蘭は増える

2007-10-21

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蘭を増やしたいだって?。本気かい?。ふつうに育てていても増えるし、それにいろいろな種類が欲しくてたまらなくなるから同じ種類が何鉢もあるとあとで疎ましくなるぜ。それでも増やしたい?。ふーん。

 

蘭はどうにも増える

蘭は順調に育てば避けがたく増える。なにごとも増えると嬉しい人もいるだろうけど、気長にやれば恐ろしいほど増えるのだからなにも張りきって増やす必要はない、と言いたい。できた株はどれも恐ろしく長生きである。1鉢が人生ほどの時間を経ることも十分可能なのだ。どうにも枯らせない私はおいそれと増やせない。

 

なぜ増やしたいのか見極めよう

増やして差し上げたい人がいる。良い株なのでもっと増やしたい。育成がわるくなりそうだし、大株にする技術も場所もないのでしょうがなく分ける。などの明確な理由をもって分けたい。さもないと株を弱らせたり、あとでおなじものばかり増やして面白くない思いをすることがあり得る。

望ましくは、コンポストの交換時期に、株が弱らないほどに十分な大きさを持った株に分けられるように、適切な時期に、適切な処置をして株分けをしたい。

 

増やしにくい蘭もある

単茎性蘭は分かれにくい。胡蝶蘭、バンダなどは単一の茎から葉が出てくるばかりで株が分かれることがあまりない。待てど暮らせど増えないと思った方がいい。こういう蘭は狂おしく増やしたくなる人もいるようだけれど、なかなか思うに任せないところがある。やはりここでも「増やそうと思うな、思えば負けよ」的な割り切りが必要になる(なんやねん(^^;)

 

オーソドックスな株分け

カトレア:いつの間にか同時にバルブが複数育ってくるようになる。それで鉢が一杯になったり、水苔の交換時期だったりする場合は株分けをして増やすことができる。バックバルブもバルブ伏せをやれば芽が出る場合があり、一挙に3株になることが多い。

シンビジウム:鉢が一杯になり、鉢から盛り上がって水をやりにくくなると植え替えや株分けを余儀なくさせられる。

同様に、パフィオペディラム、オンシジウム、ブラッシア、バルボフィラム、リカステ、アングロカステなど、多くの蘭が株分けで増やせる。とはいえ年単位の時間が必要だ。

 

芋が増える

ハベナリア、サギソウなどは芋が良く増える。自然に育てていても増える。サギソウは3年で3倍になった。

 

多量に増やせる蘭

デンドロビウムのノビル系と石斛系は、花芽がでていないバルブなどは節をのこすように複数の断片に切って水苔に埋めておくと芽がでるものがおおい。一挙にたくさんの株を作ることができる。また、「高芽がほしけりゃ肥料をやれ」といわれるように、肥料過多にすると高芽がでて増やせる。ふつうに育てていてもたくさんのバルブが同時に出てくる株になるため、増えすぎて困る種類といえる。ある株などは、購入時3本のバルブの鉢300円の見切り品が、3年で25本+高芽3本(増えるの怖さに高芽取りも出来ない)にまで増えてしまった。株の重さでむやみと鉢が倒れる。恐るべきデンドロである。

長細いエピデンドラム(ラディカンス系)も同様に葉つきの茎を切って水苔に刺しておけば活着して増える。これも肥料が多いと高芽が出るし、ほうっておいても良く増える。できたばかりの高芽をとってうえてすぐに花が出るという嬉しい面もあった。

 

種で増やす

種を作って親株の株元に撒いておけば、数株増える、という種類がある。パフィオなど。

種を作るからには交配とおもってしまうだろう。どうせやるのなら名を残せる交配と考えが進む。サンダースリストを手に入れたくなる。アマゾン.comで売っているから、これを通販で手に入れる(約1万円)。そのなかから、ねらっている交配が登録されているかどうかを確認する。まだ登録されていなければチャンスである。2種の素性の明らかな花を同時期に咲かせ、一方から花粉をとり、もう一方につけてやる。蘭のしおれた花をばらしてみればどれが花粉でどこがメシベにあたる部分かが容易に理解できる。種が完成するまでは10ヶ月ほどかかるという。熟した果実の中にはほこりのような種が莫大な数はいっている。これをフラスコで育成する方法は本やらホームページやらで紹介されている。こうして苗を作り、株を作り、花が咲くまで胡蝶蘭で3年、カトレアで7年などと言われる。花の写真を撮り、登録をしたときには他の人が登録していたりして。

