蘭馬鹿日誌2005年2月および更新記録

ランのよしなしごとをつづる。下に行くほど昔 

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2月28日(月)

う、胡蝶蘭「池袋5」のつぼみがいくつかあかんようになった。今朝6度だったので、なんやこのところ寒いなあ、とおもっていたら具合が悪くなったか。もう半月もすれば少しは暖かくなるのでそれまでの辛抱である。

Paph.Deperleに花芽らしいものが2つ見える。3つ出る可能性もある。昨年実に美しく咲いたので期待している。今年はさらにスケールアップしている。

Paph. primulinumが昨日開花した。つぼみは11代目らしい。

 Paph. `Wine Red`の花茎がのびてきた。まだ安心は出来ない。コナカイガラムシを2匹捕獲した。

 小さいなりに見事だったPholidota chinensisは、今年5つ花芽が上がっている。

 今月は10件の開花であった。なにやら平準化が図れておちついた趣味になっている。咲いている鉢が27鉢にもなったことがあり、置き場に困った記憶がある。何事もほどほどがよろしい。

 3月も2月並みだろう。

 東京ドームも終わったようである。I氏は16株せしめてかえってこられたそうだ。これはすごい。過去6株買ったことがあったが重くて移動が大変だった。

 Yonezawaara Blue Starは、そろそろしおれ始めた。200円で毎日良い香りを放って1週間以上咲いてくれたので御の字である。これはいい買い物をした。

 

2月27日(日)

運動がてら春蘭の自生地を見ようと山に入った。たまたま春蘭が生えていなかったようで、そのまま山の中に分け入ってしまった、やたら鹿の糞を見た。鹿の通り道のようである。ところどころ雪の積もった山を越えて遠くの沢に降りた。犬のキャイーンという鳴き声がするのが少々おっかない。トラバサミに足をとられたのであろうか。鳴き声を避けるように、峠を越え、知らぬ沢をぬけて遠くの舗装道路に出た。ここまではまあ関係ない話である。さらに歩いて帰りがけに仏の花を買おうと近くの園芸店「花信」に行った。この時期たいした蘭はなかろうと思ったら蘭だらけで驚いてしまった。「花信」は山野草を扱うお店である。まずカヤラン500円が目に入った。

カヤラン?、カラヤンではない。しらんなあ。単茎性らしい。2号素焼鉢にミズゴケを盛り上げて植えつけられており、花茎が3本、つぼみがいくつかみえる。えらく小さい蘭である。

おなじみのセッコクとフウラン、報歳蘭がみえる。ミヤマウズラ200円は葉がきれいである。安いなあ。台湾トキソウ400円がある。なんとかチドリ400円、ハクサンチドリ800円、クマガイソウ1500円、小型アツモリソウ800円、コクラン400円、指名手配中のトキソウ600円などなど実に豊富にあった。

安いし魅力的である。しかしながら苦手意識が強い。我が家はカトレアから胡蝶蘭に最適な条件になっているためか、日本の蘭は調子を崩すらしい。日本の冬は寒い。そういう寒いところで平気な蘭を暖かい屋内で栽培するとどうも調子が良くない。熱帯の蘭はなんとか育ってくれるのだが、日本の蘭はどうもむかない。かといってやたら寒い屋外では何かと心配である。日本といっても広いため暖かい地域に自生する蘭は、室内や屋外のどちらにも適さないということもありうる。日本の蘭はいろいろ気を使う。そんなこんなが頭を渦巻いて結局切花だけ買って帰ってきた。

 

そろそろ植え替えシーズンである。椰子ガラはあくを抜いて使うようなことをどこかで読んだ。袋に竹串を突き刺して穴をあけ、袋ごとバケツの水に沈めて一晩置いておいた。茶色い水になっていた。えらく寒いので植え替えはまだ先のことである。

 

2月26日(土) 

トップページにデンドロキラム・グルマセウムを持ってきた。2.5号鉢なのだけれどすごいボリュームである。しかも「お部屋の香水」クラスの香りだ。姿も美しく、エノコログサのような花房を優美に5本もたらしている。蘭をやっているのだったらぜひとも手に入れておきたい種類である。

 

この2月は即戦力の輸出を心がけたため(^^;)昨年に比べ開花件数が減っている(昨年26、今年21件)。一方で新戦力の開花が目立ち、はや10株が新規召抱えの開花というめでたい状況にある。さらにことしは「豪華うっとりもの開花」が多いのも特徴で、例年になく花乱舞的な日々をすごしている。

 

古本屋でまたまた蘭の本を見つけた。「毎年咲かせる 洋ラン 手入れと楽しみ方」、中山草司著、大泉書店、1994、1100円(→105円)であった。バンダ、エピデンドラムやリカステなど、通常扱われていないような種類まで詳しく育て方が書いている。図が丁寧でうまい。

別に「蘭学事始」という本もあり、これは蘭好きのエッセイであるらしい。800円もしたので手が出ず。

蘭の写真集もあった。3800円が1000円。しかしけちには踏み切れない値段であった。

越冬棚の水遣りをしていた。ハウエアラ チャンツーラブリー チャンツーゴールデンバグに花芽がみつかった。

 

2月25日(金) 

鳴かず飛ばずのカタセタムふた鉢に芽が出てきた。またまた新芽だろうとは思う。

 

「鳴かず飛ばず」も紀元前中国の歴史に源流があったんだっけ、と思い出す。「包丁」はBC334年とかいっていたなあ。「完璧」は戦国時代だ。この「完璧」の話は面白かった。どれも長い話がある。大変多くの言葉が古代中国に源流があると知って驚いた数ヶ月をすごした。そういう春秋戦国時代の小説ばかりずーっと読んでいたのでかなりかぶれている。「蘭」と書くとなんとなく周王朝の流れを汲む国が中原のどこかにあったんじゃないかという気がしてくる。

 

春秋時代、宋の南、中原をはずれた山地に蘭という小国があった。峻険な山岳に囲まれていたため、楚に属しつつも諸国のせめぎあいにさいなまれることはなかった。凡庸だったがつつましい聴政でよく治まっていた恵君の治世に圃薙(ぽち)という忠実な宰相が居た。楚の霊王に朝貢すべく首都の杢棲を出たが、宰相の地位を狙う爺厭の手が霊王にのび、「圃薙は王のことをアホいうとりましたでぇ」と讒言されたため、貢物に難癖をつけられ首を切られてしまった。

圃薙の家宰の爺好はその死を悼み、遺言により主人を火葬にして庭の大木に灰を降りかけたところ、その木に着生する杢棲(首都の名の由来:今日のデンドロビウム属の蘭と思われる)の枯れ枝(いわゆる葉のおちたバルブ)から大きな美しい花が咲き(おそらく骨に含まれるりんとカリが効いたためでしょう)、これを見た恵君を痛く喜ばせた。爺厭の思惑に反し、圃薙の子圃漉(ぽこす)が宰相の地位を得、楚と会戦すること3度、繪爛での戦に勝って霊王の非を糺とともに父の憾を晴らした。蘭は秦にBC220年に滅ぼされるまで長く栄えたという。

そうか、花さか爺さんも原典は中国か(嘘です)。

 

うそといえば

命題:「蘭をやっていると花粉症にならない」→偽

命題:「蘭をやっていると風邪を引かない」→偽

だったようである。反例が見つかったためである。だったらいいなあ、とおもっただけである。でもまあ統計的にはどうなの?と思わないではない。

本世話人はといえば、「今年はインフルエンザには罹らないことにしました」「花粉症はしばらく予定がない」「自家用蘭展開催中」というゴーマンぶりである。

 

2月24日(木)Den. ? 'Murakami'開花 

Den. ? 'Murakami'が開花した(No.20,新規10)。購入したのが昨年の6月で、すぐに開花し、夏、秋、冬とそれぞれ別の花茎で咲いたことになる。今回は我が家で育ったバルブから出た花茎で真冬に電球栽培により咲いたものである。電球栽培の高温ランへの有効性が示された。これは重要なデータである。「20度以上、温室が必要」といわれている高温性蘭のデンファレと胡蝶蘭が、一戸建のリビングで、ケースですらない開放の棚でぱかぱか咲くのである。90Wのライトとファンさえあれば幅広い種類の蘭が育つのである。

