんが美しく香りよく年3回咲くカトレアを買ってきてくれたことがある。休みにめずらしく8時台におきて出かけてきた。小規模だけれど見るべき蘭がある。即売会場でもあり、2000円または1000円という枠に押し込めたような売り方だと思わぬ掘り出し物があったりもした。花径9cmというすばらしく大きな花が昨年の葉のないバルブに12個も偏って咲き、新しいバルブにもつぼみが多数ついたデンドロが1000円だったので購入した。前に書いたダイエーの花の大きなデンドロ(毎晩眺めているのだが1ヶ月以上経っても買い手がなく、地下の売り場に1月の姿のままだ)をしのぐ巨大な花に思えた。翌日も母親を連れて出かけ、姿のよい桃色の胡蝶蘭などを買ってきた。その帰り道、宝塚園芸サービスという園芸店に寄った。ここでは3本立ち4本立ちのシンビジウムつぼみつきが1000円だった。母親はこれにも飛びつき、この2日間で蘭は4株増えてしまった。母親の寝室は蘭だらけになっている。この園芸店はこの不景気にもかかわらず店のどこもかしこも整っていて温室の内部はよく手入れされた美しい花でいっぱいだった。レジを済ませるとき写真をとってもいいか伺ったところ快く応じてくれた。89枚も撮ってきた。

 温度が低いのやら、蒸れるためか胡蝶蘭はどれも調子が今ひとつである。昨年池袋のゴミ捨て場から救出したシンビジウムは2鉢そろって順調。また、パフィオペディラムが我が家で初めて咲くため、少々コーフン気味である。

1月24日(木)

容量が限界に達した本「球根園芸館」とは別個に、旧「花画像園」のあるサーバに「新・球根園芸館」を構築した。

中村浩著「園芸植物名の由来」東京書籍、1981。植物名の語源の本である。こういう本にまで手を出すようになるとむやみと学名などが気になりいよいよ病膏肓にいる、という気がしてくる。属名と原種名をイタリックで、などとこだわる有様だ。著者はあとがきを書いてすぐお亡くなりになったらしい。1980年12月70歳だった。良い本だと思う。内容を興味の赴くままに書き留めてみた。

Orchid:ギリシャ語にゆらいする、いわゆる「きんたま」。蹴られて「おー、息子が(kid)」と言ったかどうか。丸いバルブが2個並んでいる蘭をみてそういう名前を付けたらしい。また、精力剤や媚薬に蘭が用いられたのもこのエッチな語源に関係があるのだろう。蘭にはセロジネというこれまた医学的な語源を持つ属があり、Orchidと対をなしている。

Cymbidiumは、cymbe(船)とeidos(形)、唇弁が舟形。

Paphiopedilumは、ラテン語のpaphius女神ビーナスに捧げた、pedilumスリッパ。

Cypripediumはビーナスの小さい足。

Phalaenopsisは、ギリシャ語のphalaina「蝶に似た」の意味。有名な品種のamabilisは「愛らしい」の意味。

Oncidiumは、ギリシャ語のoncosこぶ、eidos形、唇弁の基部にこぶ状の突起があることからきているとか。

Vanda、語源はサンスクリット語だそうだが、意味不明とか。

蘭は好調

我が家のリビングはかなり温い上、日当たりがよいので蘭の生育がよろしいようだ。この冬リカステ、大輪のカトレア、オンシジウム、ジコペタラム、デンファレ、赤いミニカトレアと咲き、現在白いミディカトレアが咲きつつある(3年連続)。さらにこのあとデンドロビウム、シンビジウム2株、マキシラリア、パフィオペディラム、年3回咲くミディカトレア、デンファレ、ファレノプシス2株が続くべくつぼみを太らせている。冬の蘭は休止期なのだけれど、花については実にダイナミックだ。

戸建てなので寒かろうと神経質になり、夜は雨戸をすべて閉めている。寒がりがいるため石油ファンヒーターは7時から24時までノンストップだ。また、夜中にはバケツ2杯の風呂の残り湯の差し入れ付きである。

最高最低温度計をなおす

最高温度と最低温度を記録する温度計で、蘭の栽培のためにはぜひほしい温度計である。昨夜の最低温度は11℃だった。よくこんな温度で蘭が育つものだ。見終わったらボタンを押すと押した時点の温度になる。この高価な温度計をおっことすと、壊れないまでも水銀がぶつ切りになってしまって困惑する。なんとか直せないかと呻吟し、体温計のことを思い出して振ってみた。実に安直にぶちぎれの水銀柱がくっついて何事もなかったかのように働いている。

さて、以前から気になっているアルコール温度計のぶちぎれにも有効かどうかためしてみた。かなりの大振りでしつこく振るとなんとかなおすことが出来た。これは知っていると得な事実だと思うので報告する次第だ。

1月18日(金)