 

メリクロンで増やす

商業技術であって愛培家のするようなことではなかろう。

成長点を培養して細胞の塊を作り、実に多量に増やす技術が知られている。高得点受賞個体がものすごい数出回っていることがある。全く同じ遺伝子をまるで印刷物のように増やしているものがみられる。そんなに増やせるのだったら「週刊蘭の世界」とかなんとかいって本屋で売ったらいいのにと思う。「特性バインダーと毎号苗と鉢がついて創刊号280円」(バックナンバーはしなびてしまうだろうが)。一気に蘭馬鹿が増えるだろうなあ。ぜひやってほしいものである。

メリクロンをアマチュアがやっている例はしらない。パフィオ類についてはこの方法は行えず、種か株分けしか手がない。

 

増えたらどうするか

咲かせて人に差し上げよう。蘭が好きな人にさしあげるのだ。ただ、「この人は枯らしそうだ」という人に差し上げるのは蘭がかわいそうなので避ける。適切な管理の方法を指示して、資料も渡してそだててもらおう。周囲のこれぞという人をじわじわと蘭の魅力に引きずり込み、技術を伝授し、ますますたくさんの蘭をもらってもらえるようにするという戦略もある。なんだかネズミ講みたいだなあ(^^;)。

 

蘭を贈る

蘭を贈るというのは楽しみの多いことだと思う。このサイトは後援者の蘭に対する愛情に支えられていることを強く感じる今日この頃である。そういう方々とのやり取りのあれこれを感謝を込めてまとめてみた。

 

蘭の梱包を以前はかみさんにお願いしていた。実のところ丸投げだった。梱包というものが苦手だったのである。かみさんに相当な茶菓子を貢いでやってもらっていたのである。世の中には「てめえそんなことも出来ねえのか!」というささいな作業で尻込みしているやつが居るが、なんのことはない、自分にもそういう苦手があるのである。要は気合の問題で、「着手!、判断!、実行!、次へ行く!」ということをどんどこやっていると、その流れの中でちゃっちゃとやっつけてしまえるようになる。

今回は少ないので練習がてらとりかかる。この苦手を攻略すれば、株のフローはよりダイナミックになると期待できる。手順をマニュアル化しておく。

 

譲渡株リスト作成:増えすぎたもの、我が家では生育が思わしくないもの、生育しすぎたもの、いろいろもらって欲しい株を、画像と、生育記録のリンクとともに、リストを作る。当サイトでは、これまでうちに来て咲いていない蘭は出せない、という決まりがある。手元に咲きにくい蘭がたまってゆくという面もある。一度でも咲けば、うちで咲きにくい蘭は譲渡株候補になる。咲けずに枯れてゆく蘭がかわいそう、という問題はある。画像と生育記録は当サイトにずっとのこっているので、株自体が存在しなくても記録だけはいつでも参照できる。なお、害虫や病気らしく見えるものは送り出さない。健全と思える株だけを候補にする。

蘭の出入りが激しいのでは、と思うこともある。出てゆく蘭は、画像や生育記録など素晴らしいデータを残して、丈夫な株になってもらわれてゆくので、惜しいとおもったことはない。ただ、大きなものや増えたものは余裕のあるところでゆったりと育って欲しいと願って送り出すのである。

 

お得意様への相談:お得意様とは、株を一度にたくさんもらってもらえることが期待でき、スキルが高く、栽培環境も良好で、もらわれていった蘭が元気に暮らせて、なおかつ先方も喜んでくださるだけでなく、お返しに素晴らしい蘭を下さったといういいことづくめのネット仲間のことである。ほとんど面識はない。たまたま女性が多い。株のやりとりの記録をのこしているので、この実績を頼りに、およそ1年に一度、これこれの譲渡株が出ましたとテキストのリストをメールで送り、本サイトのリンク付譲渡株リストへの案内を出す。

希望譲渡株のリストをもらい、発送株の確定を行うとともに、発送希望日を聞いておく。

次のお得意様に連絡をする場合、注文が重複すると手続きが面倒になるので、大口から案内を出し、その譲渡株が決まった段階で、残りの株でリストを作り直し、次のお得意様に案内を差し上げる。

 