今も新芽が出てきているので初夏に咲くだろう。大変元気なデンファレだ。

よわっていたParaphalaenopsis laycochiiがどうもあかんようである。棒状の葉がぽきぽきおれていたし、今度は中心部がくろくなってしまっている。難易度の高いものをつかんでしまったように思っていたが、寒さで弱ったらしい。そういえばCoelogyne asperataもあかんようである。こちらは新芽が枯れ、バックバルブも茶色くなってしまった。なんだか下手になったと思う。責任を感じる。えーと、ほかになかったかなあ。

本日は水遣りで1時間半かかった。

花粉症というのはある種植物アレルギーということなのだろうか。普段から蘭栽培のように植物に触りまくっていると、免疫系が「ああ、花粉ね。こいつのタンパクはよくわかっているから無視」といってさわがず、アレルギー反応もない、ある種免疫みたいなものが出来て花粉症にならないということはないだろうか。家のそばには杉林がある。花粉がうっすら積もって見えることもある。空気がきれいというのはあるが、これまで発症したことはない。蘭をやっている人で、花粉症の人いるか興味がある。

 

2月23日(水)Lc. Persepolis、Lhta. oerstedii開花 

Lc. Persepolisが開花した(No.18,新規9)。花が大きい。つぼみはさほどでなかったのに大きく開帳している。初日からセパルの上下で124mmある。ペタルが巻いているので今後開くかどうかわからない。かみさんも絶賛の大変見事な花が咲いた。

Lhta. oerstediiも開花した(No.19,新規9)。前回咲いた所から別途花茎が出てきてかわいい花をつけた。

リカステが72日間咲いて終了した。夏の開花77日間とあわせて花7つで、149日間咲いていたことになる。リカステはすごいねえ。

2月22日(火)

 蘭にのめりこんだはっきりした日付がある。2000年2月27日(日)の東京ドーム蘭展見物の日であった。それ以前にただの一鉢も開花株を所有しておらず、ただ2年間育て続けた蕾株があった。開花は蘭展に行った翌日の2000年2月28日(月)である。この日が蘭人生の初日であったかもしれない。この花のない見切りのカトレアを1998年2月7日(らしい)にミドリ電化にて300円で購入した。鉢を根が取巻いていたため、大変奇妙に思い、堅い二枚葉に強烈な魅力を感じたのである。2年後、まだ蕾の時期からこの蘭は強烈な魅力であの蘭の街にいざなっていたわけである。このようないきさつがあり、2月は蘭と出会った月だ。このカトレアは毎年咲き今年で6回目の開花になる。出会ってから2573日、7年を過ぎた。咲いたときは「ちっ、地味な花。こんなのを2年もそだててきたのか」と落胆し、ふてくされていたが、6週間後2000年4月10日にしおれたときには落涙した。あのときの気持ちは、花への愛惜と、感謝だったと思う。蘭のよさを最初の出会いで味わいつくした。それ以後年々すばらしい花になり、本日は香りを良く感じた。

 

2月21日(月)

 Epi. ‘Hanakoujou’は購入以来436日間一日も休まず花が咲きつづけている。新しい花茎が新芽から出てきたためまだまだ咲くつもりらしい。Den.クラシノーデは400日咲き続けたという記述を本で読んだ。こちらは500日を突破しそうな雰囲気である。500日目は4月26日だ。うまく育てれば株が拡大しつつ、花が増えつつ、しかもまったく花が途切れない恐るべき鉢になる可能性がある。しかしながらエピデンはどうもよくわからないというのが正直なところである。というのも、購入以来鉢にまったく手をつけておらず、鉢は沼地のように水の切れが悪い。もともとそうだったので、そういう風な環境を好むのかも知れず、だとすれば通常の蘭とはかなり異なる性質をしているように思われる。かつて良く似た株のEpi.「キャンディベル」をカトレア扱いして素焼鉢にミズゴケで植えたことがある。高芽を植えたものは元気よく育って花が咲きもらわれていったが、本体は作落ちしてしまった。今でも苦手意識がある。そういう意味では不思議に満ちた植物である。

 子供のころカブトムシをやっていた経験からすると、蘭のほうがカブトムシより変化に富んでいてダイナミックにおもえる。卵、幼虫、さなぎ、成虫という成育のサイクルを経験したのであるが、またやってみたいとは思わない。カブトムシは300種類も扱うことはないし、忽然と巨大な花が現れたり、「どえーっ」という1m級のバルブが3.5号鉢に勃興したりはしない。大変面白いので、小学校高学年の児童にはカトレアなどの3号鉢を手がけてほしいなどと思う。1年で結果の出るデンドロの小苗を小学校のクラスに寄付している蘭屋さんもあるという。蘭は折ったり落としたりというもろさがあるという危惧もあるが、カブトムシのさなぎほど難しくはない。あのさなぎというのがカブトムシの醍醐味みたいなもので、あれをみたさに弄り回して調子を崩すという経験をした。蕾が出てきたようなときの感覚に近いものがあった。

 本日は現有の開花株に魅了されていた以外とくだんの発見はない。

 Blc. George King ‘Serendipity’ AM/AOSは、セパルはしおれたものの、ペタルとリップが健在で、なお魅力がある。結構がんばるカトレアだ。

 

2月20日(日)Yonezawaara Blue Star, Paph‘White’購入

子供の用事で朝から出かけていた。園芸店に先週みて気になっていた200円パフィオを見に行った。9時半ごろなので客は誰も居ない。先週480円でみていたYonezawaara Blue Starは期待通り200円に安くなっていた。パフィオもまだ花がしっかりしている。これらを引っつかんできた。

Paph ‘White’ 白パフィオ

2005年2月20日 宝塚園芸サービス 200円

 200円ででていたものを一週間考えて購入に踏み切った。最近やたら出回っているPhipsに良く似ている。新芽のほうが花のついているほうより大きい。さらに新芽がある。椰子ガラ植えになっている。問題はなさそうだが春に植え替えたい。

Yonezawaara Blue Star ヨネザワアラ・ブルースター

2005年2月20日 宝塚園芸サービス 200円

 フウラン様の香りがする。色は青みがかった赤紫。うちのDar. Charm ‘Blue Star’よりは香りがよい。化粧鉢にミズゴケ植えなので近いうちに植え替えの必要を感じる。

 本日は水遣り日であった。250鉢の蘭に水遣りが2時間半かかった。

 Lc. Persepolisがいよいよ開花目前である。大きな蕾が垂れている。

 Bulb. falcatumに花芽が見つかった。

 

2月19日(土)有馬高校蘭展、Max. porphyrostele開花

 恒例となった有馬高校蘭展に行く。かみさんにおこされ、朝食のチャーハンを作り、そろそろ時間かというところで車に乗せられ会場についた。

 かみさんが気に入ったものがあったらしく袖を引く。すごいリカステがあった。花が5つ。株の姿といい花といい実によろしい。高そうだ。ところが驚いたことに2100円だったのである。「けちけち園芸法第一条第二項:蘭の購入価格は2100円(税込み)を上限とする」にぴったり収まる。まさに呼んでいたとしか思えないような鉢だ。ゆえにこれをつかんで撮影を行った。

 残念ながら名札が見当たらない。そっくりな鉢が別にあり、「Lyc.サンライズxマカマ」とある。まあこれだということにしよう。

 結構画像が集まる。ほとんど売り物を撮影してきた。

 C. aurantiacaなかなかよろしい。1400円。

 Max. variabilis:よくみかける定番のマキシラリア400円。

 Epi. schlechterianum:どれが花?といわれた。700円

 Bulb. leysianum:見たこともないバルボ。700円。

 

