蘭の技術

蘭の設備 必要だが安く上げたい

更新2011-01-12

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目次

集合住宅での設備 戸建での設備 戸外栽培 湿度管理 通風 蘭を吊る 日曜大工ランの棚日曜大工ランの棚2冬越し用鉢を磨く高温性ラン(胡蝶蘭、デンファレ、バンダ)の越冬中温性ラン(カトレア類、パフィオ類、オンシジウム類)の越冬高温ケースへの挑戦転倒防止具室内水やり具ガリレオ式温度計クールケース?クール棚ランを持って帰る旅

 

緒言

蘭は世界中に分布しており、そのうちの多くはどうにも栽培困難なものがある。多くの蘭のなかで水苔に素焼鉢という共通な植え方と、冬は10度、夏は37度まで、という温帯にすむ先進国の住人の環境枠の中にたまたまはまりこむごく一部の蘭を育てているだけ、ということが最近になって理解できるようになった。これらの環境要因を著しく超えたところにも美しい蘭、珍妙な蘭が存在する。暑さがだめ、寒さがだめ、乾燥がだめ、鉢がだめ、この木じゃないとだめ、日が当たったらもうだめというものだらけなのが蘭科の多くの植物の姿だと思う。なにしろ、蘭科が地球に現れた頃には野原や山、川縁など先輩の植物に覆い尽くされて、木の上か岩場、日陰ぐらいしか場所が残っていなかったのでそれぞれ環境に限りなく適合して生きてきた。そのおかげで恐ろしく強くなった蘭(デンドロビウムの一部やカトレアなど)もあるが、寒い日陰でひっそりと咲くようなタイプはそこを離れて少しでも異なる環境に置けばたちまち枯れてしまうという種も少なくはないのである。蘭愛好家の中にはどうしてもそのような蘭を育ててみたくなり、おのれの力量と資力を尽くしてこのような蘭の育成を行うため、高さ4mにもなる巨大蘭のための巨大な温室だの、気温を最高15度に保つための冷蔵庫のような部屋をつくったりするのである。

もちろん我々が普段見かける蘭はすこし工夫すればどんどん育って花がバンバン咲くというものが多い。本稿では(大風呂敷が一挙に縮んで)困難な蘭育成のフロンティアに踏み込むことはせず、市販の蘭が一般家庭での生育が困難となる状況を打開するための設備について検討を行う。

 注意:電気器具による加温など火災や感電の危険があるため十分に注意してください。加温ケース、加温設備の自作などは自己責任で行ってください。

 

 

集合住宅での設備(マンションや団地だったら)

温度管理と湿度管理が楽なので、もっとも容易な栽培環境といえる。しかし、それは冬の話で、いかんともしがたい場合がある。日当たりだ。たとえば南向きのバルコニーを持っていたとしよう。ふつう日当たりが良いので蘭にはもってこいだと思われるが、実は夏など太陽高度が高くなると直射日光がとりにくいのだった。ひさしなどがあるといっそう困難になる。遮光をするとは言っても、多くの蘭は直射を遮光してあてなければ生育が思わしくない。バルコニーの壁に棚をたてかけ、遮光のためレースのカーテン(見切り品サティで100円)を張って、その下に蘭を並べるようにした。シンビジウムについては、コンクリートのフェンスの切れ目に鉄の柵がはまっているので、その外側にくくりつけて十分直射日光を十分に当てた。15階でそんなことをしてもいいのであろうか。普通許可されないので注意が必要である。

冬は先に述べたように窓辺に蘭を並べ、低い角度で差し込むガラス越しの直射日光を十分当ててやった。夜は厚手のカーテンを引いて熱の放射を防ぐとともに、毎晩蘭を窓辺から引きよせ、湿度を保つために風呂場の扉を開け放した。気温は外気がマイナスの日でも10度を保った。まことによい環境だったためか低温に弱い胡蝶蘭なども立派に開花した。

暖房器具を使わなかったことも幸いしたようだ。電気ストーブ500ワットが一つだけ。部屋の気温は1kWの人間様と風呂場の蒸気、それにこのストーブで15度をキープした。15度はパソコンの作業などを1時間もしていると指先が冷えてくる温度である。少々厚手の服を着て過ごす。しかし、石油ファンヒーターやガスストーブなどを使えば23度程度には出来たろうが、この温度は蘭にとって温度差がありすぎ、湿度とのバランスが崩れるため調子を崩すおそれがある。最近「デンファレはむずかしくて18℃はないと無理」という記述をどこかの掲示板で見たが、それは低温よりも温度湿度のバランスを壊した環境に問題があるのではないかと考えている。15度程度で暖めすぎず冷やしすぎず、湿度を保った生活が蘭にも人間にもむしろあっているかもしれない。

 

一戸建てだったら

 温度調節がもっとも重要な課題となる。最高最低温度計が必須だ。これをホームセンターで2980円で購入し(2200円のものを後で見かけた)、家の最低温度を調べた。この温度計は、温度が上がると右側の水銀柱があがり、ガラス管の中の小さなガラス棒を押し上げ、温度が下がるとそのガラス棒を置き去りにして水銀柱が下がるので最高温度がわかる。最低温度も同じように左側のガラス管の中に記録される。中央のボタンを押すと、記録された温度がリセットされる。今ひとつ仕組みがわからない実におもしろい温度計なのだ。

