蘭の株自慢

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 2011-01-13

 

東洋蘭は花のみならず葉、茎、根や鉢までも含めた全体の姿に重点を置いている。かつては「どこがいいのかさっぱりわからん」だったが、最近は「なんと美しい姿」などと思うようになってきた(中毒ですな(^^;)。蘭は東洋蘭に限らず姿が美しい。だから東洋蘭的に全体の姿を楽しむことを栽培者はしらずしらずやっている。

つややかな葉。まるまるつるつるとしたバルブ。太古の植物の雰囲気を醸し出す根。蘭は花だけではない。 

 

葉自慢

扉の写真はネットオークションなどでも取扱量が最も多いフウランである。斑入りの葉や、特徴的な個体には個体名がついて高値で流通している。そういう個体名付きのものは特に「富貴蘭」(ふうきらん、などと発音されているようだ)と呼ばれる。写真のものは250円で1年半まえに購入したもので、これですらこれはたまらんと思わせるものがある。まるみのある曲線を描く葉が、先端ですこしだけ曲がり、変曲点を見せている点に目がいってしまう。

葉の美しいものはなんといっても胡蝶蘭ではないだろうか。厚みがあり、緑色が鮮やかでツヤがよい。気の抜けたビールをとっておいてティッシュにしませて葉を拭くとより美しくなると、かの江尻光一氏は書いておられる。

葉を楽しむバニラが市販されている。このバニラの葉は素晴らしいツヤと縞模様の濃淡がある。

パフィオのディレナティもすてきな葉っぱをしている。模様のある葉っぱだ。プラスチックのような透明な組織が表面を覆っていることに気がついて驚いた。その組織は結構厚みがある。ちょっと見たことがないような不思議な葉っぱである。

 

 

バルブ自慢

写真はバルブに惚れて買った名無しのカトレア。小さなバルブから次第に大きなバルブへとまるまるつやつやのバルブが順序よく並んでいる。どこまで大きくなるのか、という妙な期待を抱かせる。もっとも小さいバルブからここまで4年くらいかかっているらしい。春に300円で購入して、年内一杯で右側の大きなバルブが秋に完成した。シースがあり、冬になってその中に芽が出てきた。

バブルは栄養貯蔵庫とよくいわれる。断面をみたところ構造はなく、均一な組織のように見える。新芽が出て栄養が使われるとバルブにしわが寄ることがあるが、新バルブが完成すると復活する。4年ほどの寿命がある。つややかでよく太ったバルブは生育が順調なことを示していていい感じである。

 

根自慢

根を愛でる園芸はあまり例がない。盆栽等を見ると根本に目が行く。蘭の多くは着生種なので、根が木に這いつくように、鉢の外ににょろにょろと出てくることが多い。このような根は日本に住む我々の周囲にみられる植物の根とはかなりことなっている。露出している根の多くは、見た目がみみずほども太いものがある。先端が透明で緑色、赤色をしておりよく見るときれいである。全体として白くてツヤがある。水をかけると根の周辺にあるスポンジ状の組織に吸われ、見た目の色が変わる。

 根がにょろにょろでてきたほうがご機嫌で、生育がよい場合が多い。したがってそうやって出てきた根も鑑賞の対象になる。バンダ、アスコセンダ、アングレカム、胡蝶蘭など根を見る機会は多い。

 

花茎鑑賞

蘭の花茎は長い。花が咲くまでこっちの首が長くなるほど待たされることもある。「やった花芽だ!」とよろこんで5ヶ月待たされるということはざらにある。花芽、は花茎の芽であるわけで、それが延々伸びる。胡蝶蘭ではこんなはずではなかったというほど伸びる。40cmくらいでいい加減どこまでゆくのか、という気がしてくる。60,70と伸びてゆく。ようやくつぼみが見えてからも咲くまでは1ヶ月もかかるという具合だ。こんなにのんびりしていて自然界でやってゆけるのだろうかと思う。

そういうわけでかなり長い期間花茎を鑑賞することになるのだ。いくら遅いと行ってもながいものだから日々の変化は大きい。思いもよらない変化を見せてくれる。時に枝分かれもする。つぼみの付き方なども見ているとおもしろい。

 

蘭の魅力は花のみならずその植物としての姿にこそあると思う。花だけをみればチューリップや水仙以上に美しいものというのはざらにはない。花を付ける付け方、花茎の働き、葉の付き方、バルブの存在、根の活動など全体としての植物の生命力に感じるものがあってこそだと思う。

 

さかずの蘭の楽しみ

ここまで読んできて、「これは咲かない蘭についての負け惜しみなのではないか」と疑った方はスルドイ(^^;)。実になかなか咲いてくれない蘭は多い。そう言う蘭もよく見ると素敵なチャームポイントがたくさんあるので大事に育てていろいろ楽しみたいわけです。

 

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