 Onc. Cheiro Kukoo: ケイロホルムとKukooという交配種の交配でついた名前。

 Onc. Only One:流行ものぽい名前だ。

 Epi. Pritty Lady ‘Smith’:

 Phal. Anthura Gold:

 Cym. Antique ‘Allure’:

 Cym. Love Line ‘TinkerBell’:

 Den. Sweet Pinky Momoko:

 Zygonisia Roque brune ‘Murasakisikibu’: ジゴニシア Zygonisia Zns. は、ジゴペタルム類で Aganisia x Zygopetalumという交配である。なんじゃAganisiaとは?。知らんなあ。

 

 購入したリカステは見れば見るほど惚れ惚れする出来である。花の大きなLycはめったに手に入らない。苗も3000円をくだらない。昨年もこの蘭展でリカステをみて、ここが一番安いと思って狙っていたが、昨年でもどれも2500円だった。ともかくはじめからLyc狙いで、しかもちょうど良い価格で売られていたというのが奇遇である。花の幅は最大のもので132mmあった。

 Max. porphyrosteleマキシラリア・ポルフィロステレが開花した(No.17,新規8)。昨年の4月24日にいただいた株だった。つぼみは3つある。花が大きめだ。

 東京ドームからの中継を見ていたら寝てしまった。今年の大賞は意外なことにごく小さい蘭だった。昨年来付けねらっているデンドロビウム・カスバートソニイであった。小さいといっても通常数輪しか咲いてくれないものが70輪も咲いているという。審査員は多分びっくりしたのだろう。このデンドロはなうてのクールオーキッドである。しかしクール実績を積んだのでほしいと思っていたが、大賞を取ったとあっては当分手に入らないだろう。リカステ、マスデと大賞にクール系が結構くるようだ。このところカトレアがこないが、食傷しているのであろうか。大賞になるには審査員をびっくりさせる必要があるらしい。「異様にでかい!」「え、この咲きにくい花がこんなに!」「すげー色」などなど。近年無茶をするアマチュアの受賞が多いそうである。

 ねぼけて見落としたのか、他の株の紹介を見落としてしまった。今年は沖縄ネタが多くてその点は面白かったのだけれど、会場の面白いところは良くわからなかった。蘭も私が面白いと思う以外にたくさんの楽しみ方があって、私が面白いと思っているようなことは世間ではさして重きが置かれていないようである。

 

218日(金)Dtps.‘池袋1’開花

 Dtps. ‘池袋1が開花した(No.16,新規7)。

 夜中やっぱり水遣りをすることになった。庭に平らな園芸用のかごがあり、これにマルチを敷いて水をためるトレイにした。これにちょうど園芸トレイがはまった。これは室内水遣具として使える。現有のものとあわせて、これまでの2.5倍の処理能力がある。はかどるにははかどるが、手間取る部分は蘭の出し入れと配置であることがわかった。水をやる工程を高速化しても、鉢の出し入れが律速段階になっているため大幅な高速化はできないことがわかった。まあ少しは楽になったのではある。

 この時期一年中で最も充実した開花株が並んでいるかもしれない。Den. 'Takemoto' Onc. obryzatumBurr. Stephen IslerC.intermedia var alba?Dendrochilum glumaceumDen. Snow Baby 'Green Pocos’Phal. 'YellowGreen、というあたりはまことに見ごたえがある。本日はBurr. Stephen Islerが満開となった。なんとも言えず美しい赤い花をアーチ状につけている。

 新聞に「三田市天神2丁目の県立有馬高校で19,20の両日、校内蘭展が開かれる」と写真つきで報道されていた。駅に張り出しがなかったので、今週はないのかと落胆していたが、明日の予定は決まった。しかしながら年々お値段は高くなる傾向にあるように感じているので、買い物はどうであろうか。

 知人が「緑のある生活」なる講演を聴きに行って「講演者の自慢話ばかりで腹が立った」という話をしていた。緑のある生活といえば、もう緑まみれ花だらけの日々である。最近はそういう生活が推奨されているのか流行っているのかよく耳にする。なにがいいのか挙げてみろと言われたら2時間ぐらい話が出来そうだが、本日は健康面について述べてみたい。

 マイナスイオン、という言葉が流行っている。実体がないわけではない。ただ、高校では「負電荷を帯びた原子または原子団」と教わるのではないか。電子を受け取って負電化を帯びた原子や分子のことである。それならば血液の中にでも梅干の中にでもたくさんのマイナスイオンが居る。まず思うのは塩素イオンである。塩分のあるところ塩素イオンありだ。次亜塩素酸イオンは塩素で水を消毒するので水道には少し入っている。硫酸イオンもありふれている。イオンクロマトグラフという分析手法を用いると水道にはこのほかフッ化物イオン、燐酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンなどのピークが見える。どれも毒というほどのものではなく少量居ても悪さはしない。これらをマイナスイオンと呼んでもいいのであるが、どうも意味合いがちがうようだ。ここに書いたイオンは水溶液中にあってプラスのイオン(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのプラスイオン)によって電荷が中和されている。最近かまびすしいほうのマイナスイオンはある種静電気的に少量生成したもので空気中を漂ってくることでありがたみがでるものらしい。

 以前にトルマリンの話をした。たたくとプラスの電気を石に残して、電子を空気中の分子に押し付ける作用をする。ごく少量だが、マイナスイオンだけを空気中に放出することが出来る。もし1クーロンのマイナスの電荷がふらふらしていたらそれは猛烈な力でプラスの1クーロンにひきつけられる。プラスの1クーロンとマイナスの1クーロンが1kmはなれて数トンの力で引きあうほどである。ちなみに塩58.44g96500クーロンのマイナス電荷を持つ塩素イオンと同じプラス電荷を持つナトリウムイオンで出来ている。ゆえにごくごく少量の電荷だけが空気中を漂うことが出来る。

 マイナスイオンの正体は電子を受け取った水分子などだろうか。滝の近くや森林にマイナスイオンは多いという。このようなマイナスイオンは細菌などに付着してその働きを阻害するという。いろいろ臨床的に良いデータが得られているのかもしれないが、そのあたりはさっぱりわからない。すがすがしい気持ちになる、などという記述もある。滝のそばや森の中の雰囲気を感じるのだろうか。

 マイナスイオンは定量的に計測することが出来る。植物を置くと、マイナスイオンの量が増えると計測されている。なぜ増えるのか。想像するに光にはじかれて生じた電子を分子に渡してマイナスイオンを作っているのだろうか。TiO2のような抗菌コーティングも似たようなことをしていたように思う。「マイナスイオンはよい」ゆえに「植物を置こう」という話になっている。ふーん、というほかはない。まあ蘭があれば気分はたいそうよい。こればかりは蘭をもっていただき、環境を整えて、元気に育つ蘭を見ていただければ納得していただけるのではないだろうか。根が、葉が、花が、すべてがいい。

 別にマイナスイオンがほしくて蘭を置いているわけではないが、健康への寄与をおもうことはある。

 まず不衛生である。必ず多量の微生物が鉢の中には居るのだ。くも、カイガラムシ、ヤスデ、ナメクジ、トビムシ、その他あれやこれや魑魅魍魎が跳梁跋扈しているに違いない。しかし、不衛生であることを自覚しているとかえって掃除に気を使う。清潔を妄信しているよりよい。ダニは人のふけや皮膚を食おうとして一見きれいな環境に潜んでいるし、そのほかの害虫はやはり人を狙っているものもある。しかし蘭のなかの虫は本来人を当てにして生きているわけではない。人の害虫にとって天敵になるものも住んでいる可能性はあり、かえってよい効果をもたらしてくれているかもしれない。

 近年衛生的になりすぎて人間の抵抗力は下がっている。抵抗力の下がった状態で菌に進入されると重い病に罹ることもあろう。ゆえに適度にばっちいものにさわっておいたほうがいいのではないか、とおもうことがある。体内の免疫系をあまり暇にしておくと体内を攻撃するというようなことを聞いたことがある。人間の体も外敵が居ることで平衡を保っているのではないか。蘭をはじめて風邪で寝込んだものを家族に見ない。偶然であろうか。