通常の一戸建ては場所にもよるだろうが、冬季人気がない場所で夜間は5度程度になる。これで越冬できるのはデンドロビウムとシンビジウム、くらいで、開花は春になる。雨戸をして、就寝前に加温して8度が保てる。バンダ(青系)はなんとか越冬できた。12度あれば大半の蘭が越冬のみならず通常の生育が可能だが、この差4度をいかにして埋めるか、ということが課題となった。

P社のワーディアンケースを欲しいと思った。このケースは室内用の温室である。お値段は近くのホームセンターで3万円ほどだったろうか。たぶん40鉢は押し込めるのではないだろうか。このほか加温用のヒーター15000円、温度調節器15000円、日中温度が上がりすぎた場合の換気扇7000円だったかとおもう。ざっと1式7万円であろうか。よくよく購入を検討したが、中身の蘭よりもはるかに高いのでついけちけち根性をだしてしまいやめてしまった。そのかわり同じようなものを作ってみようと考えたのである。

まずケースである。2×4の角材298円10本からたちまち棚をつくれるプラスチックの枠の6個セット2400円を2つを購入した。30分で(いやにパワフルな)かみさんが幅1500mm、高さ1800mm、奥行き350mmという4段の棚を組み上げた。これに1m170円幅1800mmの透明ビニールシート4mを巻き付ける。蘭はビニールシートをまくって出し入れする。この棚を母親の和室の窓辺に置き、夜は雨戸を閉め、上から反射シートや電気毛布、毛布をかぶせた。

熱源は、あんか、コーヒーメーカー、電球、電気毛布を検討した。コーヒーメーカー1000円を買ってきて熱と湿度の供給を図ったがあまり温度が上がらず失敗。60Wのあんか714円も熱が足りず失敗。電気毛布60Wと、裸電球100W880円の併用で効果があることがわかった。これに断熱シート及び毛布をかぶせると、夜間の気温は20度を超えるまでになった。たまたま廃物の温度調節器(熱電対にデジタル温度表示のいいやつ)をもっていたので、19度以上を関知して空気攪拌用のファン(古パソコンの電源かなにかから取り出したのではなかったろうか)がまわるように設定した。(本当は外気に暖気を放出するファンと、空気攪拌用の緩やかにまわるファンが欲しいところだ)

ごく順調に見えたが、課題があることもわかってきた。湿度不足になるのだ。水の皿を下に敷いてもだめだった。もっと水が蒸発しやすい環境を作らなければならなかった。また、母親の部屋を間借りしていたため、勤め人の著者の活動が活発な11時から1時の間に蘭の世話が何日も出来ないということが致命的となり、多くの胡蝶蘭の花芽が壊死してしまった(春になり脇目が出て開花したが、開花が1か月遅れた)つまるところ、育てる人間が相当手をかけてやらないと越冬というのは難しい。さもなければ高い機械を買うしかないのであろう。

春になり、結果として胡蝶蘭、バンダ、デンファレの寒がり御三家はじめカトレア、アングレカム、ほかさまざまな属の80鉢のほとんどは元気に越冬に成功した。一戸建て栽培の快挙といえるかもしれない。来年はもっとうまくやろう。高温になったときの換気用制御のために温度調節器がひつようと考え、電子工作の本やら電子部品屋をまわって、サーミスター、リレー、基盤、可変抵抗、トランジスタなどを買ってきたが、まだ組み上げていない。豪華自作蘭ケースへの最大の障害はリビングの用地買収だった!。

いよいよ2002年の冬(11月)になった。太陽電池ファンはよく働いている。そろそろ寒くなり、200Wの裸電球セット980円を買ってきて蘭に当てている。電球の覆いは針金なので、これにアルミホイルを巻き、光を前に当てる。ケースの外から満遍なく当てる。蘭をよく見るのにも役に立つ。ひょっとしてこの光で幾分なりとも育つのではないだろうか。これで最低気温は12度ほどになる。このうえビニールを張れば完璧ではないだろうか。

 

夏の戸外栽培

家の中に多量の蘭を置 くのも贅沢なら、戸外に蘭を日に当てるスペースというのも豪勢である。アングル棚が廃品に出ていたので、これをもらってきて庭に置いた。木材1.8mを4本しめて1000円を買ってきてボルトナット(100円×2)で止めてひさしを作った。これに銀色のダイオネット2×2mを2枚(園芸店の見切り品200円×2)をはる。一枚をひさし面の全面に、もう一枚をひさし面の半分(パフィオ、胡蝶蘭用60%遮光)と西側面(西日カット)にたらした。あとでのべる吊り具でさらに多くの蘭をぷらぷらと下げて拡張を図る。(内部の様子

ガレージ屋根の半透明樹脂トタンを透過する光は昨年アングロカステにあてて今年花上がりがよかったのでそちらも利用している。

最高最低温度計が6月上旬ですらなお13℃になると示しめしており、山(標高200m)の気候に驚く。リカステで実績があるように、うまく使えばマスデバリア、ミルトニア、オドントニアをうまく育てられ、シンビジウムは山上げしたような効果がでるかもしれない。