譲渡株準備:送り出しが決定した株について、先方の住所、送る株のリストを打ち出しておく。発送まで1週間程度水をやらずに置く。送料を気にしているわけではないが、重いものが箱の中でごろごろしているよりは事故が少なかろうし、軽いと作業がしやすい。ラベルの有無を確認して、なければラベルをつける。

 

梱包:スーパーなどで手ごろなダンボール箱を手に入れておく。箱は、株の大きさがまちまちなので、一概に何個入るともいえない。株を集めてそれにあった箱をみつくろってくる。今回は、5株と10株の発送を想定して箱を選んでおいたが、いざはじめてみると、大きすぎた、と思ったのもつかのま、けっこうきちきちだった、という結果になった。やってみないとわからない。

株のほとんどは新聞紙をくるくるっと巻いてガムテープで止めてそれでよしとした。こういう巻物を箱に詰めてゆくとやがてお互いのかさでもってごろごろしなくなった。逆さにしても影響がなさそうに思える。

こういう単純な株ばかりではない。新芽が鉢の外に出てきているものもある。こういうものには、たまたまもっていたビニールのぷちぷちを新芽の部分に当ててガムテープで止めてから、新聞紙を巻いた。ただ、この作業中大事な新芽を折るという事故を経験した。株の状態を見て、送りにくそうなものはあらかじめリストからはずしておいたほうが良かったと思った。

たまたま見事に開花した株を送ることになった。全体をぷちぷちビニールシートの袋にいれて、葉を巻くと、内部に空間が出来て花がその空間の中央にきた。上手い具合であるが、ちゃんと届くかどうかはわからない。まあ、次のつぼみも出てきているから、これがだめでも先に楽しみがあるだろう。

長い期間開花している長い花茎を持つ開花株もあった。花はおまけと考えてもらって、ちゃんと届けば儲けものだ。花を傷めずに届ける、ということはあまり気にしすぎてもしんどいのでそこそこにしておく。 

大きな株をいれて、できる隙間に小さな株をいれて詰めてゆく。まあそんなところだろう。

 

発送:発送準備が出来たら、先方に発送時間と予想到着時刻をメールで伝えておく。翌日メールの最終確認をして、発送にかかる。恐ろしく近くにコンビニがある。都会のマンションに住んでいてもここまでコンビニに近づくことはできないだろう。どうしてこんなところにというくらい近いがあまり利用することはない。そこで、着払い伝票をもらって住所、電話番号、到着時間の指定を書き込む。なにかの事故で帰ってくる可能性を考えてこちらの連絡先もきっちり書く。時間指定は、午前中、午後からは区分けが大雑把で、先方が17時以降といっていても、16-18時という指定しかなくて、18時以降を選んだ。

10株と5株の箱2つは思いのほか軽かった。伝票と箱をもって店に行く。

上下を逆さにされるとこまる蘭が入っていたので、店で聞くと、天地無用のシールをくれる。箱の角に「こちらが上」という部分を貼って、↑のついた面を箱の側面に貼り付ける。その場で、おおまかな料金を聞く。たて横高さの合計と距離で料金が決まる。5株の入った箱で1260円、10株入りの箱で1470円だったようだ。

 

お返しに蘭を下さる:実のところいただいた蘭というのは、買ってきた蘭よりも素晴らしい開花を見せてくれる例が多い。開花まで半年、という株がざらだ。どれもこれも素晴らしい株で、見事なデータを集積することが出来た。本当に感謝している。

 

新規開拓:お得意様の蘭を置けるスペースというものも無尽蔵にあるわけもなく、いつかは「もういっぱいで・・・」というお返事をいただく日がやってくるのである。これまでもらっていただいたことについて大変感謝する旨をのべ、また余裕が出来て、魅力的な株がありましたらお知らせください、と申し上げる。もらってくださる人を新たに探すことになる。

さて、新規開拓は、読者のメールのやり取りの中で、もらってくれそうな人が時折現れるのである。譲渡株が出る春先と秋口にそういう方に譲渡株リストを送って相談することで、それではともらってくださるのである。

これまで、親切にもらって育ててくださった方々や、蘭を下さった方々の蘭を愛する心でこのサイトの蘭は咲いているのだと思う。もらわれていった蘭も時には枯れることもあるが、ここに居たとき以上に素晴らしい花を咲かせているものが多く、嬉しい限りである。協力してくださった皆様に厚く感謝申し上げたい。

 

 

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