 保湿ということはインフルエンザの予防になる。100鉢も部屋にあると保湿はばっちりである。インフルエンザにかかったのは遠い昔のことで、どんな症状だったか忘れている。

 空気浄化機能があるのではないだろうかと思う。湿ったミズゴケはほこりが吸着しやすいだろう。花粉なども引っ付いて飛散しにくくなる。引っ付いた花粉は微生物のご飯になるのではないか。

 結局のところ、部屋を緑だらけ、花だらけにして楽しいのは蘭である。これで健康にも良いというのは話がうますぎる。ああ、蘭はいいなあ。

 

2月17日(木) 

 蘭図鑑は800種を越えたあたりでひとまず一段落している。育てて咲かせてくれた方々に感謝申し上げたい。一方で勝手に撮影して図鑑にしているという不義理は申し訳ない。しかしながら育てた方の誇らしくもすばらしい蘭を賞揚したい気持ちからなのでなにとぞご容赦お願い申し上げます。

 しかしながら2157枚の画像からなる当サイトは容量オーバーの危機に瀕している(でもどうやっておさまっとるんだろうか。不思議だ)。こういう容量の限界がなければ広くラン画像を公募して(ええなあ、黙っていても画像が集まってくるなんて楽だ)世界に誇る日本の蘭画像サイトを目指すのであるが、そりゃまたそれで仕事大事お家大事の勤め人としては往生するし、もともと我が家の蘭のための管理帳簿なのだから設立趣旨に反している。それゆえおとなしく、つつましくやってゆくのである。毎月500円払えば300MBになるという。しかしまあこれは「けちけち」精神に反しているためとても出来ない。「けちけち」であることで実に面白い工夫が生まれ、次々と有益な結果が得られているのである。この「けちけち」精神こそ本サイトをつらぬく支柱なのである。

 さて、本日も工夫の必要性を感じている。水遣り日なのであるが、連日の雨であまり乾いている様子がないのでサボる。実のところ水遣りの重労働2時間スペシャル*家政婦は見た*「新芽続々花芽はどこ!」がつらいのである。「ああ、楽がしたい。もっと楽な方法はないのか」というわけで室内水やり具スケールアップを思いついた。衣装ケースを手に入れて来よう。398円くらいで。それから100円ショップで如雨露を買ってくる。トレイ一杯分の蘭を衣装ケースに移し、如雨露でざばざば湯をかける。これで2時間かかっていた作業がどのくらい短縮できるのであろうか。30分で終わるのではないだろうか。楽しみである。

 

2月16日(水) 

 Lc. Persepolisの蕾が大きくなってきた。あまり大きくもないバルブにあの大きな花が咲くのであろうか。

 Dtps. ‘池袋1胡蝶蘭の蕾がほころび始めた。付き合いの長い胡蝶蘭である。これが咲くと3鉢目になる。8度のリビングでも電球あぶりで胡蝶蘭が咲くというある種画期的な方法を見出したのかもしれない。「20度はなければ」とか「マンションでなければ」とか「ワーディアンケースで温度管理が必要」などと言われるが、それ以外になかなか具合のよろしい環境をつくり得ることがわかったのである。

 どういう方法か、簡単に述べる。木造の棚を作り、上と3つの側面を1枚のビニールで覆い(室内に面した面は開放になっている)、90Wの電球で40cmの距離からあぶる。直流ファンで24時間間接的な風を当てる。水槽の温度を管理する温度調節器(2500円くらい)で18度以下になったら電球がつくような仕掛けをしてある。これだけで夜間最低気温8度のリビングで胡蝶蘭が調子よく育っているようにいまのところ見える。デンファレ村上もまもなく開花しそうだ。デンファレがちゃんと開花すればいよいよホンモノではないだろうか。しかしながら電球とはいえ熱をだしているので安全には十分注意する必要がある。やりたい人は自己責任を十分念頭において行っていただきたい。

 赤黒いパフィオはいよいよ花茎をのばしている。これが咲いてくれると実にうれしい。

 このように毎日活発な活動が見られるため現有の蘭には大変満足している。それゆえ無理にどこかに出かけて蘭を買おうとは思わないのである。でもまあ行けば何かしらつかんでしまう。

 

2月15日(火) 

 昨日C.intermedia var alba?2号花が開花していた。本日は3号花が開花した。最後の4号は来週あたりである。来週の月曜日から仮に57日間開花していたとすれば、トータルでの開花期間は2月1日から4月17日にわたり77日間である。まさかそんなに咲いているカトレアはないであろう。咲いた2号花を見るとはっとするほど凛として美しい。ああ、カトレアをやっていてよかったと思う。

 満開の立派な鉢が増えた。蘭展状態に突入している。

 週末に有馬高校蘭展があるのか注目している。土曜に東京ドーム蘭展の中継がある。

  

2月14日(月)パフィオペディラム「ワインレッド」に花芽 

  昨夜Leptotes tenuis × bicolor が開花した。2号鉢とはいえ侮れない。

 すごい存在感の2号鉢Trichoglottis pusillaにおかわりのつぼみが2つついている。

 パフィオペディラム?「ワインレッド」に花芽が出た。コナカイガラムシの巣みたいなところから赤黒い芽がせりあがってきたのだ。パフィオの花芽をしけさせ新芽を腐らせた経験からしてあまり期待していない。昨年の5月8日に花にほれて買ったときには新芽すらみえなかった。夏に新芽がでてきて、もう花芽とは驚いた。2年はたっぷり待たされると覚悟していた。パフィオは2年に1度!と思えばあまり熱も入らないのであるが、毎年咲くパフィオが増えてくると危険である。

 パフィオについて熱い想いを書き綴ったサイトにリンクさせていただいているが、「うわ、こわ」「そこまでする」「あ、いや、いい」と危険なことこの上もない。ラン好き、東洋蘭愛好家、パフィオ狂と分類されていることを考えればその危険度が知れよう。

 

2月13日(日)Leptotes tenuis × bicolor開花 

  昨日電子はかりをつかって鉢の含水量を求める計測を行って思ったことはもっといろいろ計ってみたいということであった。鉢の重量測定を経時的につづけている。多くのデータを集めて鉢とコンポスト、含水量と時間、葉の数など、定量的な関係を数学的に記述してみたいものである。まあそういうことは農業大学でかならずなされているはずなので、学問的には結局後追いということになるのだろうが、蘭栽培者が知らないのは惜しいデータである。

 そろそろ植え替えラッシュの時期が迫っている。このところ開花したカトレアを見て思ったのは、「鉢の縁のし上がり開花」が多いということである。鉢の中でぬくぬくとしているバルブは「水もたっぷりあるし、おれはいいんだ、このままで」的な怠惰に浸っているらしい。それが鉢の縁にのし上がってくると「水を探さなければ!」と根を出し、「ああ、ひからびてしまうかも。子孫を残さなければ!!」と花を出すものらしい。それゆえ、開花時期にバルブが鉢の縁に差し掛かるようにたくらんだ植え付けを3月に心がける必要があるのだろうか、などと考えている。「そんなんおかまいなしに咲くけんね」的な種は別段そのままでもよい。

 しかしのしあがっちゃったものは次のバルブの育ちが悪そうなので、引っぺがして鉢の程よいところに植え替えてやるといいのか、などと思っている。

 さて、この春の植え替えには椰子殻を多用したいなどと思っている。このところ椰子殻でいい感じ、などと思う。なんだか好きなのである。通気性がよい、安い、扱いやすいなどなど。しかしながら「よく水に浸してあくを取る」なる記述をみかけた。サボっていたような気がする。今後は気をつけたい。

 やはり杉皮は使いたい。これも安い。ミズゴケに半分は混ぜたい。

 鉢のそこふさぎに杉川がよかったようにも思う。椰子、杉、ミズゴケと重視してやってみたい。

例によって交配種の掲載が続く。やっとおわった。これからリストを作成するのであった。これだけ難行苦行をやれば蘭展にゆく足がためらわれるか?と思えばやっぱり行くんですね。もう荒行ですな。なんやかんやで原種・交配種で800種を超えた。やっと球根のページを超えた。