2003年の屋外栽培の様子。

2004年4月もっと簡易な棚を検討した。屋外の蘭の棚はその設置がさして難しいものではない。ホームセンターで木材を買ってきて、木ねじで枠を作る。その枠を適当な台の上に載せる。枠に遮光ネット200円をかける。枠の中に蘭を載せた園芸トレイを並べる。これだけである。およそ70鉢5つのトレイに入れた蘭をわずか5分で室内から屋外に展開できる。

 

湿度に気をつける

蘭の栽培においてないがしろに出来ないはずの湿度であるが、あまり省みられていないのが現状である。我々はしらずしらず乾燥した日に多くの水分を失い、多く飲み物を摂ることによってこの乾きをいやしている。物言わぬ蘭は水分の貯蔵機構があるとはいえ長期に乾燥にさらされれば種類によってはその健全さを損なうことになる。現に加温はするものの湿度を省みないばかりに胡蝶蘭を弱らせた経験があった。湿度を定量的に正しく評価すれば適切な対策を講じることにより未然に防げたかもしれない。冬の加温時の湿度測定について述べる。

湿度について述べる。空気が,どれだけの水蒸気をふくむことができるかは,温度によって決まっている。1m3中の空気に含むことができる水蒸気量(g)を,飽和水蒸気量という。

気温(℃)

0

10

20

30

40

飽和水蒸気量(g)

4.9

9.4

17.3

30.4

51.2

 湿度は,ある気温の空気にふくむことのできる水蒸気量(飽和水蒸気量)に対する,実際に空気にふくまれている水蒸気量の割合である。
 湿度={(空気1m3中の水蒸気量)÷(そのときの温度における飽和水蒸気量)}×100 [%]

湿度が低ければ水分を持つものから空気中に水分が飛散しやすくなり、水分が失われ、逆に湿度が高ければ水分は失われにくくなる。

湿度を計る計器はごく簡単なもので、2本のごく正確な温度計を用意し、片方を水がしみあがるガーゼを巻き付け(湿球)、片方はそのまま読みとる(乾球)。この目的のための専用の温度計が市販されている。このとき風があってはならない。湿球は乾球に比べ水が蒸発して熱を奪い去るため温度が低くなる。この温度差は、湿度が低くて水の蒸発が多くなるほど甚だしくなるため、この温度差から湿度を見積もることができる。この関係は下の表のようにまとめられており、乾球の温度を読みとり、その温度で表を横に見る。冬に蘭のケースを19度に加温したとして、乾球と湿球の温度差が6度だったとすれば、湿度は46%になり、乾いてしまって胡蝶蘭などの葉にしわが寄るなど害がおこりうる。差が3度なら湿度72%となりまずまずだ。

 

 

乾球と湿球との目盛りの読みの差(℃)

 

 

 

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

 

35

100

93

87

80

74

68

63

57

52

47

34

100

93

86

80

74

68

62

56

51

46

33

100

93

86

80

73

67

61

56

50

45

32

100

93

86

79

73

66

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25

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47

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34

24

100

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46

39

33

23

100

91

83

75

67

59

52

45

38

31

22

100

91

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74

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36

29

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100

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40

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43

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26

18

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100

89

79

69

59

50

41

32

23

15

15

100

89

78

68

58

48

39

30

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12

14

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89

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46

37

27

18

9

13

100

88

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55

45

34

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15

6

12

100

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76

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22

12

2

11

100

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29

19

8

 

10

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5

 

9

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60

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36

24

12

1

 

8

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59

46

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20

8

 

 

7

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57

43

30

17

4

 

 

6

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85

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55

41

27

13

0

 

 

5

100

84

68

53

38

24

9

 

 

 

 

さて、加温や日中の温度上昇などにより湿度が低下した場合、それを適正(60から70ないし80%)に保つためには、ケースの中に、水を張る、水をぬくめる、水が蒸発しやすいように水だめから布などを垂らしておく、などの手段がある。また、湿度は高すぎても鉢内部が乾きにくくなる。湿度の測定を行えばこのあたりの制御を適正に行えるのである。

(いやに気張ってしまったが、毛髪湿度計という簡便なものもあるのだった)

 

通風

蘭の生育に風は欠かせないという。推測だが、風に吹かれることで温度が上がりすぎたり、しめりすぎたりすることがないということの他に、ゆすぶってもらうことで植物体内部の物質移動を促進しているのではないだろうか。人間様も同じ姿勢で居ると血行が悪くなり、立ち上がって背伸びをしたりクビを回したりしたくなる。植物もいつまでも同じ格好をしていると中の水の流れ養分の流れが悪くなるのは想像に難くない。植物にとってのマッサージが風だ(寝たきりのした人の介護の寝返り、みたいなものかも。動けないほうの立場に立って考えるのだ)。

蘭のケースを作成したときに内部には空気の流れが乏しいため蘭の生育上好ましくない。そこで微風の扇風機を導入している場合がある。もちろん結構なお値段で売られている。それに、この扇風機にしても空気の循環には寄与するが、風が一本調子になるきらいがある。クビの振らない、1/fゆらぎなどの小技のない扇風機に当たって寝ているような夏の夕暮れ、いやな夢をみて起き出すと頭が痛い、てな場面を想像してみれば、蘭にとって快適とは言い難いのではないだろうか。

