開花株の取り扱い
はじめて蘭を手にしたら
おめでとうございます。楽しい蘭との生活の始まりですよ。よく言われるのは、
パニックに陥らないこと
だそうです。大事な人から立派な蘭をもらってしまうと、将来あの蘭どうしてる?とその人から聞かれ、枯らしてしまっていて苦しい報告をして、相手の曇った顔を見る、という想像をしてしまうような場面もあるんじゃないでしょうか。私は、育て方のわからない植物を送別会でもらって、顔で笑顔をつくりつつも(ひええ、どうすりゃいいんだ。引越しもあるんだぞ)と困惑したことがあります。冬になりばっちり枯らしてしまい、贈っていただいたことに後ろめたい気分になるものです。しかし、蘭について以下の処置を適切に行えば大丈夫。もし好きな植物でなければここのURLを教えてこの手の植物が好きな人間に押し付ける手もあります。
まず、何の花かを知りましょう。あらかじめ聞いておく、名札がついていれば見る、何か札がぶら下がっていればそれを見る。少しは知っている人に聞く、蘭のホームページを見て該当しそうなものを探す、以下の記述を見て当たりをつける。以下の蘭は、入手可能性が高い順に特徴を挙げた。
シンビジウム:よいものは2ヶ月は咲いている。長い葉がたくさん生えている植物の根元から伸びた花茎に3〜10cm程度の花が多数(5〜20)付き、葉が肩幅程度に広がる大きなプラスチックの鉢に入っている。両手で抱えるような鉢。丈夫で育てやすい。低温にも強い。
デンドロビウム:よいものは2ヶ月は咲いている。高さ20〜40cmの緑の棒が立ち、葉がついて、花が棒の側面を覆っている。片手で持てるほど小さな鉢から、両手で抱えるような寄せ上までいろいろ。2ヶ月は咲いている。
胡蝶蘭:よいものは2ヶ月は咲いている。見かけは見るからに胡蝶蘭。長さ15〜25cm幅10〜15cmの広いつややかな葉の根元付近から長い花茎をのばして4〜14cmの蝶のような花を交互に並べてつけている。12℃以上は欲しい。花茎が高く伸びたものなど大きくて場所をとるものがある。2ヶ月は咲いている。
デンファレ: よいものは2ヶ月以上咲いている。高さ20〜40cmの緑の棒状の茎(バルブという)が立ち、交互に幅2cm長さ15cm前後の葉がついている。そのてっぺん付近から花茎が20〜30cm程度のびて3〜9cmの花が交互につく。片手で持てるほど小さな鉢から、両手で抱えるような寄植までいろいろ。花茎が高く伸びることもあり、場所をとる。
オンシジウム:入手後1ヶ月は咲いている。コーン状の緑色植物体のてっぺんに葉っぱが2枚ほど出ている。そのコーンの根元にある葉の間から花茎が伸びて樹状に広がり多数の黄色や茶色の混ざったような1〜4cmの花が咲く。片手で持てるほど小さな鉢から、両手で抱えるような寄植までいろいろ。
ここまでがよく出回っていてつい買ったりもらったりする蘭。
カトレア:2ないし3週間は咲いている。長さ3〜20cmの棒状、紡錘状の植物体の先端から長さ3〜20cm幅1〜7cmほどの楕円形の葉が出る。葉の付け根から花茎がでて4〜15cmの花が1〜4つ程度咲いている。花のかわいい小さな鉢がよく出回っているが、写真のように大きな花のものは日常生活ではめったにお目にかかれない。
パフィオペディラム:数枚の互生する葉の上に、ひょろひょろっとした花茎がのび、人の顔を思わせるような花が咲く。花には袋があり、食虫植物だと思って袋の中にハエが落ちていないか覗く人も多い。通常一株のみの片手で持てる軽い鉢に仕立ててある。1ヶ月ほど咲く。最近園芸店などでも見かけるようになったが普通の人はめったに見ない植物ではないだろうか。