 Slc. George Haureymann ‘Carl’:

 Lc. Ballet Folklorico Eloquance:

 Slc. Natalie Canipelli Moonshat:

 Blc. Yons Kong Sun:

 Pot. Tokyo Bay ‘Yokohama’:

 Lc. Starry Sky x Candy Taft ‘Taffy’:

 Blc. Peggy Delight ‘Peppermint’:

 Lc. Spring Squal:

 Blc. Goldenzelle ‘Taida’:今年必ずどの蘭展でも見た定番。

 Lc. Memoria Kyoto ‘Tomo’ SM/JOGA:

 Blc. Canvel Festival:

 Den. Bella Maree:

 Aeridvanda Fucus Cream:

 Onc. Aroha Iwanaga:

 Lc. Cariads Mini Quinee:

 Lc. Chit Chat x C. walkeriana:

 Sc. Fairyland ‘LemonPie’:

 Slc. Rosepixie ‘Pinafore’:

 Paph. Meadowsweet ‘Felicity’:

 Paph. F. C. Puddle FCC/RHS: はて、個体名を読み落としたか。

 Paph. Jocelyn ‘Suwada’:

 Paph. Amber Star ‘Perfection’:アンバー系というパフィオ用語がある。アンバーとは琥珀のことで、樹液が地中で1000万年くらいかけて化石になったものである。琥珀というよりタンス色、などと私は個人的に思う。持てばそのすばらしい色合いにはまってしまうのだろう。

 Paph. Seguin ‘Omuro’:

 Paph. White Kaight ‘OrchidLand’:

 Den. Specio-kingianum:

 Cal. Kyoto ‘Pink River’:

 Maclellanara Pagan Lovesong ‘Ruby Charle’:なんじゃそりゃあ?。ああなんて便利交配属リスト、でもなんでこんなものがあるんでしょう。:マクレラナラMaclellanara (Mclna.)=オンシジウム類 Brassia x Odontoglossum x Oncidium。

 Onc. Sum Lai Woh ‘JungleQueen’:

 

 滑り込みで夜Leptotes tenuis × bicolor が開花した。

 

2月12日(土)Masd. schroederiana?購入。

 休日は料理ばかりしている。パスタを5人前つくり、ピザソースを作り、ピザ生地6枚分をこね、ピザを焼き、たこ焼き29個を5回作った。明けてピザ2枚を焼いた。そのつどあらいものをこなす。風邪が治ったようだ。

 夜中端の辺りが茶色になってきたBlc. George King ‘Serendipity’ AM/AOSを見ていたら、なにかえらく惹きつけられるものがある。よく見るとリップが丸くてひだひだで、そのあたりがなんとも言えず美しい。リップばかりアップで写真をばちばちとっていたBlcのなんともいえない魅力を知ったような気がする。

 昨日購入した白花報歳の画像をアップロードした。

 トップページのトリコグロッティス プシラは、でかい花のようだが実は1cmほどである。おかわりの花茎につぼみは2つあるようだ。香りがよく、美しいが、鑑賞するためにはよほど近づく必要がある。

 出かけたついでに久しく行っていない宝塚園芸サービスをまわった。あの白いパフィオはここでもあまっているのか花つきで200円だった。これでも手が出ない。マスデも200円のものがあった。花は1つであるが200円マスデというのは貴重だ。500円でおなじ種らしいものが立派な花6つつきだったが我慢して、咲いてもらうつもりで200円のものにした。また、Yzwr. Blue Starも花つき香り少しあり480円という破格であったが、これまた手も出さずに帰ってきた。さて、件のマスデだが図鑑をくって調べてみると模様と姿色合いがもろにMasd. schroederianaにそっくりだった。今後はMasd. schroederiana?ということで扱う。ドイツ語圏のシュレーダー男爵にちなんでいるそうだ。

 まだまだ交配種シリーズは続く。

Pot. Sweet Suger ‘Makoto’:あちこちで見かける種である。個体名はいろいろだ。

Paph. Royal Times ‘Charade’:

Lc. (Lc. Okarche X C. Horace):

Paph. Carmen Coll:

Paph Irish Lullaby ‘Green Meadow’:

以上第1回関西らんフェスタでの画像。

ここより京都高島屋シリーズにさかのぼる。

Masd. Galaxy

Ascda. Somsri Gold:

Blc. Princess Kiko ‘Hohoemi’

Cycd. Jumbo Puff: 交配属リストによればCycd. =Cycnodesカタセタム類 Cycnoches x Mormodes

Hasgw. Scully’s Tippere ‘OrchidLibrary’:またまた交配属リストによれば「Hasgw. =Hasegawaara: Brassavola x Broughtonia x Cattleya x Laelia x Sophronitis」である。そうか最後のaはダブるのか。妙な交配属を創るとKojimaaraになってしまう。

昨日ロイヤルホームセンターで電子はかりが1000円だったため母娘が購入。ラップをかけて蘭鉢の計測に用いてよいという許可を得た。

蘭鉢の吸収水分量

Water Absorption of Orchid Pots

T. Kojima, J. Koji. Orchid Soc., 1, 1 (2005).

Abstract

Water absorption of orchid pots of 3.5 gou was determined using cooking scale for hybrid phalaenopsis, dendorbium, paphiopedilum, and bulbophillum. The difference of appropriate water content for each genera was clearly shown.

 

緒言

 蘭鉢の含水量は蘭の生育、健康のために必要なデータである。

鉢の含水量については「多めにするにはミズゴケをゆるくつめる」程度の知識は知られていたが1、定量的な考察はなかった。市井の蘭育成者が計測・評価し、蘭育成に役立てる計測方法や評価方法についてはこれまでに報告がなかった。著者は市販の料理秤を用いて蘭の水分量を計測する方法を見出した。この方法により、蘭の種類によってどのように吸収水分量が異なっているか報告する。

 

実験

 蘭鉢の含水量の測定には電子天秤TANITA製KD-173を用いた。料理使用に配慮し、サランラップをかけた。そのつど鉢をどけた場合0gとなることを確認し、誤差の排除に留意した。

 比較が容易になるように3.5号鉢に植えられた異なる属の蘭を以下のように選んだ。

 @Bc. Cliftonii ‘Magnifica’ FCC/RHS  ブラソカトレア クリフトニイ ’マグニフィカ’  ミズゴケ植え

 ABulb. falcatum  バルボフィラム ファルカツム ミズゴケ植え 

 BDen. ? 'Murakami' デンドロビウム 「村上園芸」 ミズゴケ植え  

 CPaph.Deperle パフィオペディラム ディパール ミズゴケ植え  

 DPhal.‘Ikebukuro 5’  胡蝶蘭池袋5 ミズゴケやしガラ植え 

 水遣り前後の質量を測定した。水遣りには摂氏5度の水を鉢底から抜けるほどたっぷりと与えた。5分放置後質量を測定した。

 

結果と考察

 水遣り前後の重量、および重量変化を表にまとめた。

表 蘭鉢の水遣り前後の重量、および重量変化

蘭鉢の種類

水遣前質量/g

水遣後質量/g

水遣前後質量差/g

@Bc. Cliftonii

612

720

108

ABulb. falcatum

347

455

108

BDen. ? 'Murakami'

645

807

152

CPaph.Deperle

497

688

191

DPhal.Ikebukuro 5

368

446

78

 カトレア、バルボフィラム、デンファレ、パフィオ、ファレノプシスはそれぞれの属の特性を踏まえた植え付けを心がけている。すなわち、パフィオは保水率を高く、ファレノはあまり高くないような植え方を志向しており、今回の測定で定量的にこれらの鉢の含水量が植えつけ意図を反映していることが示された。また、カトレア、バルボフィラムはそれらの中間でよく、そのような数値になっている。デンファレは本来ファレノに近いほうがよいが、このデンファレは成長する力が大きく、耐寒性も高いため計測されたような比較的高い含水量でよいと考えられた。