そういうわけで、というのではないが、太陽電池式のファンを開発した。いや、ただ単に秋葉で売っていた300円の太陽電池(1V400mA)を、500 円の乾電池式ファンに電池の代わりに取り付けただけの代物をつくった。日がじりじりと照りつけるほどしゃかりきになって回転し、日が陰るとまわらなくなる。昨今は職場の窓辺に土日置き去りにされる蘭の西日対策に用いている。しかしまあ、これは売れるんとちゃうやろか。(同じことを考える人が居て、この着想を得て秋葉に太陽電池を買いに行ったら、説明書にばっちり同じものが絵に描いてあった。蘭用ではなかったが)

 しかしまあ、いろいろやってけれど直流ファンを常時回すということで室内は落ち着いてしまった。屋外は、遮光ネットを張ったやぐらはこれ以上望めないくらい風通しがよい。

 

蘭の吊り具をつくる

別に蘭を釣るための竿だのリールだのハリスの10号だのの話ではない。蘭は吊ってやることで日光に対しよりよいポジションに置くことが出来、ナメクジなどが寄りつきにくくなり、通風の面からもよい効果が期待できる。さらに、この吊り具の利点は、往々にして「出来るだけ小さな鉢に植える」頭でっかちになりがちで倒れやすい蘭を重心近くで支え、ぷらぷらにすることで風の攻撃をいなす、というものである。そして何より、蘭を置く場所が増える!、という「でかした」機能がある。ひひひ。

実にクレバーな蘭鉢のつり下げ金具の作り方が本に載っていた。少々太めでやや弾力性のある針金を用意する。太さ3mm程度だろうか。先端から12cm、9cm、5cm、9cmだいだいのところに印を付け、針金の中程からだいたいで20度、100度、100度、120度程度折り曲げる。鉢の縁の持ち手部分に針金の5cmの部分が外からうまくはまりこんで12cmの部分が鉢の中から押さえつける。針金の残りの部分にあるもう一方の先端にフックをつくれば3号程度の鉢をぶら下げることが出来る。なお、このような金具をこさえてお宅の蘭がおっこち、鉢が割れるか蘭がお亡くなりになるかしても、当方はいっさい関知しないからそのつもりで、自己責任でなさってください。(たぶん真っ先に私が落とすのだろう。「なお、この項は自動的に消滅」ってか。懐かしいねえ。歳がばれるって)

この吊り具の量産を行った。ビニール被覆針金1m20本260円を農協系の店「グリーンハンズ」にて購入し、写真のような長さ30cmの釣具を作成した。一本のコストは13円だった。実用試験をおこなっている(写真でわかりにくいのだが、植木鉢の内部に刺さる先端部分は、写真のものは輪をくぐっているが、通常くぐらせないで使う)。

 

日曜大工ランの棚

 台風のたびに屋外で育てているランを家の中に持って入ると、部屋の中がランで占拠されてしまう。そこで冬のことも考えつつ、ランの棚を作ることにした。ただ、市販のアングル棚や、パイプ棚、簡単に棚をつくるセットなどはえてして寸法で融通が利かないし、重かったりするのだ。木で作れないだろうか、と思うのである。

昔々の小学校の椅子などは木で出来ていた。結構頑丈で軽く、温かみがある。あのような椅子のポイントは、くりぬきとはめ込みであった、と子供時代の観察を思い出すのである。もし木ねじや釘だと無用に木の出っ張りが出たり、ときに釘が外れて怪我をするだろう。金具で固定すればそれだけ重量が重くなるし、コストもかさむ。四角い穴をくりぬいて、底にはめ込み、打ち付けるだけにしていたように思われる。だから、のみを使って木をくりぬけば、スマートで見た目もよく、軽く、望みの寸法の棚を作れるのではないかと考えたのである。

のみと槌はたまたま100円均一の店で買っていた。材料になる木材は、1800mmの杉棒10本(約1300円)を手に入れている。高さ170cm、幅80cm、奥行き45cmという棚の製作を検討した。

はめ込みの穴をくりぬいてみた。のみを寸法線に当てて垂直にこんこんとたたく。その打ち込んだ部分にむけ、木の木目に沿って木材をはがすようにのみを打ち込む。この繰り返しであった。穴を4つくりぬいて何とか可能であることがわかった。

全部で24箇所の穴が必要になる。日曜大工の第二週はひたすら穴をくりぬいていたが、そのうちいやになってしまい、のみも切れ味が悪くなって難渋した。かみさん愛用(!)の電気ドリルがあったので、穴の予定部分を散々に小さい穴をあけると容易に蚤が通ることがわかった。

穴に差し込む凸の部分は、棒の先端部分をこぎりである程度切れ目をいれ、のみで割ってやると簡単に作ることが出来た。少々きついようだが、たたいてはめ込むとなにやらしっかりしている。ここまでが2週目。