ミルトニア:てっぺんに葉の生えた黄緑色の植物体の根元から花茎が伸びてパンジーを巨大にしたような花が咲く。抱えるような大きな寄植鉢やら、片手で持てる鉢まである。よく見かけるようになった。夏越しが難しい暑さに弱いランだ。
リカステ:葉が2枚または無いコーン状の植物体の根元から15cm程度の花茎が立ち上がってその先に大きな花をつける。3週間ないし一ヶ月ほど咲いている。めったに見かけない蘭で、夏越しが難しい暑さに弱いランだ。
バンダ:青系統の花がよく出回っている。葉と根だけでブラーンとぶらさげて育てる蘭である。贈答でいただくものは籠に入っていることが多い。カゴの内部には水苔が入れられていることがあるか、根と水がたまっていることがある。そのままでは根がくさるのでカゴから出してぶら下げてあげよう。
種類によってまちまちではあるが、要約すると以下のようになる。
@出来るだけ湿度を高める
A温度を人が快適と感じる温度に近づけ、変化を少なく、低くせず、高めすぎない
B水をあげすぎない
蘭は冬に手に入れることが多いので、特に気をつけるのは、
@ 5℃以下にはしない(胡蝶蘭、カトレア、バンダなどは10℃以上のぞましくは15℃)、
A 湿度を高め、霧吹き(100円ショップで売っているポンプなど)で葉に水を日に何度かあげる。花には傷むのでかけない。
B 冬なら、根に水は極力あげない(シンビジウムで週2回、ほかは週に一度程度)。春、夏なら乾いたらあげてもよいものが多い。あげるときは内部の空気を追い出すように暖かい日の午前中にたっぷりと与える。
C 温度を高くしすぎたり(冬に23℃以上にしない)、暖房の風をあてない。湿度が追随できず、乾いてしまうからだ。
花を楽しんだ後には、
@種ごとに適切な処置(植え替えなど)をして適正な環境で育てる。→植え替えに進む。
A詳しい人、欲しい人にあげる。
B蘭のホテルに送って咲かせてから返してもらう(有料)、
Cどうにもわからず、or、環境があわず、or、あまり好きになれず、or、おっことしちゃったりなんかして、枯らしてしまう、ということもまあ…あるんでしょうね…。
蘭を飾る
蘭を育てて咲いてもらえるようになるといろいろこまったことが起きる。蘭は着生植物であるため、鉢が小さく株が大きくなりがちだ。当然倒れやすくなる。現に立派な開花株がそよ風で倒れて花をふっとばしたことがあった。
倒壊したデンファレ・アリカに懲りて転倒防止具を開発した(鉢はOnc. Sweet Sugar?)。作り方は写真を見てもらえば一目瞭然である。本日ホームセンターで桧の棒178円を買ってきてのこぎりで125mm
の板4本を切りだし、縁から16mmのところに9mm切れ込みをいれ(この幅は板の厚みに対応している)、これを組み合わせて井形に組むのである。内部の幅は75mmである。3号鉢と3.5号鉢に対応している。3.5号鉢の場合は底が浮く。ぐらぐらするのでヤスリではまりやすいように削ってみた。なんとかはさかって安定するようである。見た目もよい。これは売れそうだぞ。誰か売ってくれないだろうか。正直な話もう一つ作る気力はない。物を作るのは大変である。のこぎり23行程、ペンチやらヤスリかけやら1時間ちかくかかった。
こういう物を見かけないのである。「発明」という可能性もあるが、普通は「もう誰かがやっていて、使い物にならないことが分かったため誰も作っていない」のである(^^;)。まあそういうものだろう。
この転倒防止具はちょっと見ていると「あら、いいわねえ、どこで買ったの?」といわれそうな感じがしてきた。鉢を押してこかそうとしてみたがこけないのである。また、鉢が浮いているため株の立ち上がる角度を調節できた。桧の質感がよろしい。
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