 これらの結果から、料理秤を用いた鉢の含水量測定は、植え付けの評価や植え付け設定に定量的な考察を可能とする有効なツールとなると考えられる。すなわち、含水量の標準値を求め、水を多め、少なめをコンポストの種類やつめ具合で調整し、含水量を測定することで感覚に頼らず定量的に調節可能であることが明らかとなった。

 この手法を用い、保水能力、乾くまでの期間について評価を行えば管理に必要な有益なデータが取得できると期待できる。

 

参考文献

 1.「洋ランの育て方のコツ」、主婦の友社編、主婦の友社、1991

 

211日(金)白花報歳購入

 よくゆくロイヤルホームセンターにはこのところおもしろみのあるランがよく出没する。素焼鉢に植えられた中輪のカトレアだったり、レリア・ルンディ997円、カタセタム997円、パフィオなどがでてくる。どうも近所にランを作っているところがあるらしい。それに引き寄せられて今日も見に来てしまった。

中輪のカトレアは花が終わりに近くなって1500円が500円で、パフィオの有名種フィップスも500円、白花報歳997円(←1980円)で出ていた。昔なら飛びついていただろうが、いまでは落ち着いたものである。日誌のネタにしようとおもって眺めていた。かみさんはなぜか報歳蘭がえらく好きらしく、香りが大変良いと言って「ためたポイントで買う!横のパフィオも買ってやるから育てろ」、といって買ってしまった。パフィオはご辞退申し上げてその白花報歳を下げて帰る。香りはまあかすかによさげな香りがする。花は通常の報歳のしぶい茶色ではなく黄緑色をしている。昨年買った報歳蘭に花が出なかったので鉢が増えたような格好である。来年は咲いて欲しいと思った。

本日はカトレア特集である。たまたまそうなっているだけだが。

Lc. Candy Stripe ‘Tokyo’

Lc. Meadow Gald

Blc. Love Sound X Brian Carter:ちなみにBlc. Love Sound ‘Pachi Pachi’がデータにあった。

Sc. Mem. Alberto Wenzel

Bc. Maidosa

L. Canariensis ‘GoldenGlow’

C. Walkerinter ‘Kiyo’

Epic. Don Herman ‘Gold Rush’

Lc. Nice Holiday ‘Suntopia’:うげ、同じ個体名なのに花が違う。撮影時にミスをしたか。えーかげんな図鑑である。Lc. Nice Holiday 'Sun Topia':その後の調べで今回掲載分が当該個体と考えられる。

Slc. Hawaian Splash ‘Lea’BM/JGP

Dial. Mizoguchi ’Princess Kiko’BM/JOGA:持っている株が咲いているのを見ると損した気になりませんか。

Sl. Sunset Glow ‘Illumination’

Lc. Cornelia coerulea ‘Happy Field’

Pot. Idol Star ‘Orion’

Hknsa. Vallezac-Keith Roth:なんじゃこの拡張子は、もとい属名は?。交配属リストによればHksna.=Hawkinsara: Broughtonia x Cattleya x Laelia x Sophronitisという可能性が最も高い。(リストの略号のほうがまちがっとるんじゃなかろうか。まあ人間のやることだ)

 

2月10日(木)Masd. ? ‘Wine Red’開花

 Masd. ? ‘Wine Red’が開花した(No.15,  新規7)。定番のしょっちゅう長期間咲くマスデである。夏場も弱る気配がなかった。こういう珍しい種もあるのだろう。

 今夜も交配種画像の掲載である。どかどか画像をアップロードしているからなのか、古い画像はいくつかリンクが切れているので、ひょっとすると勝手にサーバーで抹殺されているのかもしれない、と剣呑なことを考えたが、あげ忘れていただけだった。

 Blc. Momilani Rainbow ‘Purple Haze’:モミラニ?さっぱりわからん。

 Schombocattleya Kauai Spilers ‘Sizuku’:しょぼいかとれあ、ではない。

 Bc. Good Hope ‘Haru’:ポケット辞典に載っている有名種だ。

 Blc. Izumi Charm ‘Lost in Love’:

 L. Santa Barbara Sunset ‘Showtime’:サンタバーバラってどこにあったかしら。カラホーニャだったかなあ。綴りが怪しい。

 C. Snow Blind ‘Kei-Kei’:「炯々たる隻眼」なんちゅうのとは関係ないのだろう。イメージがふくらむ。

 進む先も分からぬほど降りしきる雪の中から、その浪人は忽然と現れた。角之進は足を止めた。

 「なに、かな・・・」

 浪人は笠の陰から炯々たる隻眼を向けて言った。

 「おぬしを斬る」

 その刹那角之進の帯刀が一閃した。だが、斬られた笠だけが雪の上に残った。目をふさぐような雪の向こうから低い声が聞こえた。

 「俺の殺気をかわすとは。出来るな・・・。また会おう」

 たちまち笠を雪が埋めた。

 書き出しとしては悪くないがここからなにを書こう。こういうバカなことばかり考えているわけではないが、「夜な夜な更新をする(バカな)サラリーマンは珍しい」とかみさんに言われた。

 「そう、かな・・・」

 

2月9日(水)

 なかなか風邪が抜けない。特記事項もない。

連夜の交配種シリーズである。ある人に「怒濤のカトレア画像掲載予定!乞うご期待っ」と大見得を切ったが、実は怒濤のパフィオ画像がつづくのであった。こんなにあるとコメントが出ない。

Phrag. Jason Fischer ‘Nishimoto’:

Phrag. Don Wiimber ‘Strawberry Beauty Daki’:

Paph. Sereairy Eagle:

Paph. Oberhausens Diament:

Paph. Tokyo Knight Dream ‘Whity Yumi’:

Paph. Prince Edward of York ‘Luna’:

Paph. Emerald Dream ‘Tenri’ BM/JOGA:

Paph. Tea of Two ‘Morning Cup’:

Paph. Cavalcade ‘Beauty’:

Paph. Silent Knight: つづりあっとるんだろうか。

Paph. Hanes Hone:

Paph. Topspet ‘Starred Highind’:

Paph. Silouette:

Paph. Spring Festival ‘Blumen Insel’:

Paph. Battle of Egypt:有名種。

Paph. Orchilla ‘Chilton’:どこででも見る超有名種。FCCパフィオである。しかしよく増やしたなあ。分けて分けて分けて分けて。

Paph. Honeycomb Creek ‘Butterdish’:

Paph. Montclair King ‘Millennium’:

Paph. Robert Paterson ‘Good’:

Paph. Via Victoria:

Paph. Elfstone:

 

2月8日(火)

 Pholidota chinensis?の花芽は最大8つにのぼるらしい。全部咲いたらすごいだろう。Masd. ? ‘Wine Red’はつぼみがこれまでで最大のものがついている。

 トップページ画像を得るのは良い天気が休日にあたらないと得難い。かつては黒幕をたらして照明を当てて撮影していたが、ものぐさになってしまって思うにまかせない。昨夜は加温用のライトに蛍光灯ボールを取り付けてカトレアの撮影をおこなった。まあまあこれでいけるか、と思った。

 さて今夜も交配種画像シリーズ第三夜である。今夜は関西らんフェスタから。

 Ctsm. Grace Dunn ‘Chadds Ford’:花のつきやすい種らしい。

 Angraecum Veitchii:定番のアングレクム。

 Onc. Sunlight Siesta ‘Ota’:日向でお昼寝って、にゃんこ的趣味ですな。

 Oda. Mont Pineil x Frema:ええ色です。

 Lyc. Southern Cross ‘Green Grass’:黄緑色が珍しい。

 Den. December Delight ‘Soarer’