日曜大工3週目は、いよいよ組みつけである。紙やすりやのみで削って組み付け部分をあわせこむ。ちゃらんぽらんな採寸で寸法精度に不安があったが、木の柔軟性でなんとか形になり、短時間でくみ上げることが出来た。まったく釘を使っていないのではあるが、見るからに頼りなく、こりゃ大丈夫かいな、という素の棚が出来た。まだまだという気がする。コストはよいが、かかった労力はすさまじい。よいものが安くあれば買って済ませたいと弱気になる。

 4週目にちょうど台風がやってきたので早速この棚の出番である。棚をガレージからリビングに移し、庭の棚からランを移動させた。なかなかの収容力である。とりあえず役に立つというところであろうか。

その後使われなくなったが、枠の中に蘭を載せた園芸トレイを並べるなどして活用されている。

 

日曜大工ランの棚2

前作の棚は製作に余りにも手間がかかりすぎた。懲りすぎたのである。しかも寸法について融通が利かない。実のところ2つを窓辺に並べるには大きすぎたのであるが、修正は困難であった。より手軽に作成できる棚を考えた。

やはり同じような木材(長さ180cm厚さ2.5cm幅4cm12本で1400円、180cm幅4cm厚さ1.5cm6本で420円)を買い、今度は木ねじ(家にあったものを利用、これが結構高いかもしれない)で作成した。ざっと2時間で一つ作れた。2種類の角材を切り出し、安いすのこ(6枚1050円33cm×75cm)がちょうどはまり込む大きさの棚をつくった。幅を広く取りすぎていて窓辺に入らないため、5cmほど短くした。修正作業は1時間ほどだった。高さ170cm、幅78cm、奥行き38cmである。重量が恐ろしく軽く、2kgほどだろうか。一つ100円ほどのキャスター(8つで800円)でころころと軽やかに転がる。なんのかんので1つ2000円というところだろうか。これに350円の巨大ビニール袋をかける予定だ。

夜になったら寒い窓辺から部屋の中ほどに移動して周囲に断熱材を巻こうなどと考えているのだった。

窓辺はふさがってしまったが花盛りである。

冬場はランだらけになってしまった。もういっちょ:中温棚(写真は2003年の状態)。

結果的にランがぱかすか咲き、バンダまで4月に開花したことから悪くない中温性棚が出来たと言えるのではないだろうか。

2004から2005年の冬は電球2つあてて高温棚を一部設け、胡蝶蘭、デンファレ栽培に運用している。

 

鉢を磨く

鉢を家に取り込むと、緑色にずるずるとしたコケがべっとりと鉢にまとわりついていてそのきちゃならしさにおぞけをふるう人もいるのではないだろうか。ラン数寄はこの点で家族の理解を得られず肩身の狭い思いをしている場合もあるだろう。家の中にコケでずるずるしたものを入れるのである。きれい好きのかみさんに嫌がられないはずはない。それでこの鉢を取り込む季節に鉢を磨くしんどい作業に向き合うことになる。聞いた話では「出張先のホテルの歯ブラシを持って帰り、これで鉢をこする」という。指でこすって落とそうとしたことはあるが結構な手間だ。いまや100鉢以上あるのだ。大変な労力になるだろう。

朗報である。手軽でこの作業が面白いほどはかどり、楽しくなる方法を編み出したのだ。耐水研磨紙を使うのである。紙やすりの黒いやつだ。100円ショップで5枚組で売られている。120番(荒さを表す数字。数字が大きいほど単位面積あたりの研磨剤の粒が多く、細かい)がよかった。5cm角の一枚で30鉢は磨いた。洗面所などでずるずる鉢の表面に水を流しながらこの研磨紙でこすると面白いほどコケが取れる。研磨紙は鉢の表面までこそぎ落としてくれる。これで目詰まりした素焼きの微細な孔を開く効果があると期待している。通気性の向上は根の健康のために必要なのだ。冬場は鉢の乾きのよさが根腐れを防ぐだろう。この作業で鉢の表面はぐっと手触りがよくなるという効果もある。掲載した写真のタイムスタンプをみて驚いた。写真を撮っておもむろに洗面所にゆき、鉢を磨いて写真を撮った。この間2分である。画期的な技術と言えるのではないだろうか。

蘭屋さんが売る鉢などもけっこうずるずるだが、これを売る前に磨けば売り上げも上がるのではなかろうかと思う。古本屋では手垢で汚れた部分に紙やすりをかけている。商品に磨きをかければ見た目がよくなり、女性客も増えるのではないだろうか。「花は好きだけれど、鉢の中にどんな虫がいるかわからないので、鉢を見ないようにして水をやっている」という女性もいるのだ。虫は、かならずいる。鉢の中でいろいろお仕事をしているのではないだろうか。だが、そいう作業者が表に出てくる必要はない。表面はきれいな鉢にして、知らぬが仏とだましてあげるのが思いやりというものではないだろうか。

 

高温性ラン(胡蝶蘭、デンファレ、バンダ)の越冬

ラン栽培でもっとも関心の持たれる点はこの越冬ではないだろうか。夏の間元気に育ったランであっても秋風とともに調子が悪くなりいつしか真茶色になって枯れてしまった、という経験はないだろうか。著者はそれがコナカイガラムシよりもいやで(これまで3例ある、しくしく)、しかもけちであるため様々な手管を使い、安く!数々の実績を上げているので紹介する。