蘭をやっていると、属名、種名、個体名がはっきりしたものが多い。チューリップには種名がないものが多く、蘭と比べてみると以下のようになる。

T.  ‘Angéliqe’ 人気のある「アンジェリケ」。種名は詳しい本にも載っていない。

T.  praestans  ‘Van Tubergen's Variety’  「プライスタンスV.T.V」として入手容易。原種praestansのうち(種名がイタリックになる)

Cym. Seaside ‘Crown Princess Masako’ ご成婚を記念して名付けられ現在よく売れているシンビジウム「プリンセスマサコ」。交配種なので種名Seasideがイタリックにならない。

蘭は思うに19世紀まであまり交配も行われず、その後にわかに品種を特定しながら交配をおこなってリストをつくりつつ現在に至っているため、何と何を掛け合わせてこれこれの品種になった、という記録が綿々と残っているのに対し、チューリップは古くから交配が行われ、なにがなにやらわからなくなっているために、個体名のみが知られているようなのだろう。

種名というのは、そう考えてみると、親を原種までたどれる系図が書ける種につける名前、ということだろう。蘭の種名多くが親をすべて書き出せ、どのような原種が交配に用いられたかすべてたどれるような登録がなされている。

原種、とはなにか。天然自然の環境に適応して遺伝子的に安定している種のことらしい。しかし人間もホモサピエンスという種なので、種の中にも個体差があり、個体名がつくのである。

ここで疑問がわく。個体名が同じということは、蘭の世界では遺伝子的に同じコピーを意味している。アンジェリケの球根が分球すれば、子球は遺伝子的に同じものが出来る。そういう増やし方をしたのかどうか知らないが、日本中の莫大な数のアンジェリケ(我が家にもきっと10個以上はあるだろう)がまったく同じ遺伝子をもっているのだろうか。なにやらそらおそろしいようだ。

ラン科とユリ科

園芸を趣味にしていると植物の科名が気になってくる。おなじみなのはラン科、ユリ科、ヒガンバナ科、アヤメ科である。ランやってます、というとその中の750属のあれやこれや、世界中のまったく形態の異なるランを「やって」いる場合が多々ある。属名で並べると、シンビジウム、デンドロビウム、オンシジウム、カトレア、ファレノプシス、バンダ、リカステとそうそうたる面々である。一方、「ユリ科やってます」という人はめずらしいのではないか。チューリップ、ユリ、ヒヤシンス、ムスカリ、オモト、スズラン、アリウム、タマネギ、ネギ、ニラ、ニンニク、アロエ、アスパラガスなどなど。これらをひっくくって楽しい園芸とはちょっと言い難い。アブラナ科となると楽しみ方がまたべつもので、大根、白菜、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、菜の花、クレソン、マスタード、ミズナ、わさび、葉ボタンなどなどこれもそうそうたる面々である。

なにやら科の共通特徴を知ると、植物がわかったような気がしてくる。それに、なんとなく植物のありがたみもわかるような気がするのだ。

 

1月16日(水)

蘭展

1月12日手柄山温室植物園の蘭展を見に行った。小規模ではあったが見たことのない蘭もあり、温室そのものもおもしろかった。

売店で多くの蘭が売られていたが、部屋中蘭だらけなのに食傷しつつあり、さすがに新規購入にはブレーキがかかる。そのなかでお買い得と目にとまったのはLc. Elcerritoだった。双葉で真ん中から花茎が15cm(もっと伸びるだろう)でて咲きに房のようなつぼみが9つついていた。写真も添付されており、オレンジ色の細面の花がたくさんつくものらしい。昨年蘭展で見かけ、美しい写真がとれたレリオカトレアがあったが、それに近い色をしている。ちょっとたのしみである。

水族館も近くにあり、小規模ながらつぼを押さえている内容で、亀に特化したかめかめ派水族館だった。亀好きには堪えられないだろう。どちらの施設も姫路城を借景した妙に美しい手柄山公園にあり、入場料200円からすれば満足の施設だった。

1月11日(金)

蘭はジコペタラムと赤いカトレアが新たに咲いた。シンビジウムとデンドロビウムとデンファレ及び胡蝶蘭のつぼみが大きくなりつつある。あの池袋でゴミ袋のなかから救出したシンビジウムがいまや花茎4本立ちの立派な株になった。

デンドロといえば、ダイエーにずいぶんすばらしい鉢が並び始めている。たいそう花が大きく、色が鮮やかでバルブのつやもよい。値段も4000円前後である。いろいろ花屋をまわっているがこれほど魅力的な鉢をあまり見かけない。通勤中寄り道をしては眺めて帰る毎日であった。よく半額処分品を買うのであるが、あのデンドロばかりは見切り品にはなりそうもない。景気低迷で蘭はえらく安値になっているが、やはりよい品は高嶺の花だ。

 

2001年以降の蘭の日誌と更新記録

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