 Den. Paradise Lorra:ソフロニチス的な色。デンドロも奥が深い

 Den. Enobi Purple ‘Pink Splash’:おもしろいデンファレ。

 Darwinara Charm ‘Blue Moon’:でた。 ‘Blue Star’と比較するよろし。香りはMoonの方が強い。

 Epi. Green Hornet: どう見てもコクレアタムだが香りがよい。1800円で売られているのを見た。

 Cym. Sweet Hart ‘Spring Pearl’

 つづく

 

2月7日(月)

 特段特記事項もない。Trichoglottis pusillaの良い香りを楽しんでいると別の花芽が大きくなりつつあるのがはっきりとしてきた。あまりにも小さいランながら天晴れである。また、Onc. Magic 'Hildas'には花茎の途中からお代わりが出つつある。これはお得なオンシだ。Den竹本はデンドロとしては最高の出来で、第二波の開花が過去最大の規模になりつつある。Onc. obryzatumもうっとりものの見事な満開だ。

一方、この間買ったCoelogyne asperataはかなり弱ってきている。

交配種紹介第二夜である。明石ラン会での撮影分。

C. Ruth Gee ‘Orchid Library’:このオーキッドライブラリーちゅうのはよく個体名でみるがなんじゃろうか。ルス・ギーと読むらしい。人名だろうか。

Paph. White Castle :姫路城のことか。

Paph. White Knight ‘Elegance’:白騎士?

Paph. Transvaal :南アフリカ共和国の州名。ああ、それでオランダつづりなのか。のちに英国にぶんどられた。

 Lc. Persepolis ‘Splendor’ AM/AOS :アレキサンダーの遠征で焼かれたペルシャの首都じゃなかったか。イランの。世界遺産。88点をとってもう少しでFCCという銘花。

 Pot. William Farrell :人名みたいだなあ。

 Blc. Hawaiian Treasure ‘King’s Crown’ :ハワイとトレジャーの綴りを間違えていた。

 

2月6日(日)

 風邪を理由にぐーたら過ごしていた。越冬棚からランをトレイに移し、トレイ9つ分のランにシャワーで湯をたっぷりかけた。結構重労働だし、あとの掃除やら棚への詰め込みも大変である。「整列乗車にご協力下さい。はいドアが閉まりまーす」という埼京線赤羽駅発恵比寿行きを思い出す。埼京線と言えば東京ドーム蘭展の帰りに乗った。美しい夕やけに富士山がちらりと見えたシーンが思い出される。あのときは最終日で安くなった6株のランを抱えていた。思えば2001年の東京ドーム最終日以来行っていない。東京は遠い。

 Trichoglottis pusillaが香っている。柏餅のにおい、などと思った。

 さぼっていた交配種の画像を整理した。掲載すべき画像は115枚にもなった。すごい数だ。どれも本サイトでは未掲載種である。3MB少々あるため、「容量オーバーにつきサイト休止」をおそれてぼちぼち行う。まずは昨日の蘭展での交配種

 Paph. Lady Isabel:力が抜けるパフィオ。

 Pot. Dogashima Paradise ‘Strawberry’:かなり盛大です。

Lyc. Rakuhoku: ええリカステですなあ。

 V. Patricia ‘Lydia’ AM/AOS: このバンダ指名手配である。見つけ次第連行したいものだ。かつて同じ場所で撮影した壁紙画像がある。以来探していたのである。

 

2月5日(土)京都府立植物園ラン展

 風邪をおして京都府立植物園の蘭展に子供3人引き連れて行って来た。子供らに切符の買い方などを仕込みつつ電車4本を乗り継いでむかった。北山で降りるべきところを北大路で降りてしまい、「おかしい、昔来たところと全然違う」などと迷いつつ植物園にたどりついた。

 規模は大きくないのだけれど「うわ、これがあるのか、たまらん」というランに多く出会えた。前回も見ていたナリヤランの大変きれいな花があったが、草丈は2mもあった。これを育てるというのはちょっと難しいようだ。

 Laelia rubescens:レリア・ルベスケンス。いかにも原種様という雰囲気がある。

 Calanthe westita:カランセ・ウェスティタ。大変きれいな花だが株が1.5mもあった。

 Calanthe rubens:カランセ・ルーベンス。ピンぼけである。が、きにいったので。草丈は育てられないことはないという程度。

 Phaius tankervilleae:カクチョウランである。大変大きい。

 Den. sanderae var. luzonicum:デンドロビウム・サンデラーエ変種ルゾニカム。変種もしばらくすると種になったりする。

 Den. cumulatum:デンドロビウム・キュミュラタム。こういうきれいなものがまだまだあるのだと感心する。

 Mormolyca ringens:モルモリカ・リンゲンス。お化け、という意味の属名だった。なぜか春秋時代の斉のわるだくみ宰相のことを考えていた。

 Paph. sanderianum:パフィオペディラム・サンデリアナム。なぜか滅多に見られないので「おお!」とか言ってしまう。なんかええ顔してますなあ。お約束のロングヘアは長い場合もあればこの個体のようにあまり長くないものもあるようだ。

 Laeliopsis domingensis:レリオプシス・ドミンゲンシス。こういういい感じの花があるのか。

 Pescatorea wallisii ‘Fort Caroline’:ペスカトレア・ワリシイ。うちにあるボレアの近縁なので雰囲気がよく似ている。

 Phrag. schlimii ‘Wilcox’ AM/AOS:フラグミペジウム・シュリミイ:有名な種だが「シュミリイ」だと思いこんでいた。

 短時間で見物を終えて恒例の遠足で四条河原町まで歩く。途中カモメにえさをやって遊び、御所をかすめ、石の店でトルマリンを買って帰った。

 

2月4日(金)Trichoglottis pusilla開花

 Trichoglottis pusillaが開花した。新規開花である(No.14,  新規7)。花3つなので、購入時よりも成長しているが、かなり小さい株である。神秘的な美しさがある。

 明日は京都と思っていたが風邪を引いて少々辛いためわからなくなってきた。昨日の大勝負的なお仕事をやりとげてのちにがっくりきたらしい。

 昨日Blc. George King ‘Serendipity’ AM/AOSの2つめのつぼみが開花した。

 

2月3日(木)Dendrochilum glumaceum開花

 Dendrochilum glumaceumが開花した。新規開花である(No.13,  新規6)。花2つなのにもう良い香りがする。全部咲いたら部屋中に香るかもしれない。明日はTrichoglottis pusillaの予定。新規開花が多いので楽しみが多い。

C.intermedia var alba?は花のペタル間が本日106mmを記録した。これまでの記録では95mmとある。例年になく大きい。大変見応えがある。

きれいなオンシの写真を見ていた。あたかも人のような姿をしている。実におもしろい。しかしよくよく見ると人型の首の辺りに三葉虫のような虫がいるではありませんか。「ヒイイイイイイィィ」という気分でしたねえ。思わず首筋をかいてしまいました。

DNAのことを考えながら通勤中ぼーっとしていた。DNAは塩基の並びを情報としてデジタル化できる。この情報からDNAを合成することは可能だ。しかしふと思ったのだが、そのDNAで蘭が作れるかといえば、やはり蘭の細胞が必要だと思えた。細胞を作るのはまだまだ人類には無理だ。あれはいくらナノテクを自慢してもとうてい及ばない。ナノより小さい単位はピコだ。そういうレベルの分子構造体、分子機械の壮麗な一大都市が細胞である。

DNAがソフトで、細胞はプレーヤーか?。DNAだけでは生物たり得ない。細胞がまた奥が深い。核の中にDNAがあり、種々の化学プラントが細胞質の中にある。そのプラントの一つがミトコンドリアである。このミトコンドリアはもともと外から入り込んだ別の生物だと聞いた。ミトコンドリア自体が遺伝子をもっていて、細胞に従いつつも独自に増える。蘭を交配した場合、花粉にはミトコンドリアはついていないので、子房をもつ「母親」株のミトコンドリアを受け継ぐ。従ってNeof. falcate x Vasco. Tham Yuen HaeVasco. Tham Yuen Hae x Neof. falcate では伝わるミトコンドリアが異なっている。だからどうしたというわけではないが。