「胡蝶蘭、バンダ、デンファレは温室がなければ無理」という記述を散見する。温室とはなにか?。「ガラス張りの建物で、内部に加温設備があり、厳冬期に夜間?度以上(たぶん一般的には12度)を保ち、温度が上がりすぎた場合は換気を自動的に行う設備をもつもの」と考えられているのではないだろうか。温室は一式100万円はするのではないだろうか。この温室にはワーディアンケースも入れていいだろう。これは温度管理装置を備えたガラスケースで、ケースが2万円、設備がざっと3万円(温度調節器7800円、換気扇7800円、内部ファン5000円、ヒーター1万円)である。

この記述を「うそよーん」と言ってしまうと角が立つので、ちょっとゆるめた表現をする。

「胡蝶蘭、バンダ、デンファレは自作加温ケースがあれば越冬し立派な花を見ることが出来る」とする。これはつまり、どなたでも手間をかければあまり大枚はたくことなくこれらの熱帯性のランを咲かせてたっぷり楽しむことが出来る、ということなのである。(バンダについては高温性でなく中温性のものも結構ある)

ではいくらかかるか。

木とねじで組み立てるケースに2500円。温度調節器を7800円。ビニールシート1000円。電球、ファンなど1000円。かぶせる毛布などに2000円。これでざっと15000円である。温度調節器は実のところ高温の心配だけすればいい場合がある。専業主婦の方なら、昼間40度ちかくなるケースのビニールをさっとはぐりさえすればいいのだ。出かける場合は日に当てないことにすればいいのである。加温の温度調節器は安いものがあるので、これを使う。手動運転にすると7000円のコストですむ。もちろんビニールシートや毛布などはありあわせをつかえばよい。

具体的にどうするのかといえば、ケースをつくり、ビニールをはりつけてしまう。内部の加温は電球で行う場合は、100wまたは60W(2個100円)と、ソケット190円、電気コードで自作するか、電気毛布を日の当たらない側に垂らす。はたまた、毎晩風呂の残り湯をバケツにくんでケースに入れてやるという方法もある。

内部に小さな扇風機を取り付けて緩やかな風をつくりだしてやると具合がよろしい。日の当たらない側のビニールははぐってランの世話ができるようにするが、他のビニールは隙間があかないようにしておく。夜間は古毛布などをかぶせて保温につとめる。温度計を見ながら工夫し、13度以上を目指す。

一度に万円規模のことをやるとしんどいから、秋口からゆっくりと準備を始める。室内にまず棚を作り、寒くなったら入れてやるようにする。つぎにビニールを張る。いよいよ寒くなってきてから加温設備を取り付ける。ランの葉のツヤをみつつ、よかれとおもうことをやれば、いつしか冬というのに根がうごき、葉がでたりすればもう安心だ。育てる人の環境に合わせていろいろな工夫で激安高性能ケースをつくりうるので試していただきたい。

別の話をすると、住環境そのものがこれら熱帯ランの生育に適した環境である場合がある。最近のマンションがそういう環境になっているらしい。また、残業や休日出勤の多いオフィスなどは結構暖かいため(^^;)、もってこいである。デンファレや胡蝶蘭などは花の終わったものが探せば500円くらいであるので、環境のチェックに一冬試してみることをおすすめする。思わぬ楽しみが転がっているかもしれませんよ。

 

中温性ラン(カトレア類、パフィオ類、オンシジウム類)の越冬

胡蝶蘭やデンファレほど温度を要求しないけれどある程度保温すればよく育つランを中温性ランと呼ぶ。8度以上を保つのがこの中温性ランの目安である。このほか、温度管理の点から多くのデンドロやシンビジウムは低温性ランと言っているが、これらも5度以上が望ましい。

一戸建てのリビングは厳冬期4度になる。これでは中温性ランも少々よわる。そこでビニールを張ったケース(1つ2500円程度)をつくり、室内側の面だけビニールを張らずにおいた。リビングは夜間暖房などにより23度程度になる。夜間はかならず雨戸を閉めるようにして放射による冷却を防いだ。また、リビングの窓をケースでふさいだため、ケースのビニールが効果的な断熱に寄与した。ランにはファンで常時風を送り、家にいる間はよく霧吹きで葉に水をかけた。電球200Wでランを側面から照らし、温度調節器をつけて夜間と低温時の保温を行った。温度が下がった場合電球を付け、暖かくなったら電球を消すという制御は「水槽のサーモスタット」2600円がやっているのだった。蘭用のサーモスタットは高い。しかしホームセンターで売られている熱帯魚のヒーターを制御するサーモスタットは手頃な値段なのである。サーモスタットの制御できる電力は300Wまでなので余裕がある。温度に敏感だとオンオフが頻繁になって電球がすぐ切れそうだが、少々鈍いので丁度よいようである。荒っぽいダイヤルでだいたい18度に設定しており、18度以下になると電球がつくわけである。

棚の最低温度は8度程度で落ち着いた。電球栽培の効果なのか2月にもかかわらずどのランも根の活動が活発だった。デンドロや胡蝶蘭、カトレアなども開花するようになった。その状況

 

高温ケースへの挑戦

高温ランとして扱うファレノプシスやデンファレには加温ケースを自作してそこに入れっぱなしにしていた。3段になっており、上段中段は高温ランで、下段は休眠中の活動のないランをほったらかしにしていた。全体をビニールで覆って、電気毛布、電球、ファン、換気扇など取り付け、さらに夜間は毛布、反射シートで覆っていたが結構隙間があるのか最低気温11度くらいになってしまっていた。換気扇は取り付けないと天気のよい日には内部は42度にもなった。種々の改良を加えたおかげで2003年度は大層成績がよかったように思う。しかし人間は欲なもので、最低温度20度の世界にはどんな花が咲いているのであろうか(^^;)などと思うわけである。冬越しの仕方で花が大化けした例がある。デンファレアリカは花径40mmほどだろうと思っていたら90mmにもなったのである。また、電球栽培という夜間も光を当てた場合ランの生育がこれまたよかった。光を更にたっぷり与えたらどうなるのであろうか。新しいケースを作りその魅力的な領域を開拓しようではないかと考えたのである。

冬ごもり棚を高温化のためにこれまでのケースを作り替える(そう言えば今までほとんど紹介はしていなかったなあ)。この棚は、横木の板材と、ツーバイフォー材(1800mm、220円*4本)をはめ込んで棚の支柱にする樹脂の枠と木ねじ(8個*400円=3200円)で組み上げる簡単設計になっている。作成には1時間もかからない。木ねじをはずして横板と支柱をはずし、支柱4本を交換して高さ160cmだったものを180cmにした。横板に140cm40Wの蛍光灯(2500円)を取り付けた。巨大な蛍光灯が丁度よい大きさに見える。それぞれ棚の間隔を広げた。一番下の棚は昨年背の高い耐寒性のあるランが集中したため、今年もそれらを配置することにして加温を行わないことにした。

ついでにビニールを張る。昨年までは値の張るビニールを張っていたが、今年は「透明なマルチ」を使ってみた。マルチは畝を乾かさず、雑草が生えないように覆うためのビニールである。農協の1ロール500円で売っていたもので、幅も長さ(たぶん50m)もたっぷりある。上二段、まず側面をぐるりと覆う。さらに2段目の底面から側面、頂面、側面と覆う。昨年ずさんだった側面の隙間は今回完璧に塞いだ。加温ケースといいながら昨年11℃くらいだった。今年は20℃を超えられるだろうか。とりあえず棚は完成した。(10月12日)

2004年8月に思い出しつつ:越冬前にお亡くなりになった胡蝶蘭2株を除き、ケースの中でお亡くなりになったものはなかったように思う。

2004から2005年の冬は、中温棚の1つに電球を2つあてて高温棚として運用し、胡蝶蘭、デンファレ栽培を行っている。2005年1月30日までに胡蝶蘭2株が開花した。

 

転倒防止具

育ちすぎた蘭は恐ろしく小さな鉢にこれでもかと言うほど背の高い株になることがある。そよ風で倒壊したデンファレ・アリカに懲りて倒壊防止具を開発した(鉢はOnc. Sweet Sugar?)。作り方は写真を見てもらえば一目瞭然である。本日ホームセンターで桧の棒178円を買ってきてのこぎりで125mm の板4本を切りだし、縁から16mmのところに9mm切れ込みをいれ(この幅は板の厚みに対応している)、これを組み合わせて井形に組むのである。内部の幅は75mmである。3号鉢と3.5号鉢に対応している。3.5号鉢の場合は底が浮く。ぐらぐらするのでヤスリではまりやすいように削ってみた。なんとかはさかって安定するようである。見た目もよい。これは売れそうだぞ。誰か売ってくれないだろうか。正直な話もう一つ作る気力はない。物を作るのは大変である。のこぎり23行程、ペンチやらヤスリかけやら1時間ちかくかかった。

こういう物を見かけないのである。「発明」という可能性もあるが、普通は「もう誰かがやっていて、使い物にならないことが分かったため誰も作っていない」のである(^^;)。まあそういうものだろう。

この転倒防止具はちょっと見ていると「あら、いいわねえ、どこで買ったの?」といわれそうな感じがしてきた。鉢を押してこかそうとしてみたがこけないのである。また、鉢が浮いているため株の立ち上がる角度を調節できた。桧の質感がよろしい。

もっとお手軽なものを見つけた。100円ショップで売っていた升である。これに鉢を入れかませをしておくと高さ1mのデンファレが生えた3.5号鉢を安定して支えておくことが出来た。

 

室内水やり具

 冬場は水やりが難儀である。このためついさぼりがちになり、乾かしてはいけない鉢まで乾かして蘭が不調になるおそれがあった。ここ3週間ほどシリンジはしていたが、水やりは週一にまで減っていた。また、これまであろうことか神聖なる流し台でこけずるずるの鉢に水をやっていたのであった。なんとなくそういうことをしていると罰が当たるような気がしていた。それだけではない。鉢をせっせと流しに運び、かつまた棚に戻す労力は馬鹿にはならない。3鉢を持って往復10mを歩くのである。時間もかかるし事故も起きる。かつまたやらねばならない時を選ぶ。もっと楽に出来る方法はないだろうか、と考えてきた。棚に水やり場所をしつらえて、そこに置いて水をやると、あふれた奴はサッシから外に排出されるような仕組みを検討したことがある。考えただけで実行はしていなかった。