ウイルスは生物ではない、という記述を見た。細胞に侵入しないと自己増殖プログラムを実行できないからということになろうか。DNA同様細胞なくしては生き物らしく振る舞えない。では生物とは何か。細胞あたりからが生物かなあ。上述のごとく細胞はとてつもない自然の構造物なので、やはり生物はすごいというほかはない。

2月2日(水)

C.intermedia var alba?は昨年同様開いたペタルが閉じ始めた。昨年は「もしや環境が悪くてこのまましおれるのでは」と戦々恐々としたのであるが、その後また開き始め、最終的には大きく開帳して素晴らしい姿になった。そういういきさつを記憶しているので今年は安心してみていられる。

水やりの日である。本日もよく出汁の出た風呂の湯を使う。リビングの鉢に2時間ほどかけて水やりをしていた。根がよく動いているものを見かける。新芽がぐんぐん出てきているものも多く見る。春が近いのだろうかといぶかしく思った。それぞれ適温があるのでたまたま温度と季節が合っただけなのだろう。

本日でDar. Charm ‘Blue Star’は終わりのようだ。開花期間52日間であった。かすかなフウランの香りを感じることがあった。Dar.Charmにはこのほか有名な‘Blue Moon’という個体が知られている。こちらはフウランの良い香りが強い。

Dar.Charmというのは種をつくるレシピの名前のようなもので、Neof. falcate x Vasco. Tham Yuen Haeという交配を行えばDar.Charmを作ることが出来る。「酢豚は豚肉を片栗粉であげ、水、酒、片栗、しょうゆ、砂糖、ケチャップからなるあんをからめて作る」という具合に、交配方法が種名として登録されている。交配で出来た種子から出来た株はすべて遺伝子が微妙に異なっている。その中で秀でたものが選抜され、ブルースターやブルームーンが世にでた。これら有名個体はメリクロンというクローン技術で多量にふやされ、ほぼ同じ遺伝子を持つ株が多量に出回っている。生物を何万とコピーする技術とはまったく恐れ入る。「ほぼ同じ」と言った意味は、ある種の変異がメリクロンによって増やされた種に見られるためである。想像するに、細胞のDNAはおおむねどの細胞も同じものを持っているかもしれないが、分化という役割分担が行われる過程で使わないようにマスクされている部分があり、成長点を取ってメリクロンする場合、未分化の細胞を取り出したことになっているのだけれど、すこしばかりDNAがマスクされた細胞が混じることになるのではないだろうか。想像なので間違っているかもしれない。また、植物はキメラといって個体内部で遺伝子が異なっている場合があると聞きかじったこともある。さらに、高エネルギーの宇宙線により遺伝子は絶え間なく攻撃を受けているから、これによる突然変異ということだってありうる。そんなこんなでコピーのはずのメリクロンに変な個体が混じることがあるのだろうか、と思った。しかしまあそういうメリクロン変異というものを見るほどハイレベルな栽培をしていないので素人のたわごとである。

紛らわしいのだが、Yzwr. Blue Starというこれまたフウランっぽい種がある。これもよく売られているが、種々の個体があり、色のバリエーションがある。ブルースターを買ってくると個体名のブルースターと種名のブルースターが紛らわしく、混同されている場合もある。後者の方が少々大きく見える。「どっちも似たようなもんだ」とは思う。ヨネザワアラ・ブルームーンという記述も見たが、これは間違いではなかろうかと思う。

 

2月1日(火)C.intermedia var alba?開花

C.intermedia var alba?が開花した(No.12,  新規5)。例年になく大きい。きりりとしてかなり立派である。ただ、調整に3日ほどかけて姿を整えてゆく性質があり、このままかどうかわからない。

あまりの寒さに辟易した一日だった。

京都府立植物園で4日から蘭展がある。なかなか期待できる内容であるようだ。

本日はいっぱつ窒素の話題をかましてみたい。窒素は原子核に7つの陽子と7つか8つの中性子をもち、そのまわりを7つの電子が取り巻いている。天然には2原子分子のN2として、大気中分子の78%を占める。窒素原子同士は堅く結びつきあっており、少々では窒素分子を壊すことが出来ないので、この窒素分子は生体になんら作用するところがない。しかし天然には落雷、または人間の活動により高温での燃焼などで酸化し、NOだのN2OだのNO2だのを生成する。これらを窒素酸化物といい、NOxとひっくくっている。タンパク質や尿素が腐るとアンモニアNH3が出来る。窒素酸化物やアンモニアなどは植物がこれを取り込んでアミノ酸を合成することができ、タンパク質や核酸に用いる窒素の元になっている。マメ科の根粒菌のように窒素分子を植物が利用できる物質に換えてしまうすごい生物もいる。何にせよ植物のおかげでタンパク質をいただけるわけである。

人類はかつて、肥料や火薬のためにチリまで行って硝石を掘っていた。KNO3である。日本の戦国時代、江戸時代は天井裏や床下のネズミの糞、便所の周辺の土壌、古くなった畳から硝酸アンモニウムNH4NO3を取り出して銃のための火薬や花火を作っていた。なんでそんなものから?といえば、糞尿汗に含まれるアンモニアNH3や尿素(NHCOが細菌の活動により酸化し、わずかながら生成していたためである。これらを水で抽出すれば火薬の原料が得られた。火薬といえば、KNO3、TNTやニトログリセリンなど、ニトロ基-NO3がでてくるが、これらは窒素についている酸素が、まぜておいた有機物にがぶりと食らいつくように「爆発的に」反応することを利用しているのである。

ドイツにハーバーという人が出た。窒素と水素を高温高圧で反応させてアンモニアを作る方法を見いだした。これにより、人類は鉱石や生物に頼らず火薬や肥料を作り出せるようになった。

生物において窒素はタンパク質の形で多く存在する。タンパク質は肉であり、細胞の中身であり、構造材料であり、分子機械である。細胞はそれぞれ多品種少量生産の化学工場である。大変多くの化学反応を、常温常圧で、速く、正確に、適時適量行っており、そのプラントがタンパク質で出来ている。これらの見事な反応系はなお人類の及ぶところではない。これらタンパク質はわずか20種類のアミノ酸というブロックで出来ている。アミノ酸はH2NCRCOOHという酸にあたる-COOHの部分と塩基にあたる-NH2の部分があり、-Rだけがことなっていてこれが20種類ある。タンパク質は、DNAの設計図に基づいてアミノ酸をならべ、-COOHと-NH2をひっつけて-CONH-にすることでものすごい数をつなげてタンパク質を作っている。つなげてとぐろを巻いたタンパク質は、ある特定の化学反応に使う分子機械として働き、対象となる物質がはまり込む孔や、その分子を加工するための道具を備えた構造になる。SFのような壮大な話に大変感動した覚えがある。生き物様々、と思えた。

我々が蘭に与えている肥料にはKNO3なのか(NHCOなのか有機質なのか窒素が含まれている。油かすなどの有機質の場合、カビや菌、虫による摂取と分解によりアンモニア性の窒素が水に溶ける形で根から蘭に取り込まれる。窒素は成長に伴いタンパク質を多く生産する時期には必要とされる。しかし成長期の後半、花芽をつくるのに適した時期に過剰に取り込まれていると、蘭の体の中で新芽や高芽の生育が促され、花芽を得られない場合がある。蘭の生長を見極めて、新芽のある頃や成長中だけに窒素肥料を用いるべきでる。

寒さのあまり妙なことを考えていた一日だった。

 

1月31日(日)Angraecum didieri開花

寒波でふるえながら帰ってきた。

Angraecum didieriが開花した(No.11,  新規5)。我が家でも5指に入る香り蘭である。鼻が利かないので分からないが、どうも香りものが多く咲いている。アングレクム、カトレア、リカステ、香りの強いデンドロである。

Blc. George King ‘Serendipity’ AM/AOSが全開である。いや結構なお花で。

C.intermedia var alba?がほころび始めた。今回はつぼみが大きく感じられる。

 

 

 

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