ノズルの細い水やり器をミスタードーナツのおまけにもらった。皿洗いの水切りの要領で水切りカゴなどはどうだろうかと考えて100円ショップで深いトレイと底の平らなバスケットを買った。使ってみるとかなり使い勝手がよかった。

みずやり器は水のビームが細くて的確に鉢のウオータースペースをヒットする。トレイとバスケットは6鉢の蘭を安定してホールドしてくれる。水切れも音を聞いているとよくわかる。バスケットとトレイの間には十分な空間があって、たっぷりみずをやっても鉢まで水が上がってこない。リビングの蘭すべてに水やりをしたが、かつてないほど短時間で終わった。これはつかえる。これなら毎夜の株の検査のついでに楽々水やりが出来る。

 

ガリレオ式温度計

 温度計がぱっと見てわかるのであればありがたい。そういう温度計は夜光るデジタル表示の温度計が有効ではあるが高い。インテリア性も高く見ていて楽しい温度計がある。それがガリレオ式温度計だ。神戸蘭展で買ってきてかみさんにプレゼントしたガリレオ式温度計には32℃から2度刻みで14℃まで刻印した金色のタグが下がったガラス球が入っている。温度が上がると低い温度のタグがついた玉から底に沈んでゆく。真冬はすべての玉があがっており、部屋がぬくもるにつれて玉がゆっくりと下におちてゆく。原理はというと、玉の全体としての密度がある温度の水の密度と等しくなるように作られており、温度の変化にともない水の密度が変化すると、水より密度の大きな玉は沈み、密度の小さい玉は浮力を得て浮き上がるというものである。なぜこのような温度計が神戸蘭展に?と不思議に思っていたがどうも温室用具らしく、温室を外から見ても内部の温度がわかるという優れものなのである。温度計に近づいて目盛りを見ずとも、「青い玉(ガラス玉に種々きれいな色のついた液体が入れてある)がみえるから適温」などとわかるようになっているのだ。実物はかなり美しい置物である。これが3000円とは安い。かみさんにもめちゃめちゃよろこばれた。玉二つでエアコンを入れるきまりになっている。通販でも手に入るようである。

 

無謀なクールケース

西日本でマスデバリアを育てるというのはある種無謀な試みかもしれない。しかし現に売られているし、買った以上はからしたくない。これまで2年間夏場弱りながらもなんとか育ててきたし、ついつい買ってしまった株も結構な数になっていた。そこへ今年2004年の酷暑である。8月初旬だというのに葉先が黄色く枯れてきたものが出てきた。このままではほとんどが枯れてしまいそうである。もう光合成しなくてもいいから夏は静養してくれ、とクールケースを製作した。

アイスパック280円と衣装ケース398円でマスデを冷やすという無謀な検討をはじめた。まだ相当弱っているという段階ではないので何とかなるかもしれない。このままでは危ないのはたしかだ。

結論を言えばほとんど使わないまま秋になり、以下に述べるクール棚のおかげか、暑さでお亡くなりになった株はプレイオネ以外無かった、と思う。

 

夏場はクール棚を設けた

2004年の夏は猛暑だった。夏に弱るものは出来るだけ涼しい風通しの良い棚をつくってそこに疎開させるようにした。家の裏手には川が流れており、あまり利用されていない花壇があった。風通しはよく、西日は入らず、朝日はよく入る立地だった。そこに角材を適当に木ねじでひっつけてこさえたぐらぐらする棚を立て、60%の遮光ネット200円を張った

オンシジウム・オブリザタム、リカステ、マスデバリアなど多くのクール系が夏を越せた。

 

蘭を連れて帰る旅

 2004年9月5日の豊橋蘭友会で大変なことになってしまった。ゴンベッサさんや、渡邊さんから魅力的な株をいただき、原種の配布苗をつかみ、つぎつぎでてくる魅力的かつ強烈安価な株をあれよあれよと買ってしまい、結局16種17株をもってかえることになってしまった。こんなにもって帰れるのであろうか。

 トレイに12個を固定した。軽くて株が痛みにくそうなものはビニール袋へ入れた。梱包してあるものや大きな株をリュックに入れた。トレイは重心を支えれば片手で持つことが出来き、さらにビニール袋をさげることすら出来た。どういうスタイルかといえば、左手にトレイとビニール袋、リュックに大きな株2つという構成になっている。ゆえに右手は空いている。これでなんとか移動は出来るようになった。

 当日青春18切符での移動であった。トレイとビニール袋、リュックなどを網棚に置いて電車に乗ったが、途中熊野灘を震源とするM6.4の地震が発生し電車が停車したにもかかわらず蘭はびくともしなかった。

 結論としてトレイとビニール袋さえあればうんざりするほどたくさんの蘭17株でも移動可能である、ということがわかった。あと2株ほど買えたのではないだろうか(^^;)。

 

 

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